ベタ恋[1]
ふぁみちゃんです。
「もぉ!なんで起こしてくれなかったの?」
朝は苦手だけど、よりによってこんな日に寝坊するなんて―
「私は起こしたわよ!」
起こされた記憶ないけどなぁ、まぁいつもそうだけど。
「スカル子!朝ごはんは?」
「ゆっくりしてる時間ないよ!遅刻しちゃう!!」
冷たくなったトーストをくわえ慌ただしく家を出た。
遅刻常習犯の私としては、毎朝の全力疾走も最近慣れてきた。でも今日は特に心臓の鼓動が早い。それは期待と不安の入り交じった特別な高鳴り…。
このままのペースでいけば間に合いそうだと時計を確認していると、何かにぶつかった。
「痛っー!!」
地面に打ち付けたお尻を撫でながら視線をあげた。
「痛いじゃねぇよ!どこ見て歩いてんだ!」
そいつは私に手を差し延べるわけでもなく不機嫌な顔を私に向けていた。
「私も悪いけど、あんたこそどこ見て歩いてんのよ!」
なんてデリカシーのない男なの?乙女には紳士的に対応するもんでしょ。
「お前なぁ…ってそんな場合じゃねぇ、遅刻しちまう!」
そいつは凄いスピードで走り去っていった。ポカンとしながらも今の置かれた状況に気付き時計を見た。
「やばい!遅刻寸前!」
跳び起きると全力疾走を再開させた。さっきのやつ同じ高校の制服着てたけど同い年なのかなぁ。まだ言い足りない!今度見つけたらガツンと言ってやる。
なんて考えていたら学校は目の前だった。
緊張と早朝ランニングでバクバクの心臓に手をあて、一つ大きく息を吐くとゆっくり門をくぐった。