殺し屋さん[1]
穏やかな昼下がり。
僕はうっすらと汗をかいていた。姿勢をただし正座までして彼を見つめた。
彼はそれに応える様に僕に目を向けた。
僕はカラカラに渇いた喉に唾を流し込み声を絞り出した。
「ころっ、殺してほしい人がいるんです!」
彼はゆっくりサングラスを外した。余裕たっぷりだ。こうゆうのも慣れっこなのだろう。
「んなこと知ってるよ!だから俺がここに居るんだろが。なんでもいいけどお茶とかない?あとコタツの温度を弱にしてくれよ、暑くてしょうがねぇ」
暑いのなら一先ず分厚い革のコートを脱げばいいのに。ポリシーなのだろうか?
とにかく彼は飲み物をご希望のようだ。僕はコタツを出るとドアノブに手をかけた。
「あっ、ちょい待ち。できれば菓子もよろしく、チョコ系のな。よし!いってこい!」
僕は思った。殺し屋さんも所詮人間だなと…
僕は烏龍茶を持って殺し屋さんが待つ二階の自室に向かった。
「すいません、お菓子はなくて…」
彼はちらっと僕を見て視線をすぐテレビに戻した。
「あぁ、いいよ。んで本題にいこうか。で、誰殺すの?」
以前、テレビに顔を向ける彼だが僕は気にすることなく答えた。
「殺してほしいのは…………」