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69 クラン勧誘・ピンク篇

「あざとい……」


 セレンさんが僕を見て顔を顰めながら呟く。

 どうしてだろう。


「何なのよ。それ」


 そう言って僕が口にしていたクリームソーダを指差す。


「クリームソーダです。

 美味しいですよ?」


 森の町に新しく出来たカフェ。

 そこで出されている、緑色のメロンソーダにアイスクリームが乗った物。

 僕のお気に入り。


 何故かセレンさんは溜息をついてから席に座り紅茶を頼む。


「他の人は?」

「まだですね」

「そう」


 すぐにセレンさんの紅茶がテーブルに並び、彼女はスプーン一杯の砂糖を入れそれを口に運ぶ。


「……何で見てるのよ」

「いえ、他に見るところが無いので。

 矢の追加は要りますか?」

「そうね。お願いしたいわ」

「わかりました」


 戻ったら用意しよう。


「すまない。遅くなった」

「ごめーん」


 リゼさん、ひよりさん、そしてヴィヴィアンヌさんがやってくる。


 各々席に着き、そして飲み物とケーキを注文。


「それで、何の用?」


 セレンさんがリゼさんに問う。


「ああ、アナウンスがあったと思うが、私達もクランを作ろうと思ってな。

 それで、セレン。

 一緒にどうだろうか?」

「え、私が?」

「そう。女の子だけのクランにするつもりだ。

 取り敢えず、私とひより、ビビとサヤ。この四人は決まっている。

 他にも何人か声をかけてはいるのでもう少し増えるだろう」

「えっと……」

「貴女のその機械工作のスキルがあると助かるから是非入って欲しいのだけれど。

 まあ、他からも声がかかるでしょうから無理にとは言わないけど」


 戸惑うセレンさんにヴィヴィアンヌさんがそう優しく言う。


「ダメだよ。早い者勝ち。だからセレンは私達の所に入るの。

 勧誘は一番乗りでしょ?」

「ええ……そうだけど」

「まあ、いきなり言われてもピンとこないかも知れないが。

 抜けるのは何時でも構わないから取り敢えず入ってみないか?」

「そこまで言うのなら……」

「よし。決まりだ」


 そう言ってリゼさんはセレンさんに右手を差し出す。

 セレンさんは一瞬戸惑う素振りを見せたけれど、その手を握り返し、少しはにかみながら笑う。


「それと、ショータなのだが」


 リゼさんが僕の方を向く。

 少し困った様な表情を浮かべ。


「言った様に女の子だけのクランにするつもりで……」


 ああ、僕には彼女達のクランに参加する資格が無いと言うことで、わざわざそれを詫びに来たと言う事だろうか。


「……ショータ君は、女の子だよ!!」


 突然ひよりさんが立ち上がり、そんな事を言う。




「……いえ、違います」

「ひより、それは無理だろう……」


 呆れ顔のリゼさん。


「良いじゃない。一人くらい」


 そう言ったのはセレンさんだった。


「いきなり例外を作ってしまうとなし崩しになるからな……」

「そんな事言ってリゼもショータ君を入れたい癖に」

「まあ、本当は私もショータ一人くらい構わないとは思うのだけれど……。

 ただそうすると、女子クランと言う前提が成り立たない。

 男子が入りたい、入れたいと言う時に断る理由が無いのだよ」


 そう言ったリゼさんに、ひよりさんは口を尖らせなおも何かを言おうとする。

 その前に、言わねば。


「あの、僕はクラン、決まってます」

「「「「え?」」」」


 四人が同時に驚きの声をあげる。


「そうなの?」

「ええ。ひよりさん達より前に誘われた所があったので」

「何と言う所だ?」

「フェンリルです」


 そう答えた僕にリゼさんは眉間に手を当てる。



 話はリゼさん達と会う前。

 ガスマスクさんとの会話を終え、銃弾作りが一段落ついた頃に遡る。

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