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06 初めての戦闘

 その後二体ファットラビットを二人がやっつけて、ひよりさんのHPバーが半分を切りオレンジに変わったタイミングでアマリさんと共に二人の元へ。


「ヒール!」


 アマリさんがひよりさんに手をかざし、そう口にすると微かな緑色の光がひよりさんを包み込み、そして彼女のHPバーが緑色に戻る。


 こうやって、仲間同士で助け合うのか。


 ただ、僕は何もしていない訳で。


「そろそろショタ君も戦おう」

「はい」

「その前に、一つ注意があります!」

「なんですか?」

「ショタ君は、銃、つまり遠距離攻撃が基本的な役割です。

 すると、戦場では、前で他の仲間が戦っていると言う場合も少なくありません。

 さて、どうしますか?」

「当てない様に撃ちます」

「でも、敵も味方も動いているので当たってしまう事もあります」


 そんな事は、滅多に無いと思うけれど、口には出さない。

 このゲームは現実と違うから。


「するとどうなるでしょう?」

「どうなるんですか?」

「わからない事は、やってみよう!」


 そう言ってアマリさんは人差し指を立てる。




「うん。この無反応にも慣れて来たぞ」

「慣れたら駄目じゃ無いかな」

「言うな。妹よ。

 君、実験の的をやってくれ給え」

「良いけど」

「じゃ、ショタ君。

 リゼを撃って。

 別に死なないから大丈夫」

「わかりました」


 僕は銃を上げ、直ぐに引き金を引く。


 小さな音と共に、リゼさんが後ろに仰け反る。

 そして、ゆっくりと姿勢を戻し、口角を上げる。


 HPのバーはピクリともしていなかった。

 眉間を撃ち抜いた筈なのに。


「……すごい。

 殺し屋見たいだね。

 と、まあ、ちょっとした衝撃を受けます。

 ダメージにはならないけれど。

 戦いの最中に、後ろから不意にこれを食らうとびっくりします。

 目の前に敵が居た場合、命取りにもなりかねません。

 これは、魔法でも同じで、魔法で質が悪いのはエフェクトで視界が遮られる場合もあるってことかな。

 わかりましたか?」

「はい」

「ショータ。

 ついでにもう一つ覚えておこうか」


 リゼさんが笑みを浮かべながら近寄って来る。


「はい。なんですか?」

「これをやられた相手は」


 リゼさんがしゃがんで僕と目線の高さを合わせる。


「場合によっては怒る!」


 そう言うなり僕のほっぺを両手で持って思いっきり引っ張った。


「正確無比に眉間を撃ち抜くんじゃないよ!

 普通に体で良いじゃない。

 これでも! 女の子の顔なの!

 女の子はいじめない!

 わかった?」

「ふぁい」


 上手く発音できなかったけれど、リゼさんは納得した様だ。


「素直でよろしい」


 リゼさんはニッコリと笑い手を離した。


「ごめんなさい」

「良いよ。ちょっと怖かっただけだから。

 狙って撃ったの?」

「はい」

「そうかぁ。凄い腕だ。

 誤射の心配は無さそうだね」

「気をつけます」

「いや、元はと言えば馬鹿姉アマリが悪い。

 ただ、そうだな、撃つ前に合図があると良いかな。

 いや、流石に戦いながらは無理か」

「合図ですか?」

「そう。

 メニューの中に<トーク>って言うのがあるんだけど」


 言われて僕はメニューを開く。

 その中の吹き出しのアイコンがトークの様だ。

 それに触れ開く。


「はい」

「その中に<パーティ>って項目があるだろ?」

「あります」


 その下に、ひよりさんの名前。


「それでパーティーメンバー、全員と会話出来る。

 後、顔のマークがあるだろう?」

「あります」

「それはスタンプと言って予めセットされた絵を選んで送れる。

 って、こんなのは小学生でもわかるか」

「いえ、初めてです」


 僕はメニューの中に並ぶスタンプを眺める。

 『回復して』とか、『ありがとう』とかそう言う一言と、男の子の絵がセットになっている。


 それを眺めて居ると、『OK?』と書かれたスタンプが現れる。

 後ろに赤い髪の女の人。

 ……そうか、これはリゼさんだ。

 僕が顔を上げて彼女を見ると、彼女は頷きを返す。


 少し悩んでから『わかった!』と書かれたスタンプを送る。


 すると、今度は『すごーい!』と言うスタンプ。

 ピンクの女の人だからひよりさんだ。


 一体何が凄いんだろう。


「まあ、戦闘中だとスタンプが視界に入って邪魔になる場合もあるから、声で伝えるかどうかはその時の状況次第かな。

 叫んじゃった方が早い場合もあるし。

 あと、パーティー内の音声通信の場合は、先に名前を呼べばその相手にだけ繋がる」

「なんとなくわかりました。

 両方試してみます」


 僕は、昔の電話だと言うアイコンに触れ、パーティー内の通話をオンにする。


「ひよりさん。聞こえますか?」

『聞こえるよー』


 答えながら手を振るひよりさん。


「よし。じゃ続きをやろう。

 私が囮になって敵を引きつけるから、ショータは隙を見て射撃。

 当たっても怒らないから好きに撃て」

「わかりました」



 そう言って、リゼさんは一人歩いていき、ひよりさんとアマリさんが近くに来る。


「すぐ来るよ」


 アマリさんはリゼさんが歩いていった方を指差す。


「分かるんですか?」

「【索敵】スキル」


 そう言う事が出来るのか。

 リゼさんの向こうにファットラビットより大きな狼が現れる。


「ステップウルフ。ウサギちゃんより早いからしっかり狙ってね」

「はい」


 リゼさんが剣を構える。

 向かい合ったステップウルフが歯を剥き出しにして、身を低くする。


「リゼさん、撃ちます」

『え?』


 返事を待たずに引き金を引く。

 弾は、ウルフの眉間に直撃した。


 一瞬怯んだ後、こちらに視線を向けるウルフ。


「頭を撃っても死なないんですね」

「後二発必要かな」

「わかりました」


 ウルフはリゼさんの横をすり抜けこちらに向かい来る。

 身を浮かせたタイミングを見計らい、二度引き金引く。

 念のため、着地のタイミングでもう一発。


 それでステップウルフは粒子になり消えた。


『やるじゃん』

「ありがとうござます」

『じゃ、ひよりもこっちへ』

「はーい。ショータ君援護、宜しく!」

「はい。当てないように気をつけますけれど、当たってしまったらごめんなさい」


 手を振りながらひよりさんと白玉は走って行った。


「ショタ君は全然問題無さそうだね。

 後は、この子とあのにゃんこか」


 そう言ってアマリさんは僕の側で静かにしていたファントムを見つめる。


「この子は、何が出来るのかな?

 魔法とか使えるのかな?」


 その問い掛けにファントムは小さく横に揺れる。


「いや、魔法は使えないです。専用スキルを持ってるって、チュートリアルで教わりました」

「へー。どんなの? 教えてもらっても良い?」


 僕はサーシャさんに教えられた通り、メニューを開いてファントムのステータスを確認する。



【???】ファントム Lv1 親密度:21

スキル

【霊障】Lv1

アビリティ

【浮遊移動】

【障害物通過】

【物理攻撃無効】

【回復無効】



 これが、ファントムのステータス。

 戦闘に使えるスキルは【霊障】だけ。

 その霊障には一つの技がある。



 アーツ【ラップ音】消費MP(極小)

 空間から音を発し、敵の注意を惹き付ける




「……という感じです」

「え? それだけ?」


 僕の説明にアマリさんが、怪訝そうな顔をする。


「それだけ、ですけど、でも便利だと思います」

「いやいや、音出すだけって」


 ファントムが、少し薄く小さくなる。


「今度、狼が向かってきたらやってみよう」


 僕はファントムにそうお願いする。

 ファントムは小さく縦に揺れる。


「あ、丁度来たね。同時に三匹」


 リゼさん達のいる方向では無く、僕らの横からステップウルフがこちらに向かい来るのが見えた。

 結構な速さで移動している。


「二匹は私が魔法で倒そう」

「いえ、僕とファントムで倒します」


 弾をリロードしながらそう答える。

 ファントムは僕から離れ、ゆらりと狼が走り来る方へ移動する。


 そして。


 ピシッと空間が歪むような、脳に直接響くような、そんな音がした。

 狼達が一斉に足を止める。


 引き金を引く。

 三発、二発、一発とそれぞれ狼に命中する。

 弾をリロードする間に生き残った二匹が、弾かれたように僕に向かい来る。


 しかし、再び鳴ったラップ音にまたしても足を止める。

 そこを狙撃する。


 二匹は粒子になり消えた。


「……そうか。ショタ君と相性ぴったりな訳か」

「的が止まってくれるからとてもやりやすいです」


 サーシャさんに教えられた時に、真っ先にそう思った。

 この先レベルアップで他の技も覚えるだろうとも教えられた。


 戻って来たファントムに手を差し出す。

 触れることは出来ないけれど、ファントムは差し出した手の上を踊る様に飛び回る。


「いいコンビだね」

「はい」


 パートナーだから。

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