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39 サヤさん

「親方、納品行ってきます」

「ああ、待て」


 インゴット作りを終え、親方に声を掛ける。

 しかし、親方は作業の手を止め上から何かを持って戻る。


「弁当だ」

「どうしたんです?」

「昨日貰った魚が余ったからな」

「ありがとうございます。では、行ってきます」

「ああ」


 余ったから、と言うには大きな弁当箱をアイテムボックスに放り込み僕は釘の納品、そして、ひよりさんの元へ。




「おまたせしました」


 ひよりさんと待ち合わせした場所は、第二エリアの南端。

 岩場の海岸。


「わざわざありがとうね!」


 そのひよりさんの横には、見知らぬ人が。


「紹介するね。彼女はサヤさん。サヤさん、この子はショータ君」

「はじめまして。わたくしはサヤ。この子は召喚獣の小豆あずきです」


 丁寧に頭を下げるサヤさん。

 長い青髪を後ろで一つに束ねている。

 そして、小豆と紹介された10センチに満たない小さな召喚獣は彼女の顔の横に浮かんで居た。

 黒い鱗の空を泳ぐ魚。


「ショータです。こっちはファントム」

「よろしくお願いいたします」

「同じ、サモナーとして最近良く一緒に居るんだよ」

「はい」


 ひよりさんとサヤさんが互いに顔を見合わせ微笑み合う。


 小豆が白玉の側でじゃれるように泳ぐ。

 白玉は飛び跳ねながら前足を伸ばす。

 捕まえようとしているのだろうか、でも、小豆はその手をすり抜け優雅に泳ぐ。


「ひよりさん。これ、注文の品です」


 僕は槍を取り出し彼女に渡す。


「おお、ありがとうー!」


 それを受け取り、仮想ウインドウで性能を確認するひよりさん。


「ショータさんが作ったのですか?」

「いえ、僕の親方です」

「ショータさんは、鍛冶屋のお弟子さん?」

「そうですけれど、鍛冶屋になるつもりはありません」

「それは、良くわからないですわね」


 そう言って口元を抑え笑うサヤさん。


「おお? あれ、想像以上だよ?」

「どうしました?」

「属性武器になってるよ。有り難いけど、ご予算オーバーじゃ無いかな?」

「親方曰く、弟子が世話になってるサービスだそうです。

 もし気に入らなければ、僕が解除します」

「ショータ君が?」

「はい」


 付与の解除は、付与魔法のレベル2で覚えた<エレメント・デタッチ>で可能。

 ただ、一度属性を外した武器に再び別の属性を加える為には少し時間を置かなければならないようだ。


「なので、ちょっと使ってみて感想を聞かせてください」

「りょーかい! じゃ、約束通り一緒に海へ行こう!」

「はい」



 僕らはそのまま海へ。



「よっし、じゃ早速! 試し突きと行きますか!」


 水着に着替え槍を手にしたひよりさん。


「楽しみですわね」


 同じく水着に着替えたサヤさん。


「じゃ、ジョータ君、白玉、留守番よろしく!」

「はい。ファントム頑張ってね」


 縦に揺れるファントム。

 僕の銃は水の中では役立たずなので、陸の上で白玉と留守番。

 代わりにファントムがひよりさんに着いていく事に。

 ひよりさんはファントムを見上げ、ニコリと笑い小さく頷く。


「行くぞー!」

「おおー、ですわ!」


 二人は岩場から海の中へと飛び込んでいく。



「行っちゃったね」


 頭の上の白玉に話しかけ、僕は岩場に腰を下ろす。

 海中の様子は目には見えないけれど、パーティーを組んでいるのでHPはわかる。

 と言ってもサヤさんが回復魔法を使えるらしいので何ら心配は無いそうだが。


 でも、そうやってただ待っていても退屈なので白玉と周りを散策することに。


 丁度、海辺で作業をしている開拓組の面々が見えたので様子を伺いに行く。




「おう、坊主。磯遊びか?」

「まあ、そんなところです。凄いですね」


 海岸の一角に積まれた石材。

 その下に数人のプレイヤー達。

 エアルさんがアイテムボックスに詰めていた、ピラミッドの石。

 既にそのピラミッドの半分以上は運んで来たのかもしれない。


「本当に凄くなるのはこれからだぞ」


 そう言って小麦色の肌と対象的に白い歯を見せる源さん。大工。

 エアルさんの露天風呂作りを手伝ったのはこの人らしい。


 今、この開拓組と呼ばれる面々は第二エリアの南端から五キロほど先にある始まりの島へ橋を掛ける。

 そんな計画を立て、実行している最中だ。

 その為の資材として、あのビラミッドの石が続々とここへ運ばれている。


「この石運びが一段落したら、今度は鉄骨が必要になる。

 出来れば坊主んとこの親方にも手伝ってもらいてーんだがな」

「鉄骨ですか」

「ああ。H鋼で通じると有り難いがわからなければ改めて説明に行くわ」

「H鋼ですね。聞いておきます」

「おう。宜しくな。もう少ししたらきのこ汁が出来上がるから食ってけよ」

「今日は、弁当があるし、他に仲間も居るので」

「そうかそうか」


 僕は彼らに頭を下げ、海岸へと引き返した。


 そして、空を飛ぶ海鳥のモンスターや、岩陰に隠れていた蟹のモンスターを何匹か仕留めひよりさんたちが戻るのを待つ。



<ポーン>

<レベルアップしました!>

<【付与魔法】スキルがレベルアップしました!>



 ほぼ、何もしていないのにレベルが上ってしまった。


 直後、ひよりさん達が海から上がってくる。


「大量大量! 大物獲ったどー!」


 そう言って、今日手に入れたばかりの槍を高々と掲げるひよりさん。


「まさか、あんな大物を倒せるとは思いませんでしたわ!」


 サヤさんも興奮気味だ。


「何を倒したんですか?」


 嬉しそうにこちらに飛んでくるファントム。

 ひよりさんに飛び掛かる白玉。


「鯨!」

「へー。え?」

「ファントム、凄いね」


 ひよりさんが、満面の笑みをファントムに向ける。

 僕はそれが自分の事のように嬉しかった。



「どうしよう。流石に大量すぎで消費できないなー」


 僕のアイテムボックスにも大量のクジラ肉が入っていた。

 親方へのお土産にするにしても多いくらいだ。


「いつもの様に開拓組の人達が居るでしょうから振る舞ってはどうでしょう?」


 そうサヤさんが提案する。


「そうしよっか」

「ショータさん、開拓組ってご存知?」

「はい。さっき挨拶に行ってきました」

「あら、そうでしたか」

「むしろ、ショータ君は開拓組のメンバーだよね?」

「そうなのですか?」

「自分から入ったつもりは無いですけれど、そう思われているみたいです。

 親方の工房で鉄の資材を提供しているので」

「なるほど。そういうことでしたか。

 では、私達もたまにはご挨拶に行きますか」

「そうだねー」


 二人が資材置き場に現れ、そして、クジラ肉を振る舞う事でちょっとした騒ぎが起きる。


「最高でした」と言うひよりさんの槍への感想と共に持ち帰ったクジラ肉とキノコの山に親方は当然の様に苦笑いを浮かべ、その日の夕食にはアランさんも招き賑やかな一時になった。


 ◆


 緊急メンテナンスのお知らせ


 Vinculum Onlineをご利用いただきましてありがとうございます。

 ゲーム内の不具合により、不利益となる事象を確認しましたので

 緊急メンテナンス作業を実施いたします。

 メンテナンス作業中はVinculum Onlineをご利用いただけません。

 お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。


 【作業時間】

 01:30~03:30

 ※終了時刻は作業状況により前後する場合がございます。予めご了承ください。


 Vinculum Online運営チーム


 ◆


 緊急メンテナンス作業終了のお知らせ


 Vinculum Onlineをご利用いただきましてありがとうございます。

 ゲーム内の不具合に解消のため、緊急メンテナスを行いました。

 現在、不具合は解消されていることを確認しております。

 お客様にはご迷惑をおかけいたしたが、

 引き続きVinculum Onlineをお楽しみください。


 【作業時間】

 01:30~04:30


 【作業内容】

 ・アイテムボックスの仕様調整

 ・その他バランス調整


 【補填内容】

 ・スキルストーン(小)×5

 ・イクスストーン(小)×5


 Vinculum Online運営チーム

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