04 アマリさん
追加で運ばれて来たパフェは甘く、昔一度口にしたファッジと言うお菓子を思い出した。
それを食べながら次の話題へと移る。
「それじゃ、しっかり稼がないとね」
「おお! そうだ。それで、ショータ君も一緒に行こうと思ったのだ」
「おっけ。わかった。
実はこっちもちょっと助っ人一人呼んじゃったのよね。
なので、四人と二匹でどうだろう?」
「りょーかい!」
「ショータ君も良い?」
「はい。よろしくお願いします」
「おっけ。じゃ、丁度連絡来たから呼んじゃうね」
そう言って、リゼさんは仮想ウインドウを操作し始めた。
「ショータ君は何かペット飼ってる?」
「いえ。飼ってません」
「そっか。ウチもなんだ。
だから、絶対猫か犬がいいなーって。
後ね……私、お化けとか駄目なんです」
「お化けとは違うと思いますけど」
「うん。最初は私のところにしてくれたんだから、その子と仲良くなりたい。
だから、これからもよろしくね」
ファントムは、少し遠慮がちにひよりさんに近づく。
それにやっぱりひよりさんは顔を引きつらせる。
白玉が捕まえようと手を伸ばすが、その手はファントムをすり抜けてしまう。
そんな風に二体が、仲良く遊ぶのをしばらく眺めて居ると個室のドアがトントンとノックされる。
「どうぞー」
リゼさんがドアに向け声をかける。
「やー! アマリさんだよー!」
チョキにした右手を横向きにして右目の脇に添えるポーズをとりながら、黄色に近い様な金髪の女の子が入って来た。
ひよりさん、リゼさんより少し若く見える。
「……まあ、座って」
リゼさんが静かに自分の横の席の椅子を引く。
「ちょっと! せっかく女子高生のテンションに合わせて来たのに!
何だ!? その反応は!
って、ショタ居るし!
お前ら、それはあかん!」
一頻り騒いだ後、腰を下ろすアマリさん。
「えー、紹介します。
アマリ。恥ずかしながら私の姉」
「恥ずかしくなーい!」
「え、年上?」
ひよりさんが少し驚いた様に言う。
僕も驚いた。
「御歳にじゅ……」
「アマリは、永遠の十四歳! 魔法少女なのだ!」
再び、右手をチョキに。
そのまま、三秒程。
「ごめんなさい」
なぜか謝罪するアマリさん。
「やーっぱ、ガチ女子高生には付いていけねーす。
紹介して」
「ひより。私の同級生」
「妹がお世話になってます!」
再び右手をチョキに。
「こちらこそ。何時も理沙には助けてもらってばかりです」
「ひより、そう言うのいいから。
で、今日知り合ったショータ君」
「よろしくね! ショタっ子!」
同じポーズ。
「よろしくお願いします」
僕は頭を下げる。
「ショタっ子、ガチ?」
「多分ガチ」
「おいくつ? 聞いて良いの?」
「十二歳です」
「マジかよ! 干支超えて来ちゃった!
……え、干支? マジ……かよ。
私、いつの間にかそんな歳な訳?」
テーブルの上に伏せるアマリさん。
「えっと、三人の中で一番若く見えますよ」
「アバターだからね! もうね、偽物な訳だよ。
君のそのフォロー、逆に辛い!
そして、そのさりげなく甘い一言は、ダメ!
弱り切った私のメンタルに、優しさが突き刺さる!
泣きそう。
十年経ったら結婚しよう」
「え」
「いや、本気にしなくて良いよ」
「そうなんですか?」
「私は本気にしてくれても構わない!」
「落ち着け、姉よ。
相手をよく見ろ」
「……見た。
可愛い」
「オーケー。目を閉じて、現実の自分と並べて見ろ」
「並べた」
「どう思う?」
「誘拐だな。事案だ。犯罪者だ!」
「そう言う事だ」
「そう言う事か」
どう言う事なんだろう。
「いやー、こう、本物を目の当たりにするとなんだろう。ロリ巨乳とかやってる自分が薄汚く思えてくるね……」
「いや、汚くは無いですよ。全然」
「……結婚して」
「ショータ、一々フォロー入れなくて良いから。
話を進めるぞ。薄汚い姉よ」
「お前もその内汚れるさ。ふふふふふ……」
ひよりさんも十分に賑やかな人だと思ったけれど、それより上が居た。
「えっとだ、ひよりとショータが今日始めたばかりなのは見てわかるな?」
「もう、眩しくて正視出来ない……」
「今日始めたばかりなのだ。
これから初めての狩りに行くのだが、手伝って欲しいのは既に伝えた通り」
「こんな私で良ければ何なりと。
アマリ! 十四歳! 回復が得意な魔法少女です!」
再び右手でポーズ。
そののち、沈黙。
「もう、やらない」
そして、真顔で手を下ろす。
「二人とも召喚持ち?」
「はい」
「そうです」
「じゃ、大変だ。んーと、三人でパーティ組んで私は後ろから付いて行こう。
その方が経験値の入りは良いし、回復は外からでも出来るから。
リゼはメンバーの状態を常に気にかけて。
と言っても苦戦する様な所には行かないよ」
「うん。それで良いよ」
「じゃ行こう」
「おー!」
ひよりさんが元気に返事をしながら右手を上げる。
「揃ってないな。もう一回。行くよ!」
「「おー」」
今度はリゼさんも一緒だ。
「ショタっ子よ。
君もやるのだ」
「あ、ごめんなさい」
「ちゃんと右手を上げるのだ。行くぞ!」
「「「おー」」」
四人が同時に右手を上げる。
出発の時はこう言うことをするしきたりなのだろう。
覚えておこう。




