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33 罠

「やっぱ上手いね」


 続けざまにミイラを仕留めた僕にエアルさんがそう感想を漏らす。


 連撃の効果は素晴らしく、ファントムが動きを阻害すれば結構な確率で成功する。


「ただ、乱戦だと難しいでしょうね」

「まあ、それは仕方ないよ。

 そう言うときは味方と連携すれば良い。

 本来はそうすべきなのだから」


 そう言いながら歩き始めるエアルさん。


「あ、そこ、罠があるから踏まないでねー」


 細い剣で、床の一点を差しながら後続の人達に注意を促す。


「え、どこですか?」


 そのひよりさんの声に僕とエアルさんが振り返る。

 それと同時に、カチっと言う音がやけに大きく反響した。


「……そこ」


 そうエアルさんが言うと同時に罠が作動した。


「え、あ、きゃーーー」

「うわーーーー」

「ちょっとーーー」

「まーじかー」

「私、ちゃんと言ったのにぃぃぃぃぃ」


 突然、床が消滅して五人は叫び声を上げながら落下する。

 当然、僕も。


「トーチ」


 暗闇の中、エアルさんの声が響き、そして部屋に明かりが灯る。


 五メートル程落下して、そこで僕達を待ち受けていたのは……。


「「「ぎゃーーーーーー」」」


 大量の蛇だった。

 部屋を埋め尽くす大量の蛇。


 それが四方から牙を剥き出しにして飛びかかって来る。


「ファイア・ボム」


 咄嗟にアマリさんが魔法を放ち、蛇の群れを吹き飛ばす。


「ちびっ子、半分お願い」


 そうエアルさんが冷静に言って爆発と反対方向の蛇の群れへと突っ込んで行く。

 僕は爆発から逃れた蛇へ銃口を向ける。



 ◆


 落とし穴の中の蛇を全て蹴散らして、そして、その部屋を調べると魔法陣が床に描かれて居た。

 それに乗ると、全員まとめてピラミッドの入り口まで飛ばされた。


「気をとりなおして行こう!」


 そう、アマリさんとひよりさんが高らかに声を上げ再出発。


 さっきの罠を越え、更に進む。


「あ、そこの出っ張り、押さないでね」

「ん、これか?」


 振り返りながらエアルさんが言ったその視線の先で、リゼさんが不思議な物を見つけたような顔をしながら壁に手を当てて居た。


 カチッ。


「普通、押さなく無いぃぃぃぃぃ?」


 絶叫と共に再度落とし穴へ。

 今度は蜘蛛だらけだった。


 ◆


「あら、宝石があるわ」

「あ、それ駄目!」


 叫びながらエアルさんが振り返るが時既に遅し。


 ヴィヴィアンヌさんの手には大きな宝石が乗っており。


「え?」


 カチッ。


「普通、そう言うの取らないじゃぁぁぁぁぁぁぁんんんんんん」


 三度落とし穴。

 今度は大量のミイラのお出迎え。


 ◆


「別れ道ね」


 僕達の前に上に続く通路、そして下へ行く階段に分かれる。


「ちょっと待って」


 エアルさんが顎に手を当てしばし観察をする。


「下は、罠かな」

「こう言うのは、あからさまに怪しい方が正解なのよ!」


 そう言って階段を一歩おりるアマリさん。


 カチッ。


「…………」


 もはや、エアルさんは諦観の顔。

 落ちた先には大量のネズミ。


 ◆


 そうやって、進んでは罠にはまり、そのたびに入り口に戻され、再び進む。


「てかさぁ!

 どう考えてもおかしいのよ!

 何でさ、わかってる罠にはまるの?

 どんだけいいお客さんなの!? 君ら!

 私が! スキルを取った意味、まるでなく無い?

 見えてる、見えてる罠!

 はまる方がおかしいの!」


 泣きそうな顔で激昂するエアルさん。

 苦笑いを浮かべる四人。


「まあまあ。

 落ち着きなよ。

 太もも触る?」

「触る」

「嘘だよ。バカ」

「また騙された!」


 どうしてそんなに太ももに触りたいのだろうか。


 僕はリゼさんが淹れた紅茶に口をつける。


「こんなにいっぱい罠を仕掛けても何にも無いんだねー」


 ひよりさんが後ろを振り返りながら言う。

 その視線の先には蓋の空いた石棺が鎮座している。


 ひよりさんの言う通り、ピラミッドの一番奥と思われる部屋。

 当然、石棺は調べたが中は空っぽ。

 蓋を開けた時に落とし穴に落ちる以外の仕掛けは無かった。


 他に何かを無いから丹念に調べたがめぼしい物は見つからず、休憩してティータイムとなっている。


「もう誰かが盗掘したよの」


 ヴィヴィアンヌさんが、魚型のクッキーを齧りながら言う。

 ひよりさんが用意した物。

 白玉が目の色を変えて食べている。

 その背を優しく撫でるひよりさん。

 餌付けには成功したようだ。


「あれ?」


 僕は頭の上に浮かぶファントムを見上げ、その姿が無い事に気付く。


「……ファントム?」


 さっきまで、ここで休憩するまではそばに居たはずなのに。


「ファントム!?」


 僕は立ち上がりあたりを見渡す。


 どこにもその姿は見えず。


「どうしたの? ショータ君」

「ファントムが、居ないんです」

「え」

「ファントム!」


 狼狽える僕に皆が心配そうな視線を投げかけてくる。


「ショータ君、あそこ」


 ひよりさんが指差す先、部屋の一番奥の壁際にファントムは浮いて居た。


「ファントム!」


 僕は走ってそちらに駆け寄る。


 壁際で小さく揺れるファントム。


 近寄ると、ファントムが小さく揺れながら壁の中へと消えて行く。


「え?」


 すっと同じ所から現れるファントム。

 再び壁の中へ。

 また、現れそこに何かがあると、まるでそう言っているような仕草をする。


 罠かな。

 そう思いながら壁に手を当て調べてみるが特に何も無い。


「どうしたの?」


 ファントムに問いかける。


 再び壁の中へと消えて行くファントム。


「向こうに何かあるの?」


 壁から出てきたファントムに問いかけると縦に揺れるファントム。


 壁か。


 ツルハシを取り出す。


「どうしたの? ショタ君」

「どうも、この先に何かあるみたいです」


 そう言いながらファントムを見上げる。

 忙しなく縦に揺れるファントム。


 僕はツルハシを壁に打ち付ける。

 石が小さくえぐれ穴が開く。


「壁の中か」


 エアルさんも寄って来た。


「仕方ない。

 露天風呂作りで培ったスキル、見せてあげよう!」


 そう言ってエアルさんは、シャベルを取り出し僕と一緒に壁に穴を掘り出した。


「じゃ、私らは引き続きティータイムを満喫してるから、飽きたら呼んで」


 そう言ってアマリさんは去っていった。



 四人の楽しそうな声が後ろから聞こえる中、僕とエアルさんはひらすら壁を崩していく。


「盛り上がってるなぁ」


 スコップを動かしながら、エアルさんが羨ましそうに言う。


「入ってきたらどうですか?」

「いやー、ガールズトークはどうにも。

 ……いや、私もガールなんだけど」


 そう言いながら、スコップを壁に突き立てる。


 いつの間にか僕達二人が丸々入る程に穴は大きくなっていた。


「何があるんだろう」


 僕はファントムを見上げるが、その姿が無く。


 振り返ると、ひよりさんの側でガールズトークに参加していた。


 ファントムは、ガールなの?

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