表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/127

23 特異体・フレアゴーレム

 いつの間にか、前線からリゼさんとひよりさんが下がってきた。


「そろそろだ」

「そうね。バフ居る?」

「ああ。始まったらお願いしたい」

「了解」

「私も」

「はいはい。ついでにショータ君にもね」

「バフって何ですか?」

「一時的にステータスを強化することよ。

 私は風魔法で敏捷を向上させられる」


 そう言う事が出来るのか。


「お願いします」

「高いわよ?」


 ヴィヴィアンヌさんはそう言ってニヤリと笑う。


「お幾らですか?」


 そう返した僕に、一瞬キョトンとした顔をした後口を手で押さえヴィヴィアンヌさんが笑う。


「冗談よ」


 何だ。


『さあ! ボスの間に到着だ!」


 林豪から全員へ通信が入り、僕らはボスの間と呼ばれる広場へと入って行く。







 そこは、体育館ほどの広さの部屋だろうか。

 洞窟にしては、天井が高いなとそう思った。


『来るぞ!』


 その声に、全員が上を見る。


 そこから巨大な赤い岩の塊が落下して来て、地響きが起こる。


『良し! フレアゴーレム! 特異体だ!』

『何だと!』

『聞いてないぞ』


 林豪の嬉しそうな声に、反発する様な声が続く。


「知ってた?」


 ヴィヴィアンヌさんがリゼさんに確認する。


「いや。嵌められたな。

 今更引き返せない」


 そう、首を横に振りながら答える。


『さあ、行くぞ!』


 そう言って、林豪が集団の中心で前に向け剣を振り下ろすのが見えた。


 その横をすり抜け、武器や盾を手にした人達が前へと走り込んで行く。


 僕からは敵の姿は見えない。


「いきなり突っ込むなんて正気か?」


 リゼさんが呟く。

 直後、地響きと共に悲鳴が上がる。


「こうなったらぼやいても仕方ないわ。

 エアロ・エンチャント。

 さあ、二人とも張り切って行ってらっしゃい」

「ああ!」

「ショータ君、白玉お願いね!」

「はい」


 僕らに手を上げ、二人は武器を手に走り出した。


 そして僕も銃を手にするけれど。


「何にも見えません」


 視線の先は人だかり。

 隙間から敵が見えたとしても撃ったら人の背中に当たるだろう。

 時折、人の頭の上に岩の様な物が動いているのが見えるのみ。


「もう少し前に行こうか」

「はい」


 優雅に歩き出したヴィヴィアンヌさんについて行く。


「ヴィヴィアンヌさんは戦わないんですか?」

「魔法使いは最初っから全力出すとすぐガス欠になっちゃうでしょ」


 そう言うものか。


 見渡すとヴィヴィアンヌさんと同じ様に様子を伺って居る人が何人か。


 それに混じり後ろから声を張り上げ指示を出す林豪さん。


「いっちょまえに指揮官気取りか」


 ヴィヴィアンヌさんがそんな林豪さんを冷たい視線で見つめる。


「何で剣士が後ろに控えてるんだか」


 そう言って僕の肩に手を乗せる。


「エアロ・エンチャント」


 僕の周りを一瞬、ふわりと優しい風か包み込んだ気がした。


「さ、私も少し運動して来るわ。

 無茶しちゃダメよ」

「はい。気をつけて」


 僕も行きたいけれど、多分跳ね飛ばされて踏みつけられる。

 かき分けるには少し酷な人波だ。


 それでも、戦いの様子を眺めていた。


 突然、横から衝撃。

 僕の体があっさりと吹き飛ぶ。


 何だ?

 敵は前のはず。


 受け身を取りつつ、顔を上げると林豪さんがこちらを見下ろして居た。


「邪魔だよ。ぼけっとするな!」

「すいません」

「子供は隅っこで金でも掘ってろよ」

「はい」


 そうか。

 そう言うことをして居ても良いのか。


 実は少し気になって居た。

 広場の壁に、チラチラと光る点。

 採掘ポイント。


「ちょっと、掘ってみたいよね」


 ファントムに警戒をお願いして、ツルハシを取り出す。


 どうせ戦いには参加出来そうに無いし。



 そんな風に戦いから外れた僕を気にする様な人は誰もおらず。


 いつの間にか壁にはぽっかりと小さな穴が空いて居た。


 出てきたのは【亜鉛鉱石】と【ラピスラズリの原石】。


「宝石、出たね」


 ファントムに話しかける。


 何もして居ないけれど、良いものが手に入ったな。


 相変わらず戦いの喧騒は続く。


『範囲攻撃、来るぞ!

 HP注意!』


 林豪さんの声が飛ぶ。

 直後、床が微かに赤く光る。

 強力な全体攻撃の合図。

 そうリゼさんに教えられた。


 だからと言って、逃げ場は無いし、HPを回復して耐えるしか無いらしい。


「あるじゃん」


 逃げ場。


 僕の掘った穴の淵で、ちょうどその光が途切れて居る。

 でも、人が逃げ込むにはその穴は小さすぎる。


「君らは入れるよね」


 白玉とそして、ファントム。

 二体を避難させた直後、視界が真っ赤に染まった。


 地下から、炎が噴き出した。

 それだけで、僕のHPはオレンジ。

 つまり、半分を切った訳だ。


 悲鳴が飛び交う中、僕は自分のHPをポーションで回復する。


「大丈夫だった?」


 穴の中の二体は元気に震え、ニャーンと鳴いた。


 こっちは問題無さそうだ。


 問題なのは、プレイヤーの方。

 三分の一程数が減った様だ。


『畳み掛けるぞ!』


 そう、林豪さんの声。


『回復優先だろ!』


 誰かが異議を唱える。


『不要!

 もう、範囲攻撃は無い!

 行くぞ!』


 そう言って突っ込んで行くのが見えた。


「回復、しちゃったよ。

 僕もちょっと行ってくるね」


 穴に向け、そう言ってから銃を手に走り出す。

 人が減って射線が通りそうだから。


 人の隙間から初めてちゃんと見た敵は、巨大な岩石を人型に組み上げた様なモンスター。

 全高は三メートル近いだろうか。


 寄って来るプレイヤーを、腕を振り回して追い払う。


「あれが当たったら車に轢かれる様なものだろうね」


 僕はその頭に向け一発。


「弾かれたよ」


 弾丸は表面に接触し、そして、軌道が外れ後方へと消えて行った。


 弾を金に変える。

 これならどうだろう。


 額に弱点が光る。

 そこへ向け、引き金を引く。


 放たれた金の弾丸は真っ直ぐにフレアゴーレムの額まで飛び、そこへ大穴を空ける。


 効いた。

 もう一発。


 しかし、構えた先に林豪さんの背中。

 射線を遮られた。


『ラストアタックだ!』


 そう叫びながら剣を振りかぶる。


 直後、大地に振動が走る。

 そして、再び床が赤く。


『ヤバ!』『ウソ!?』『回復……』


 プレイヤーの絶叫をかき消す様に地面から炎が噴き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ