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22 エリアボス討伐へ

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 工房の掃除をして、朝御飯。


 そしてインゴット作り。


 その後、親方の手伝い。


 そうやって、過ごすうちにリゼさんと約束した時間が迫る。


「親方。僕ちょっと約束があるので」

「そうか」


 そう言って工房から出ようとしたら。


「こんにちわー」


 と、元気な声でひよりさんが入ってくる。

 後ろにリゼさん、そしてヴィヴィアンヌさん。


「お師匠さん、お弟子さん借りていきますね」

「ああ。アランの所の子か」

「ええ」

「ついでにコレを持っていきな。

 頼まれてた鋏だ」

「ありがとうございます!」


 そう言って鋏をヴィヴィアンヌさんに渡す親方。

 そして、腰に手を当てながら僕らを見渡す。


「しかし、皆でピクニックかい?」

「いえ、北西の洞窟。あそこの化物を倒しに行くのだ」


 そう、リゼさんが答える。


「今日……か?」


 親方が露骨に眉根に皺を寄せる。


「何か?」

「いや。今日は日が悪いんじゃないかと思ってな」

「日が悪い?」

「ああ。今日は火の日だ」

「しかし、他にも仲間が大勢集っている。今更予定は変えられない」

「そうか。なら……十分用心しろ」


 最期は、僕の方を見て、そう言った。


「わかりました。親方」

「ショータ君、着替えて来なよ」

「いや、このままで良いです」


 ひよりさんに言われるが、僕はツナギのまま行くつもりだ。


「ちょっと、私の服が着れないのかしら?」

「そういう訳じゃないですけど、こっちの方が性能が良いので」

「それ、師匠の服ね!? いい感じに仕立てちゃって!」

「ははは。あれで腕は一流だからな。アランは」

「すぐに追い抜いて見せますわ!」


 何故か、僕を睨みつけるヴィヴィアンヌさん。


「さ、そろそろ行こうか」

「気を付けてな」

「「「「はい」」」」

「行ってきます、親方」


 親方は、僕らを手を振って見送った。


 ◆


「火の日って何のことだろうね?」

「丁度火曜日だからな。そういう事なのでは無いか?」


 ひよりさん疑問にリゼさんが答える。

 ヴィヴィアンヌさんは、歩きながら僕の服をつまみ何やら観察をしている。

 そのせいで若干歩きづらい。


「リゼさん。あのジャンプ力って何の力ですか?」

「あれは、【身軽】のアビリティだ」

「便利ですか?」

「ああ。ジャンプ力が上がってとステップの距離が伸びる。

 ただ、重装備をすると効果がないので、装備重量軽減のアビリティも同時に必要になる」

「ツナギなら関係ないわね」

「ふむ」


 僕は少し考える。


 流石にジャンプしながらだと命中率は下がるだろうが、高い打点から撃ち下ろして弱点を狙うことも可能か。


「SP余ってるのか?」

「はい」

「なら、【不屈】が良いぞ。HPがゼロになっても一度だけ耐えることが出来る」

「不屈」


 それもいいなぁ。


 歩きながら少し考え、僕は身軽を取得した。

 よく考えたらHPは回復すれば良いのだから。


 それから、回復アイテムを大量に仕込み町の中心へ。


「凄い人ですね」


 今まで見たことが無い様な人だかり。


「今回は10パーティ60人。

 まあ、ウチは召喚士二人いるから、最大58人かな」


 そんな僕らに金属の鎧を纏った剣士が近寄ってくる。


「やあ。久しぶり。

 今日はありがとう」


 笑顔を浮かべ、そうリゼさんに声をかける。


「こちらこそ。

 この四人が私のパーティメンバーだ。

 初めてなのはショータだけだな」

「ショータです。はじめまして」

「何だ? この子供は。戦えるのか?」


 頭を上げた僕に、そう言う言葉。

 子供なのは事実だし、多分彼よりはレベルが低いかもしれない。

 戦力外、と言うことだろうか。


「大事な戦力だ」


 しかし、リゼさんはそうフォローしてくれる。


「そう。まあ、すみっこで回復でもしてなよ」


 そう言って、男は去って行った。


「アイツは、林豪リンゴ。今回の発起人だ」

「相変わらず、気色悪い男よね」


 リゼさんとヴィヴィアンヌさんが顔を顰めながらそう言った。


 ◆


『今回の目的は、南東の洞窟、マグマゴーレム!

 最前線グループに遅れを取っているが、バランス調整以降、奴を倒したグループはそんなに多くない!

 今日は選りすぐりに声をかけた。

 第二エリアはすぐそこだ!』


 広場の噴水の縁に乗り、林豪が叫びながら剣を掲げる。

 それに呼応するように、半分ほどが武器を天高く掲げる。


 やったほうが良いのかと周りを見るとリゼさんは腕を組んでいるし、ヴィヴィアンヌさんは相変わらず僕の服を摘んでいる。

 ひりよさんに至ってはしゃがみこんで白玉と戯れている。


『行くぞ! 戦士達!

 俺に、続け!!』


 その声に呼応するように、野太い声が続く。


 僕も、小さく「おー」と言ってみた。


 ◆


 全員が一団となって進む。

 リゼさんとひよりさんは前の方に。

 僕とヴィヴィアンヌさんは最後尾から付いていく。

 白玉は僕が預かることになった。


 今、僕の頭の上に乗っている。

 そのせいで少し歩きづらい。


 よって来る敵は他の人達が倒しているのだろう。

 僅かずつ経験値が増えている。

 何もしていないのに。


「楽でいいわね」

「そうですか?」

「そうよ」


 折角色々準備したのに。

 このままだと本当にやることが無いかもしれない。


 視界の中を埋め尽くすスタンプを眺めながらそう思う。

 このままだと、射線を遮る障害物が多すぎる。


 狙いを正確につけられない。


 ◆


 いつの間にか、僕の周りに数名の女の人が集まってきていた。

 皆、魔法使いとか、弓使いとか、後衛の人だと言う。


「かわいー」

「ヤバす!」

「映える!」

「尊い」


 そんな声やらスタンプやら。

 平然としている白玉が羨ましい。


 ファントムは少し上の方でやや暗い色になって小さくなっている。


『もう洞窟の入り口はすぐそこだ。

 それぞれ持ち場に戻って下さい』


 林豪りんごさんからレイドメンバー全員に向け通信が入る。


 そして、僕だけにも。


『あんま調子のるなよ』


 と。


 何のことだろう。


 ◆


 洞窟は、普段行っているところより、縦にも横にも広い。

 そして、奥にも。

 出る敵も種類は同じだけれど、レベルはこちらの方が高い。

 その分、攻撃パターンに変化がある。


 らしい。


 最後尾を進む僕は、本当に何もしないで付いていくだけなのだ。


「ショータ君、死んでも<帰還>しちゃ駄目よ」

「そうなんですか?」

「そう。死んでも、ボスエリアに残っていれば倒せた時に経験値が貰えるのよね。

 それに、ボスの動き方や、他の人の戦い方も観察できるし。

 まあ、退屈だけど」

「<帰還>するとどうなるんですか?」

「ステータス異常付きで復活。

 仮にだけど、戻ってくれば戦いに参加出来るわ」

「その方が良くないですか?」

「デスペナ解消にお金かかるし、戻って来る間に戦い終わっちゃうかも知れないでしょ?

 それでまた全滅したら全部が無駄になるし」


 そういうものなのか。


 僕は仮想ウインドウを開き、今来たメッセージを確認する。


 アマリさんから。


 ◆


 ショタ君!

 ボスに挑むんだって?

 次のエリアで首を長くして待ってるから早くおいで!

 早く、おいで!!


 ◆


 僕の力ではどうにもならなそうだな。

 前を進む集団の背中を見ながら思う。


 僕の背の低さもあるし、相変わらず流れ続けるスタンプもある。

 敵が見えない。


「スタンプ、邪魔ですね」

「気になるなら全部非表示に出来るわよ。

 あと、通信も遮断できる」


 そう言ってヴィヴィアンヌさんはその操作の方法を教えてくれた。


 取り敢えず、スタンプだけ非表示にしてみたものの、やっぱり僕の目線の高さからは敵を捉えるのは難しそうだ。

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