14 鉱石採掘
「ま、良いか。探そう」
そうファントムに声をかけ、僕はフィールドへ下りて行く。
アマリさんなら知ってそうだけれど、折角だからファントムと二人で探そうと思った。
クエストの期限は30日後で、それまでまだ余裕があるから。
鉱石なのだから、多分鉱山とか、それとも、山? 洞窟?
見える範囲で高い山は無いので、洞窟かな。
そう言えばリゼさんは洞窟があるって言ってたな。
まずはそれを探そう。
ファントムが僕より高く飛んで、敵が居たらラップ音で先制してくれる。
そのお陰で、敵を苦にする事は無かった。
そうやって、敵を倒して居て撃った時にダメージにばらつきがありそうだと気がついた。
ただ、その原因がわからない。
敵との距離でも無いし、部位でも無さそう。
「わかんない事だらけだ」
そう呟いた僕にファントムが揺れて答える。
「ま、そういう方が、『楽しい』のかな」
そうやってフィールドをあてもなく歩いて居ると、辺りは岩の転がる荒野へと変わる。
「こういうところにあったりするのかな」
取り敢えず、僕は銃を腰にしまいツルハシを持つ。
そして、少し低い崖になって居るところへそのツルハシを振り下ろす。
すると、思った以上にツルハシの刃が崖に食い込み小さな穴が開く。
そして、僕の手の平よりは大きな塊が足元へ転がる。
「何だかわかんないじゃんね」
素材アイテム【鉱石?】
一つ拾い上げたそれはこんな表示で。
僕は仮装ウインドウを開いてスキルリストを確認する。
補助スキル【識別】
対象の名前や状態を認識する
これだろうね。
SP10を使用してそのスキルを取得する。
そして再び手にしたアイテムを確認。
素材アイテム【鉄鉱石】
他にもいくつか転がっている物は、【石】だったり、【土塊】だったり。
【鉄鉱石】だけアイテムボックスにしまいこみ、再びツルハシを振る。
再び崖に穴が開くけれど、今度は鉱石は無く。
そうやって僕は無心でツルハシを振るう。
◆
「全然出ないじゃん」
もう、一時間はやっているだろうか。
崖は穴だらけ。
でも手に入ったのは、最初の鉄鉱石一つ。
時折背後から遅いかかってくる【ブラウンウルフ】はファントムのおかげで危なげなく倒せて居る。
【識別】の力で敵のHPも見えるようになった。
そして、やはり攻撃が当たった時のHPの減りが違う時がある。
稀に、通常の1.5倍ほどのダメージを与える事がある。
何か原因があるのだろうけれど。
ま、それは後にしよう。
今は、発掘。
休憩、終わり。
「じゃ、敵が来たら教えてね」
ファントムへそう声をかけ、僕はツルハシを振り下ろす。
出てくるのは土と石だけ。
でも、楽しいな。
◆
ツルハシが崖に穴を開ける。
また、外れ。
<ポーン>
システム音だ。
<レベルアップしました!>
へー。
ツルハシで崖を削って居るだけでもレベルが上がるのか。
<【召喚】スキルがレベルアップしました!>
<ファントムがレベルアップしました!>
<ファントムの【霊障】スキルがレベルアップしました!>
お。
「レベルアップしたって!」
周りを警戒して居たファントムを見上げ呼びかける。
そして仮想ウインドウを確認。
◆
【ショータ】プレイヤー/Lv4 SP:50
スキル
【召喚】Lv2
【識別】Lv1
アビリティ
【敏捷強化】
装備品
【ハンドガン】短銃/ランク1
【黒獅子革のスーツ(子供用)】体防具/ランク:2
【黒獅子革のブーツ(子供用)】靴/ランク:2
称号
【おねショタ】
【???】ファントム/Lv2 親密度:35
スキル
【霊障】Lv2
アビリティ
【浮遊移動】
【障害物通過】
【物理攻撃無効】
【回復無効】
◆
「じゃ、もう少し頑張ろうか」
僕の呼びかけにファントムが揺れる。
◆
「随分掘ったね」
僕は自分の掘り返した後を見ながらファントムに問いかける。
ファントムは静かに揺れる。
やっぱりレベルが一つ上がっただけだと何も変わらないか。
そして、手に入ったのは鉄鉱石が三つ。
途中、ひよりさんから狩りのお誘いがあったけれどやる事があるので、とお断り。
空が明るいままなので分かりづらいけれど、現実はそろそろ夜だ。
ツルハシを返しに町へ戻ろう。
◆
「ツルハシを返しに来ました」
「どうだった?」
職人街の女鍛治さんの工房へ。
彼女は工房の中に座って居た。
「鉄鉱石が三つです」
「一日やってそれだけか」
「少ないですか?」
「少ないな。
掘る場所が悪いんじゃないか」
「でも、鉱石のある場所なんてわかりませんし」
「それは、感じ取るしか無いな」
「感じ取る……」
「まあ、すんなり諦めろ」
「諦めません。明日も借りに来ます」
「そうか」
ツルハシをあったところへ戻す。
「では。
失礼します」
「待て」
「何か?」
「腹減って無いか?」
「はい?」
「少し作りすぎた。
食べて行け」
工房の二階が住居で、そして、食事が用意してあった。
「ありがとうございます」
「作りすぎただけだ。
冷める前に食え」
「いただきます」
それは、シンプルなトマトソースのパスタ。
「美味しいです」
「……そうか」
一瞬笑みを浮かべた後、彼女はなぜか仏頂面になって、パスタを口に運び始めた。
◆
「感じろだって?」
僕は宿に戻り、女鍛治さんの言葉を繰り返す。
いかにもな、言葉だけれど。
「まあ、良いや。明日もよろしくね。
おやすみ」
ファントムへそう声をかけ宿でログアウトする。




