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106 爆発

『ショータ! 今どこ?』

「町の入口です」


 マリーさんだ。


『バカな連中が、町の中を爆破してるみたい。

 取り敢えず、町の人たちを避難させてるわ。

 ……残念だけど、オヴェット工房も』

「親方は?」

『ノーラさんは無事。安心して。

 奴ら、ボイラーとかを優先して狙ってるみたい。

 それで被害が大きくなってる』


 なるほど。

 ある程度、町を壊すために計画を立てていたと考えて良さそうだ。


「ろくろさんは?」

『死に戻った。今、始まりの町。

 疑いたくなるのはわかるけど、あの子は白よ』

「そうですか。

 それで、僕は何をすれば良いですか?」

『……火を消すのを手伝ってもらうくらいしか無いな。

 PKが出来ないシステム上、バカ共を止めるのが難しい。

 出来るのは避難誘導くらいか?

 でも、お前の背丈じゃ役に立たないな』


 それは、もっともだな。


「ひとまず、町へ入ります」

『ああ。

 何かあったら連絡する』


 町を貫く大通りには、人と混乱が溢れかえる。

 まだ移住が始まったばかりの森の町は始まりの町よりずっと人が少ない。

 普段は大多数を占めているプレイヤーの姿もまばらだ。おそらくイベントへと赴いているのだろう。


 僕はそんな中、人を避けながらオヴェット工房へと急ぎ向かう。


 遠目からも、工房が受けた傷跡の深さは窺い知れた。

 壁は三面が吹き飛び、黒煙がくすぶる。

 既に消し止められたか、防火処理が効果を発したのか既に火は下火だ。


 そして、破壊されて居るのはオヴェット工房だけではない。

 防具屋、それから、武器屋。

 その他、煙が上がっている方向はおそらく共同の工房と、エアルさんのお風呂屋。

 ……全て、ボイラーのある所。


 つまり……既にある設備を利用して被害を大きくさせている……?

 なぜ?

 仕掛けとなる火種の火力が高くないからか?

 セーフティーエリアの中では魔法は使えないはずだから……何かのアイテム。例えば、カルテさんが作った宝石とか。

 他にめぼしい施設は無い。

 なら次に向かうのは……木造住宅の立ち並ぶ住宅区域か?


 僕はその方向へ足を向ける途中で耳にした爆音と、目にした煙で考えが正しかったと悟る。


 逃げようとする人の流れに逆らいながら走り、そして怪しい人影を捉える。


 足早にどこかへと向かうソイツは、混乱の支配する場所にあっても動きに迷いが無い。


「ファントム! 道!」


 指示に答え、出現した物質化マテリアライゼーションに寄る魔力板。

 その上に飛び乗り、人々の頭上を越え走り抜ける。

 こんなに目立つと、またバランス調整で使えなくなるかも知れないけど、今隠すべきでは無い。


 必死で走る男は、混乱と喧騒のお陰で背後、上空から迫る僕に全く気付かない。

 男は走りながら右手で何かを取り出し握り込む。

 放り投げられた宝石。

 すぐさま、引き金を引いてセットしていた水の属性弾でそれを破壊する。

 火には水。

 僕の銃弾はカルテさんの雑な量産品には負けない。


 そこで初めて僕の存在に気付いた男が立ち止まる。

 そこから三メートル程離れ、着地。


「何だ?」


 男は右腕を上げ銃口を向けた僕に怪訝そうな顔を向け、そしてニヤケ笑いを浮かべる。


「何のつもり?」


 その問いに僕は引き金を引く事で答える。

 右手の先から飛び出して行った銃弾は、男に当たりそのまま砕け散った。


「PK出来ないって、知らないの?」


 こちらを見下しながら男が言う。

 返事代わりに、引き金を引く。

 結果は、変わらず。


「お前、開拓組の仲間だよな?

 どう? ご自慢の町が、崩壊していく気分は?」

「別に」


 町が壊れるなんて、どこにでもある話だし、当然そこに住む人が道連れになる。

 それはよくある話で、それに何かを感じいるような、そんな風には生憎と育ってない。

 平和が当たり前のこの国で生まれ育った彼らにはわからないだろうけど。


 僕はリロードして引き金を引き続ける。


「鬱陶しいな。

 言ってる事と、やってる事が全然違うんだけど」

「そうですか?」

「だってお前、すげぇ顔が必至じゃん!」


 そう言って、笑い声を上げる男。

 そして、両手に宝石を出現させ握りしめる。


「まあ、町は俺たちが作り直してやるからよ!」


 そう言いながら右手を振りかぶり、住宅がひしめく方向へ宝石を投げつけようとする。


「止めろぉ!」


 思わず叫び声を上げていた。

 直後、男が動きを止めその手から宝石が零れ落ちる。

 地に落ちた宝石を素早く銃で撃って破壊。


 男が、怪訝そうな顔をこちらに向ける。


 奴の動きを止めたのは僕の叫びなんかではなく、ファントムのラップ音。

 そのファントムの放つ青い炎が、男を包み込み一際高く燃え上がり、男と共に消滅した。


 再び耳に届く爆発音。

 他にも仲間が居るのは明白だ。


「……守りたいんだ。

 力を貸してくれる?」


 そう語りかけたファントムは、小さく縦に揺れそれから、僕を包み込む様に大きく広がっていく。

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