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103 現実には無いもの

「ただいま戻りました」

「あ、お帰りなさい。先輩」

「こんにちは」


 工房には、ろくろさんが居て機械の前で作業をして居た。


「あ、使いますか?」


 実は使いたくて、でも、先客が居たからどうしようかと思ったところなのだけれど。


「良いんですか?」

「いつも、私の方が落ちるの遅いんで。

 今日はメンテ直前までやってるつもりです。

 なのでお先にどうぞ」

「それでは、お言葉に甘えさせていただきます」


 ろくろさんが機械の前を片付ける間に僕はインゴットを用意する。


「まあ、作るのは先輩の銃弾なんですけど」

「ああ、ありがとうございます。

 助かります」

「先輩は何を作るんですか?」

「知り合いの矢です」


 取り敢えず、属性付きを五十本ずつ六種。

 注文を貰った数の一割くらいだけれど明日のイベント前に少しでも渡した方が良いだろう。


 火属性を込めたアルミのインゴットを機械にセットする。

 やがて機械は細長く加工された金属を規則正しく吐き出し始める。


 僕はその様子をじっと眺めていた。


「楽しそうですね」


 出来上がった矢を検める僕にろくろさんも楽しそうに言う。

 そうかな?

 そんなつもりは無かったけれど。


「先輩、このゲーム楽しんでますね」

「……そうでしょうか?」


 改めて言われ、僕は考え込んでしまう。

 楽しむ。

 そう言われればそうなのかもしれない。


 この工房で何かを作るのも飽きないし、親方のご飯は毎日工夫が凝らされている。

 ローズガーデンの人達は僕を歓迎してくれている様だし、フェンリルの人達もそれは同じだ。

 中にはよく思ってない人もいそうだけれど、それでも上手く溶け込んでいる様に思える。

 そしてなりより、毎日行動を共にしている存在がある。

 僕はファントムを見上げ、そして、ろくろさんの方を向く。


「そうですね。楽しいです」


 そう、言い直す。


 どれも現実には一つもない物なのだけれど。


「……なるほど」


 何故かろくろさんが顔を赤くしてそう呟いた。


 何に納得したのだろう。


 少し視線を逸らしたろくろさんは、もう一度顔を上げ僕を見る。

 それは、今まで見た中で一番真剣な眼差しだった。


「……こんな言い方すると、悲しくなるかもしれないけど、いつまでも続く訳じゃ無い。

 それは、覚悟しておいた方がいいかもよ」


 その言葉に僕は小さく頷く。


「わかります。

 明日、突然全てが無くなることは別に珍しい事ではないですよね」


 例えば、家とか、名前とか。


「……ごめん。なんか、そんな事を言うつもりじゃなかったの。ごめん。

 あー、もう、どうしてだろう……」


 彼女が、片手で頭を掻きもどかしそうにする。


「大丈夫です」


 そう言って僕は次のインゴットを機械にセットする。

 なんとなく、何を言わんとしているかはわかったから。


 暫くは、ただただ機械の音だけが工房へ響く。

 やがて、氷の矢が出来上がり、次のインゴット。

 水の矢、地の矢と順に出来上がって行く。


「……ずるいよね」


 機械が動き出す前のちょっとした静寂の間にろくろさんが呟く。


 何がだろう。

 僕は彼女の方を見る。


「こうやって、楽しさを提供して人を集めてさ、でも、暫くして採算が取れない。

 お金にならないってなると、あっさり全部無かったことにしちゃうなんてさ」


 その呟きは僕に向けた物だったのだろうか。


 風の矢を作るべく機械のスイッチを入れる。


 そしてインゴットを手に取り、次の付与魔法を掛けるべく、仮想ウインドウを操作する。


<ポーン>

<レベルアップしました!>

<【召喚】スキルがレベルアップしました!>

<【アイテム使い】スキルがレベルアップしました!>

<【体術】スキルがレベルアップしました!>

<ファントムがレベルアップしました!>

<【霊障】スキルがレベルアップしました!>


「……やった」


 思わずそう呟いてしまった。

 これでファントムのレベルは9だ。

 もう少しでクラスチェンジと言うのをするかもしれない。

 そしたら、話が出来るかな。


「どうしたんすか? 先輩」

「ファントムがレベルアップしました。

 あと一つで十になるんです」

「おお! やったじゃないですか!

 イベントでアイテムゲットすれば直ぐなんじゃないすか!?」


 さっきまでの雰囲気を吹き飛ばす様にろくろさんが明るい声で言う。


「そうか。頑張ろうね」


 そう声をかけたファントムは、小さく縦に揺れた。


 やがて出来上がった矢をまとめて仮想ウインドウでセレンさん宛てにフリマの納品ボックスへと入れておく。


「ショータ、帰ってたのか」


 片付けをしている間に親方が工房へ顔を出した。


「広場に屋台が出ている。

 みんなで行こう」

「やった! 行きましょう! 先輩!」

「はい」


 その後、親方と僕は初めて食べた屋台の焼きそばと言うものに一気に虜になった。

 店の人は、これで完成品じゃ無いと悔しそうに言っていたのだけれど。


 ◆


【ショータ】プレイヤー Lv33 SP:100


スキル

【銃技】Lv7

【召喚】Lv9

【識別】Lv7

【採集】Lv5

【付与魔法】Lv10

【アイテム使い】Lv5

【体術】Lv4

【ナイフ技】Lv2


アビリティ

【敏捷強化】

【感知】

【狙撃】

【連撃】

【二刀流】

【耐火】

【身軽】

【聡明】

【活性化】

【風水】

【フォレストアドベンチャー】

【索敵】

【素材強化】


装備

【ON-4 W】短銃/ランク4

【ON-L4 W】短銃/ランク4

【黒獅子革のコート(子供用)】体防具/ランク4

【黒獅子革のスーツ(子供用)】体防具/ランク2

【黒獅子革のブーツ(子供用)】靴/ランク2

【ガラスのゴーグル】眼鏡/ランク2


称号

【おねショタ】

【鍛冶屋の弟子】

【冥界の刻印】

【銃の使い手】

【付与魔法の使い手】

【初級召喚士】

【アイテム加工業者】

【逆耐性体質】

【森の加護】

【波の加護】

【風の加護】

【森の四姉妹の寵愛】

【風の女神の慈愛】



【???】ファントム/Lv9 親密度:98

スキル

【霊障】Lv9

アビリティ

【浮遊移動】

【障害物通過】

【物理攻撃無効】

【回復無効】

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