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100 四つの封印のその先

 フェンリルが一同に会し、魔法陣の前に並ぶ。


「行くぞ」


 先頭に立つヴォルクさんが、魔方陣の中央に浮かぶ淡く光る玉へと手を伸ばす。

 だが、それに触れる前に異変が起きる。

 お腹に響くような重低音……。

 直後、衝撃と共に大地が揺れる。


「地震?」


 誰かがそう呟く。

 だが、揺れは直ぐに収まった。

 フェンリルの面々は武器を手に、周囲を警戒する。

 しかし、僕の索敵には敵らしい影は無く。


「……何でしょう。現実でも何か起きたわけでは無さそうですが」


 黒さんが仮想ウインドウを開きながら言う。


「……演出かな。よし、気を取り直していくか!」


 再び、ヴォルクさんが玉へと手を伸ばす。


『啓示を求める者よ。

 道を上り、天へと参れ』


 どこからともなく聞こえる声。

 そして、玉から一筋の光が真っ直ぐに空へと延びる。

 まるで、一本の柱の様に。


 ヴォルクさんが、一度振り返る。

 そして、僕らを見渡し、ゆっくりと一度確認するように頷く。

 そして、その光の中へと歩みを進める。


<ポーン>


 システム音が鳴る。


<この先は、未開放のエリアとなります>

<近日中にアップデートを予定しております>


 ……つまり、この先は行けないと言うことか?

 静まり返る一行。


「撤収!」


 静寂を打ち破るように、唐突にハヤトさんがそう叫んだ。


 ◆


「何だよー。飛んだ肩透かしだよ!」


 クランホームに戻り、ベルヒさんが叫ぶ。


「五月蝿い。ボス退治に行くぞ」


 そんなベルヒさんを螢さんが後ろから頭を叩きながら声を掛ける。


「えー! 今日もマラソンっすか!?

 もう飽きたっす!」

「何だって?」

「もー。何百周するんすか……」


 蛍さんは馬人間を倒すと稀に手に入る、『神器の欠片』という素材を集めているらしい。

 ゆくゆくはそれで武器を作りたいそうだが、それには莫大な数が必要で、更に素材が百回倒して一つ手に入るかどうかの低確率らしい。


「黙ってついてこいよ」


 蛍さんが笑顔のままベルヒさんに強制する。

 だが、ベルヒさんは首を縦には振らず。


「おいおい。そうやって強制すんなよ。

 俺が付き合ってやるから」

「やった! 流石は団長!」


 たしなめるように現れたヴォルクさんに蛍さんが心から嬉しそうに飛び跳ねる。


「お前も行くー?」


 端で見ていた僕に、蛍さんから声がかかるが首を横に振りながら返答する。


「すいません。僕は、やることがありますので」

「ちぇー。たまには付き合えよー」

「良いじゃねーか。行くぞ」

「はーい」


 ヴォルクさんの跡を嬉しそうに付いて行く螢さん。

 そして、残されたベルヒさんは小さく溜息を吐いてから何処かへと消えて行った。


 ◆


「来たか」

「律儀だな」

「殊勝だな」

「あるいは愚か者か」


 何故か魔法陣の前で僕を待ち構えている四体の馬頭神。


 なんだろう。

 デジャブ?


 皆、偉そうに腕組みをしている。


「お前の仲間はどうして毎日毎日戦いにやって来るのだ?」

「蛍さんですか」


 今、まさに行っている筈だが。

 ここに四体揃っていると言う事は、彼らは無駄足なのか?


「今、我が相手をしておる」


 そう、赤い馬頭神が言う。


「今?」

「左様。今まさに返り討ちにしてやるところだ」


 分身みたいなものなのかな。


「えっと、封印を解きます」

「言葉は覚えているか?」

「英雄の名は、ウェール」

「封印されし神の名はデイストルクス」

「死の女神の名はシャルディーニ」

「初めに魔神の名。

 次いで、英雄の名。

 そして、死の女神へ語りかけるのだ。

 二つの魂へ安らぎを」


 馬頭神達が口々に言う。

 一度、聞いて回ったのはなんだったんだろうか。


「では。

 デイストルクス。

 ウェール。

 シャルディーニよ。

 二つの魂へ安らぎを」


 僕は、進み出て四体の中心でそう言葉を紡ぐ。


 静かな風が流れ、髪を揺らす。


 これから一体何が起きるのだろうか。




「何も起きぬとな!」

「よもや!」

「あり得ぬ!」

「あってはならぬ!」

「しかし、既に」

「しかし、そんな事は」

「しかし、そうとしか考えられぬ」

「しかし!」


 口々に言う馬頭神達。

 なんだろう。

 この無駄なコンビネーション。


「ちゃんと説明してもらえますか?」


 彼らを見上げながら言う。


「封印は、既に無い」

「今、僕が解いたのでは無く?」

「主が解く前より解かれておった」

「何時? 誰が?」

「わからぬが、そう遠い昔では無い」

「するとどうなるのです?」

「わからぬが、デイストルクスを救う機会は失われた」

「そして」

「我らも」

「これより」

「自由となる!」

「「「「フハハハハハハ」」」」


 四体の馬頭神が、高笑いを上げながら嬉しそうにポーズを決める。


 自由か。

 取り敢えず、全員まとめて相手してもらおうかな。

 ちょっと、イラっとしてるし。


 僕が銃を取り出そうとする前に、しかし、彼らは高笑いを残し消えて行った。


<ポーン>

<称号【四騎神の加護】を入手しました>


『再び封印が必要ならば我らを呼べ。人の子よ』


 ……逃げられたか。


「一体何なんだろうね」


 服の中に隠れていたファントムにそう声をかけ僕は森の町へと戻る。



 ◆


 アップデート&イベント予告!


 Vinculum Onlineをご利用いただきましてありがとうございます。


 サービス開始、100日を記念しまして、

 新エリア開放、新機能追加などのアップデートと、

 ゴールド、経験値、スキル経験値が手に入る一大イベントを開催予定です。


 それに伴い、下記日程にてメンテナンス作業を実施いたします。

 メンテナンス作業中はVinculum Onlineをご利用いただけません。

 お客様にはご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。


【システムアップデート】

 ・新エリア開放

 ・レベル上限変更(最大80)

 ・転生システム実装

 ・バランス調整


【イベント】

 ・ハロゥイン・秋の大収穫祭

 ※詳細は別途発表します。


【メンテナンス作業予定時間】

 10月24日 01:00~06:00

 ※終了時刻は作業状況により前後する場合がございます。予めご了承ください。


 Vinculum Online運営チーム

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