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92 二人の副団長

「おや、ショータさんも一緒ですか」


 転移した先は、新大陸フィールド中心の遺跡。

 既に黒さんの姿があった。


「暇そうにしてたからな」


 決まった予定があったわけではないけれど、暇そうにしていたつもりはない。


「お二人で何をするんですか?」

「調査ですよ。

 昨日調べてもらった情報の裏取りと、攻略の為の情報集めです」

「お前、疾走とスタミナ強化のスキル持ってるか?」


 そう、ハヤトさんに問われ首を横に振る。


「今直ぐ取れ」

「はい」


 言われた様に【疾走】スキルと【スタミナ強化】のアビリティを取ってセットする。

 迷っていたSPの使い途は強制的に決まってしまった。


 疾走というのは、早く走るただそれだけのスキル。

 スタミナ強化と一緒に使うことで常に短距離走の様な速度で走れる。

 ただ、走りながらは魔法が使えないとか、索敵の効果が限定されるとかデメリットもある。更に、MPも消費する。

 好みが別れるスキルだと、黒さんが教えてくれた。

 ただ、僕の場合は魔法は使わないし、索敵も風水のおかげで効果に問題はない。

 更に、活性化のアビリティのおかげでMPの消費も気にならないくらいに少ない。


 もっと早く知っておけばよかったなと走りながら思う。

 これなら、頑張れば全力で走るスコルと並走することも出来そう。


 ◆



 まず僕らが訪れたのは西の廃墟群。

 昨日は外から眺め引き返した。

 今日は違う。

 ハヤトさんと黒さんはそれぞれ剣を手に歩みを進めていく。


 僕も、銃を手にしその後を追う。



 すぐさま物陰から現れるモンスター。

 鎧と剣を纏った、灰色の彫刻の様な姿。


 モンスター【ストーン・パペット】レベル:35

 古に作られし石の守護者。

 性質

 土


 ゆっくりと向かい来る敵に、二人は一言も発さずに斬り込んで行く。


 一人が引けば、もう一人が押す。

 そんな息の合った攻撃。


 僕は一度向けた銃を下ろし、他を警戒する。


 目の前の敵は二人に任せれば大丈夫だろうから。



 ◆



「何にもねぇじゃねぇか」


 遺跡を歩き回り、そしてハヤトさんがぼやく様に言う。

 ストーン・パペットが襲って来るぐらいで特に目立つ様な物は無い。


「丹念に調べないと駄目かも知れませんね。

 他をまわりますか?」

「そうだな……」

「では……火山の方へ行きましょうか。

 団長が真っ先に行きたがるでしょうし」

「ああ」

「ここは、私のチームで改めて調べることにします」


 そう言って黒さんは僕の方を向いて口角を上げる。


 ◆


 走って移動し火山の麓まで来た。


「さて、毒ガスが出てると言う事でしたけれど」

「お前、毒耐性か状態異常耐性持ってるか?」


 そう、ハヤトさんに問われ首を横に振る。


「取れ」

「駄目です」

「あん?」

「称号の所為で、そのスキルは取れません」


 そう答えた僕にハヤトさんは舌打ちをする。

 逆耐性体質が意外な形でネックになった。

 それで無くとも、SPが無いのだけれど。


「そう言う事もあるのですね。

 ふむ。

 何か別の手段を考えましょう」


 黒さんが微笑みながら言う。

 そう言えばガスマスクさんに言ったら、あのマスク貸してもらえるかな。


「次、行くぞ」


 ハヤトさんが吐き捨てて駆け出す。


 ◆


「ここは後回しだな」


 氷原の手前でハヤトさんは白い稜線を眺めながらはっきりと言った。


「どうしてですか?」

「寒ぃのはキライなんだよ」

「ふむ。

 では、次ですね」


 黒さんは微笑みを崩さない。


 ◆


「どんだけ空いてんだ? この穴」

「十や二十では効かないでしょうね」


 南の洞窟群を眺めながら、二人がぼやく様に言う。


「くまの奴、聞いてねーぞ」

「彼女の送って来た画像には穴が一つしか映ってませんでしたからね。

 よもや、これほどとは」

「団長なら、全部制覇するって言いかねないぞ」

「まあ、そうでしょうね。

 一つ、入って見ますか?」

「それで当たりを引いてもつまらねーから止めておく」

「では、今日のところはこれで引き上げましょう」

「ああ」


 ハヤトさんは溜息を一つ吐いて、僕の方を見る。


「悪かったな。つまんねー事に付き合わせて」

「いえ、楽しかったです」


 この二人は道中、殆ど喋らなかったけれどそんな事は関係なく互いの思考を理解して居るのだとわかった。

 だからなんだと言う訳では無いけれど。



 ◆



「そりゃ、だって結婚してるからな」

「あ、そうなんですか」


 一瞬、驚いて隙が出来た。

 そこへ上から肘鉄が落ちて来る。

 左手で防ぎながら、身を沈め衝撃を逃す。

 そして、伸び上がりざまに右手のナイフを喉元に。


 しかし、それより早くくまこさんの掌底が僕の顔を捉えた。


「甘い」


 吹き飛ばされた僕を見下ろしながらくまこさんがニヤリとする。


「入ったと思ったんですけど」


 でも、完全に読まれていた。


「狙いが正確過ぎるよ」

「成る程」

「急所に当たれば、まあ、クリティカルの確率は高くなるけどそればっかり狙う必要は無い。

 腕でも腹でも当たれば大体ダメージは一緒だからな」

「正確過ぎ、か」


 そうか。

 ゲームだものな。


「いや、まあ、それはそれでおっかない話なんだけどさ」


 そう言いいながらくまこさんは頭を掻く。

 近づいて来た足を絡め取ろうと足を伸ばす。

 だが、それも読まれて居てあっさり避けられる。


「そろそろおしまい」


 そう言いながら寝転ぶ僕に手を差し出す。

 この前、その手を握り返したらそのまま投げられたけど。

 あえて、誘いに乗って手を握り返す。

 勢い良く引き上げられるが、そのまま投げに入る前にしがみついて腕ひしぎに。


 と、腕に絡みついたけれども、そこまでだった。

 僕は軽々と持ち上げられてしまう。

 これじゃ、ただじゃれてるだけだな。


「あ、あの、喋るか、戦うか、どちらかにした方が良いんじゃ無いですか?」


 そんな僕らにノルンさんが呆れた様に声をかける。

 僕が足を解くとくまこさんはゆっくりと地面に下ろしてくれた。


「狙いは悪くなかったけどね」


 そう言ってニヤリと笑う。


「そ、それより……結婚してるって聞こえたんですけど?」

「ん、ああ」

「えっ、黒さんとハヤトさんの話……ですよね?」

「そうだけど?」


 なぜかオロオロしながらくまこさんに質問を重ねるノルンさん。


「え、で、でも、お二人は、男の人、ですよね?」

「まあ、そうだろうな」

「え? そうだろうって……え、だって、え、ダメじゃ無いけど……え、えー!?」


 ノルンさんが叫びながら両手で頬を抑える。


「ほ、本当なんですか!?」

「いや、私も直接聞いた訳じゃ無いけどアマリが昔そう言ってたからそうなんじゃないか?」

「はうー」


 ノルンさんが顔を真っ赤にする。


「皆さん、そろそろ行きましょうか」


 そこへ丁度黒さんが、庭にいた僕らを呼びに顔を出す。

 それを見てノルンさんが目を見開き耳まで真っ赤にした。



 その日、僕らは西の廃墟を中心に捜索したが特に発見はなかった。

 ノルンさんは、少し黒さんによそよそしくて、そんなノルンさんの様子に黒さんは時折、怪訝そうな顔をしていた。

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