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09 称号:おねショタ

「じゃ、外の二人にお披露目ね」

「はい」


 ヴィヴィアンヌさんに言われるまま、部屋の中心に立って待つ。

 少し、照れくさかった。


「どうぞ」


 ヴィヴィアンヌさんが扉を開ける。


「「「おおお!!」」」


 その先に居た三人が一斉に感嘆の声を上げる。

 いつの間にかアマリさんも来たようだ。


「世界観に合わせて少しスチームパンクに寄せてみたわ」


 ヴィヴィアンヌさんが、そう解説する。

 少し、得意げに。


「似合ーう!」

「ショタ君、一回り! 一回り!」


 僕はその場でゆっくりと一回り。


「性能は?」

「見た目よりは頑丈だけど、所詮服。

 鎧には及ばないわ」

「まあ、前衛じゃ無いからな」


 女性四人が一列に並び、僕を見定める様にみている。


「ショタ君。

 次のポーズ!」

「ポーズ?」

「ちょっと、足を崩して座ろうか!」


 アマリさんの指示に従い、両足が全部床に着くように座る。


「よし。

 そのまま手を下について」


 少しの前かがみになり両手をつける。


「はい。上目遣いでこっちを見る!」


 顔を上げ、アマリさんを見る。

 目が合いそして、眉間を抑え天を仰ぐ。


 なんだろう。あの反応。


 そのままリゼさんに視線を移す。

 口を抑え、視線を横にずらされた。


 ひよりさんは?

 顔が真っ赤だ。


 ヴィヴィアンヌさんは真顔で僕を見据える。

 顎に手を当て。


 そして、一言。


「なるほど」


 と、真顔のまま言った。


 いつの間にかファントムもそちら側に移動して居て、相変わらず真っ赤に燃えている。


<ポーン>


 システム音。


<称号【おねショタ】を獲得しました>


 ?

 なんだ?

 今のは。


 自然、眉間に皺が寄る。


「……ヤバす」

「……ヤバいな」

「……」

「最高ね」


 皆口々に言う。


「あの、立って良いですか?」

「ああ。ありがとう。ショタ君。

 私はもう、思い残す事は無い。

 君に会えて、ほんと良かった」


 大げさだと思うけれど。


「ショータ君。

 服が欲しくなったらいつでも来なさい」


 そう言いながらヴィヴィアンヌさんからフレンド申請。


「でも、男の服は作らないって」


 僕は申請を受理しながら聞き返す。


「気が変わったわ。

 と言うか、インスピレーションが沸いたわ。

 もっと作らせなさい」

「わかりました」


 僕はひよりさんの前に立つ。


「ひよりさん。

 ありがとうございます。

 大事にします」


 そう言って頭を下げる。


「えっと……うん。

 良く、似合ってるよ」

「ひよりさんの服も作ってもらうんですよね」

「え? 私は……」


 言い澱みながらひよりさんはヴィヴィアンヌさんを見る。


「ショータ君から素材を買い取ったから、用意できるわよ」

「そうなの?」

「ええ。

 お代はいただくけれど」


 ひよりさんは僕に視線を戻す。


「楽しみです」


 そう言うと、ひよりさんは顔を赤くしながら恥ずかしそうに微笑んだ。


 ◆


「眼福。これでしばらく頑張れる」そう言いながらアマリさんは消えて行った。


 リゼさんとヴィヴィアンヌさんは、次のエリアへ行くのだと言う。


 僕はひよりさんと二人、白玉とファントムを連れ狩りに行く事に。


 その前に、冒険者ギルドでクエストと言うのを受ける事に。

 ここで依頼を受けて達成すると、お金と経験値が手に入るらしい。

 それは難易度に比例すると、ひよりさんと二人説明を聞く。


 そんな訳で素材を持って来いと言う依頼を幾つか受けて、僕たちはフィールドへ降り立った。


 昨日と違い、ひよりさんが敵に近すぎ少し離れてファントムが付いて行く。

 僕は後ろから援護。

 ひよりさんに向かう敵をファントムと僕で手鼻を挫く。

 そこへひよりさんの槍が振るう。

 そんな戦い方で危なげなく進む。


 たまにファントムのラップ音にひよりさんもびっくりしてるけれど。


 途中、僕とひよりさんのレベルが一つ上がる。

 でも、白玉とファントムはまだ。


 小休止をして、更に続ける。

 ファットラット、ステップウルフと狩り続け、依頼の品が揃った頃だった。



 タイミングをずらし飛び出て来たファットラットをひよりさんが落ち着いて槍で薙ぎ払う。

 弾かれた所へ一発。

 そしてリロード。


 ……視界に<Out of ammo(弾切れ)>と表示が出る。


「ひよりさん、すいません。弾切れです」

『了解! こいつ仕留めて戻ろう』


 槍を構え直すひよりさん。

 ファントムのラップ音。

 その隙に、武技がファットラビットを粒子に変える。

 それを見届けてから振り返り、こちらに手を振るひよりさん。


 そして、ゆっくりと歩いて来る。

 僕もひよりさんの所へ歩み寄る。

 白玉を連れて。


 と、ひよりさんが横を見て足を止める。

 男の人が近寄り声を掛けたようだ。

 知り合いだろうか。

 少し、足を早め近づく。


「いや、フレンドと一緒で。

 もう帰るところなので」

「ちょっとだけ一緒に。

 ダメなら、今度で良いよ。

 フレになってさ」

「いえ、そう言うのは……」


 漏れ聞こえて来る会話。

 ひよりさんが困っているのがわかる。


「どうしたんですか?」

「ん? 何だ、お前」


 僕を見下ろす男の人。


「何でもないの。

 行こう」


 ひよりさんが首を振りながら言う。


「はぁ? こんなガキと遊んでるわけ?」


 そう、ひよりさんの後ろから吐き捨てる男。

 見上げたひよりさんは、とても悲しそうな顔をしていて。


 でも、彼女は何も言わず僕の手を引いて立ち去ろうとした。


「チッ。無視かよ。ブスが。

 気持ち悪りぃ」


 僕を掴むひよりさんの手に力がこもる。


 ピシッっと、音がした。


 最初に、男へ怒りをぶつけたのはファントムだった。


 ラップ音に棒立ちになる男。


 僕は、ひよりさんの手を振り払い、その男へと詰め寄る。


 それに気付き男が身構える。


 再度、ラップ音。


 一瞬、体を硬直させた男へ飛びかかり、目一杯伸ばした両手で顔を掴む。

 そして、力一杯男の顔を引き寄せながら跳躍の勢いがついた体で顎に向かい頭突きを食らわせる。

 そのまま、足を絡め膝を裏から折る。

 体勢を崩し、背中から叩きつけられる男。


「てめ……」


 開いたその男の口に銃口を突っ込む。

 弾が無いのは承知の上。


「ショータ君! やめて!」


 男が両手を振り回し僕を殴ろうとする。

 それを避けながら男が腰からぶら下げていた剣を奪おうと手を伸ばす。


「駄目! GMさーん!」


 目の前に、真っ赤な文字で『警告』と書かれた仮装ウインドウが出現し、僕の手から銃が消える。


「はい、離れて」


 誰かに腕を掴まれ、力で無理やり男から引き剥がされた。

 それをしたのは、古めかしいガスマスクを被った人。


「こいつ、頭おかしいぜ。

 BANしろよ」


 知り合いなのか、男が立ち上がりながらガスマスクにそう言う。

 僕を指差しながら。


「話は別の所で聞きます」


 ガスマスクがそう言うと、一瞬で景色が切り替わった。

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