表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりあえず殴ればいいと言われたので  作者: 杜邪悠久
第一章 初心者
8/87

とりあえず露店でスキルを買う

【湖都:アクゼリシア】

 最初の【始まりの町:ルクセンダーラ】から一本道で来られる二番目の町。名前の通り、都と言うだけあってとても広い。また、始まりの町では存在しない【占い屋】、【露店】、【預け屋】などの要素もあり、高レベルプレイヤーですらも拠点を置くほど過ごしやすい町でもある。

 そして更に最も人が集まる要因としては、町そのものの荘厳さと清廉さを思わせるほどの【教会】が町の中央にそびえ立つ。真っ白い三角錐のような建物が湖の真ん中にある小島に立っており、それを囲むように建物が立ち並ぶ。湖自体もとても綺麗で、湖面には【教会】が反射して写っており、光の反射でキラキラと輝く姿は、ずっと見ていても飽きないほどである。そこへ向かう湖を割る大きな橋には、一緒に手を繋ぎながら渡ると末永く爆発出来ると専らの噂であるほどだ。


 なので小旅行が趣味のユイは、この光景に思わず溜息が漏れたのも仕方ない事だろう。


「はぁあぁぁ〜。キレイ…」

「ふふふ、チミなら気に入ってくれるとおいちゃんは信じとったよ」

「ねぇねぇ! もっと近くまで見に行っていい?」

「ハハハ、いいとも。ではお嬢さん、こちらへ」

「わーい!」


 いつもならここでツッコミが入るのだが、あまりの綺麗さと感動でそれどころでは無いユイ。それを微笑ましく眺め案内に勤しむエース。傍から見れば女の子二人がイチャイチャしているようにしか見えないほどの距離感であり、実際に何人かのすれ違う人々は二度見からのガン見である。しかし周りの人の目よりも、今は観光したい気持ちが強く、エースの腕を自ら組むと、あっち見たい! と引っ張っていく。昔はどちらかと言えばインドア派な唯だが、外をもっといっぱい見ないともったいないよ! と言って連れ出してくれた親友。その影響が色濃く反映され、今の姿は昔の一華にそっくりだなとエースはやれやれだぜと言った表情で追従する。元凶なのに。


 そうして町を隅々まで堪能したユイに「そろそろお嬢さん、本来の目的をしましょうぜ」と声が掛かってようやく、自分が何をしにここまで来たのかを思い出した。いや別に忘れてないよ! ホントだよ?


「で、エース。ここでどんなスキルが取れるの?」

「うむ。ここに来る道のりで話した方法で幾つかね」


 道中、スキルの取得方法は幾つかある事を話していたエース。一つは先程の通り、自身である一定の行動を行う事で手に入れられるOASのやり方。これは基礎中の基礎だが他にも実は取り方が存在する。

 それは他人からの【譲渡】という方法だ。このOOOではスキルを書物に書き記す事で他者との売買を可能に出来る、というものが存在する。中には譲渡不可なものもあるが。しかしこの【譲渡】の利点は、個人が値段を自由に決め、【露店】で売り出す事が出来る点にある。【露店】はイベントでもらえる専用のポイント、通称イベントポイント【EP】を使って買えるもので、本来雑貨屋やクエストにしか使えないドロップ品も売り出せるのが強みである。中には掘り出し物が眠っていたりするので、是非覚えておきたいものだ。チラッ。

 ちなみにスキルを書物にするのは【教会】で行ってくれる為、自らを商人と名乗って活動拠点にする高レベルプレイヤーも少なくないという。


 そんな感じで説明を受けたユイ。しかしユイには解せない事があった。


「自分で体験した方が面白いのに、買って覚えるのってなんか嫌じゃない?」である。それに対してもエースは冷静に返答する。


「まあ確かにね。でも実はステータスに影響するスキルがいくつかあってね、道中本当なら【ダッシュ】ってスキルが取れるはずだったんだけどユイはSTRに全部振っちゃったからね」


【ダッシュ】

 短い距離を高速で移動する。取得には【AGI】に10振っている事が条件。


「スキルにも様々な条件があって、ステータスの振り方によっては取れない場合も多いのさ。だけど【譲渡】を使えば本来取得不可能のはずのスキルであっても覚える事が出来ると言う訳なのだよ」

「おー。なんか凄いね」

「うむ。まあその代わりにお金が必要になってくるんだけど、ユイは武器や防具を買ってないし、最初の装備も【素手】で選んでるから普通の人よりも多少資金がある。S極振りだし武器は無くても問題無いとして、防具の値段を差し引きしても…まあ二つ三つぐらいなら買えるかな?」

「そんなに!?」

「うん、そんなに。S極だと防御はともかく機動力が無いと攻撃も当たんないからね」

「なるなる」

「んじゃ【露店】エリアはこの先だし、先生の後をちゃんと着いて来なさい!」

「はい! 師匠!」


 こうしてエースに連れられ【露店】を物色し、【ダッシュ】他格安の掘り出し物を何点か見つけ、ユイは新しいスキルを取得するのであった。


閲覧ありがとうございます。作者の杜邪です。

活動報告でも触れていますが、色々と凄まじい事になり困惑が大きい次第でございます。

まさかアクセス数がこんな事になっているとは…。戦々恐々としています。

年末はかなり多忙な為、投稿が安定しない事が多いですが、たまにチラ見しに来てもらえるだけでも嬉しい限りです。


長々としていて恐縮ですが、改めてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ