とりあえずレベルアップ
ユイ Lv.4
【HP 14/30】
【MP 21/30】
【STR/1】
【INT/1】
【VIT/1】
【AGI/1】
【DEX/1】
【LUC/1】
称号:【スライムキラー】
スキル:【ダブルアタック】
武器
右腕 【素手】
左腕 【素手】
防具
頭 【ボロボロの兜】
体 【ヨレヨレの服】
足 【ダボダボのズボン】
靴 【ズタズタの靴】
装飾品 【無し】
装飾品 【無し】
画面を確認するついでにステータスも見る。ステータスには特に変化は無いが画面右上に【SP/25】の文字がある。これも実は一華が最初に言っていた事だったのだが、覚えの悪い私はすっかり忘れていたのだった。メニューに戻り設定欄のヘルプで確認すると、どうやらこれは【ステータスポイント】の略らしく、ステータスに振る事が出来る。例えば【STR】なら攻撃力が上がる、【VIT】なら防御力、と言った感じに。
詳しく読むとこういう事のようだ。
【STR】 物理攻撃力が上がる。筋力にも影響。
【INT】 魔法攻撃力が上がる。MPにも影響。
【VIT】 防御力が上がる。状態異常耐性・HPにも影響。
【AGI】 素早さが上がる。回避力にも影響。
【DEX】 器用さが上がる。生産・合成にも影響。
【LUC】 運が上がる。クリティカル率にも影響。
もう少し詳しく説明が書いてあるのだが、別にそこまでガッツリやろうとは思って無い。あくまでも親友が一緒にやりたいと言っていたからやっている程度である。なのである程度ざっくりと説明を読むと、今度は称号とスキルを見てみる。
【スライムキラー】
スライムだけを狩り続けた者に与えられる称号。スライム系のモンスターに対してダメージ+10%。
【ダブルアタック】
攻撃を二回連続で放つ。
どちらもお世辞にもいいものだとは言えない。序盤では役に立つだろうが最終的には経験値へと変えられるだろうという性能。しかしユイには達成感にも似た何かを感じられるほどの満足感を与えていた。
「よーし。これでもっともっと頑張るぞ!」
ゲームそのものをあまりやらなかった唯だが、それは偏見と自身の趣味である小旅行と正反対だった為にやって来なかっただけで、蓋を開けてみればその魅力にすぐにハマった。勿論本人は嫌々渋々と言った感じだが、実際には小旅行も元を辿れば一華に外に連れ出されたのが原因だ。つまり一華がハマったものを唯は嫌いになれず、どころか一緒になっていつの間にかやっている。要は感化されやすいのだ。それは長年の一華の振り回し体質の影響によるものだろうが。
ゲームにハマりだしている事にまだ気付く事は無い私は、スキルを覚えた事で更にやる気を出しスライムを狩りまくった。
戦闘中気付いたのは、立ち止まったり座ったり、或いは寝たりすれば【HP】と【MP】は自動で回復していく。ゲームをしている者なら常識と言える事すら、ユイには感動的だった。
「凄い…みるみる回復していく…」
普通なら飽きて違うモンスターを狩ったり、新たな町や未踏の場所を訪れたりするものだが、ユイはひたすらにスライムだけを狩りまくった。スライム以外も狩れるレベルになっているのだが、本人がそれに気づかぬまま、効率的にスキルを発動する動きを練習し始めた頃、ようやくエースがユイの所に帰ってきた。
「いやー、ごめんごめん。まさか黒竜の素材集めとは、お姉さんもちょっちビビっちまったぜ」
「おかえり、なんかよくわかんないけど凄そうだね」
「あはは! まっ、チミも戦えるようになってきたら一緒に連れてってやるさ。んで、どう? 少しは操作覚えた?」
「うん。スライムにだけなら私負けないよー」
「ほほう。ならちょっとステータス見せてみんしゃい」
「どうやって?」
「普通にステータスを出して私に見せてくれたらいいよ。あと他の人に見せるのは禁止ね。このゲーム、スキル命だから」
「よくわかんないけど分かった」
「…まあ多分忘れるからいいか。どのみちフレンドしかステータス見れないし」
最後に小声で言った言葉が聞き取れなかったが、エースの言う通りにステータスを見せる。
ユイ Lv.6
【HP 12/30】
【MP 9/30】
【STR/1】
【INT/1】
【VIT/1】
【AGI/1】
【DEX/1】
【LUC/1】
称号:【スライムイレイザー】
スキル:【ダブルアタック】【トリプルアタック】
【スライムイレイザー】
スライムだけを狂気的に狩り続けた者に与えられる称号。スライム系のモンスターに対してダメージ+20%
【トリプルアタック】
攻撃を三回連続で放つ。
ステータスを見たエースは「ほほう、これはなかなか…」と顎を擦りながらマジマジと眺めている。
「流石私の盟友だぜ! 愛してるー!」
「ちょっ! わわっ」
何故かいきなり抱きつく親友に渾身の【トリプルアタック】を放ちながらも、全くものともせずに抱きしめられ、最終的に脇腹をワシャワシャして弱らせるまで、耳元で愛してるぜと囁かれる声と共に、ユイの悲鳴にも照れ隠しにも似た何かが森の中を木霊していた。