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とりあえず殴ればいいと言われたので  作者: 杜邪悠久
第三章 ギルドと解明
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とりあえずダメージを学ぶ

 伯爵さんは、どこから持ってきたのか、大きなホワイトボードにマジックをキュッキュッしながら言う。


「さてユイさん。あなたはどの程度戦闘の事を理解していますか?」

「んー、殴ったら勝つ! ってぐらい」


 まるで講義を受けるように椅子に座る私とエース。そう言って答えると横からエースのツッコミが入る。


「それは無理な話だって、伯爵。まだ始めて二週間も経ってない初心者なんだぜ?」

「まあそれもそうですね。ふむ……。ではまずはステータスのおさらいをしてみましょう」


 そう言ってホワイトボードに書き込んでいく。その手付きは手慣れたもので、あっという間に埋め尽くす。


「まずはステータスの確認ですが、これはヘルプなどにも載っている通りですね」


 そう言いながら書かれた文字を指差す。


【STR】 物理攻撃力が上がる。筋力にも影響。

【INT】 魔法攻撃力が上がる。MPにも影響。

【VIT】 防御力が上がる。状態異常耐性・HPにも影響。

【AGI】 素早さが上がる。回避力にも影響。

【DEX】 器用さが上がる。生産・合成にも影響。

【LUC】 運が上がる。クリティカル率にも影響。


 これは私も読んだ事がある。だが更にその隣には続きが書かれている。


 初期SP10、LvUP毎にSP5

【STR】 1につきATK4

【INT】 1につきMATK4、MP5

【VIT】 1につきDEF5、HP5

【AGI】 1につき素早さ+3、回避+2

【DEX】 1につき器用さ+3、生産・合成成功率+1

【LUC】 1につき運+1、生産・合成大成功率+0.5


 そう言えばざっくりとしか読んでいなかったが、何かそんな事が書かれていた気がする。どうせ覚える気も無かったし。


「これが基礎知識になります。ユイさんもお読みになりましたよね?」

「あー、ざっくり?」

「まあ読んだところで何? って感じだしね」

「そうですね。ヘルプにもここまでしか載っていません。では実際にどれだけ上がるのかと言いますと──」


 そうして今度は下の方に数式を書いていく。普通に学校の授業受けてるみたい、内容はゲームだけど。私は書き出される文字を追っていく。しかし途中でエースが立ち上がり、伯爵さんの元へ行くと何か話している。


「もっと簡潔にしないと……検証班じゃないんだし」

「すまんすまん。つい熱が入ってな」


 何かを話した後、数式を消し新たに別の式を書いていく。それは先程と違うように思えるが、何とか理解出来るものになっている。


 ダメージ=(総合ATK+自身のレベル)スキル補正-(敵総合DEF+敵レベル)

 総合ATK=ステータス+武器

 総合DEF=ステータス+攻撃された箇所の防具


「と、このようにダメージが決定されています」

「何か、凄いですね」

「語彙力の無くなる嫁が可愛い過ぎて辛い」

「そんな事無いもん!」

「そういうのは終わってからやってくれませんかね。まあともかく、同じレベル同士で戦う場合、自身のステータスと武器、それを攻撃した際のスキルで掛けたものがダメージとなります。例えば【ダブルアタック】などは一律×1.1とかですね。もちろん、素で攻撃する場合にはその補正は掛かりませんが」


 伯爵さんは色々と説明してくれているが、正直よく分からない。隣のエースは「ほほう、流石伯爵」とか呟いているけれど。


「分かったような分からないような。でもそれじゃあ、ステータスの上がり幅がDEFの方が高いですよね? そんなんじゃダメージ入らないと思うんですけど」

「ええ。普通はそうですが、【パッシブスキル】などで攻撃力が上がる、みたいなものを持っていたりしませんか?」

「確か【根性】っていうのがあったような」

「【根性】! いいですね!」


 何故かテンションが上がる伯爵さん。どこにそんな要素があったんだろう。


「【根性】などの『攻撃力を上がる』という書き方をされているものは、このダメージの計算の後に上乗せで入るスキルなのでとても優秀です。ダメージの最低値は1なので、例え相手のDEFで全て防がれたとしても、その1に上乗せでダメージを乗せられます」

「はあ」

「要は【根性】はダメージ+20っていう固定ダメージが入るスキルなんだよ」

「それなら理解出来る、かな?」

「まあ結論としては自分の【STR】-相手の【VIT】で決まる、みたいなもんだよ」

「ざっくり言うたな。クリティカルや魔法の計算式が」

「いや、だからそれ分かる訳無いでしょー!」


 何故かまた言い合いをしだす二人。でもゲームってそんなに難しい事考えてやっているのだなあ。ゲーム=頭が悪くなる、みたいに教えられてきたけれど、二人を見ているとそうじゃない気がする。やっぱり偏見は良くないよね。


 そうして言い合いながらホワイトボードに数式を書く謎の勝負(?)を見ながら、ユイはどのタイミングで止めればいいのかと思いながら、別の偏見が植え付けられたのに周りは気付く事は無い。

ユイ「ゲームしてる人って皆計算しながらやってるんだよね!」

エース「え?」

ユイ「え?」

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