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とりあえず殴ればいいと言われたので  作者: 杜邪悠久
第一章 初心者
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とりあえずキャラを作ってみた

 私は部屋に入ると鞄を机の上に置く。そして早速とばかりにゲーム機を袋から取り出した。


「これがゲーム機なんだよね? 何か眼鏡みたい」


 形はヘッドフォンと眼鏡が合体したようで、思っていたほど大きなものでも無かった。


「ええと…。ふむふむ」


 説明書を適当に読み終えると、ゲーム機にケーブルを差しコンセントに繋ぐ。そして私はベッドに横になる。リラックス出来る体勢なら何でもいいようだけど。

 目を閉じ眠るように呼吸をゆっくりとしたところで、私は仮想世界に行く為の言葉を紡いだ。



「──ワールドオープン」





 目を開けるとそこは真っ白な空間だった。辺りを見回す事も首を振る事も出来ない。えっと、確か初めて入った時は自分の身体の情報を書き込む時間があって、少しの間動けないんだっけ。ここは何か必要そうだから覚えた。

 しばらくすると身体の硬直が解け辺りを見回す事が出来た。


「この状態になったら…メニュー」


 するとメニュー画面が私の前に出てきた。大きなスクリーンに向こうが透けて見えてる。スマホと同じ感覚で操作出来るのは有難い。一華の言ってた通り、ショップを見つけるとそこをタッチする。

 すると周りの景色が一気に変わり、まるでCDショップみたいな感じに変わった。


「イラシャーイ。色々アルヨ?」


 変な発音の店員さんが声を掛けてきた。一華の話ではこのハードウェアを作ってる会社の社員さんがモデルらしい。なかなか面白い会社だなと思った。


「あの、OOOって言う」

「オーオーオー!」


 両手を掲げ拳を突き上げるように上下させる店員さん。それも社員さんの真似なのかな?

 そんな風に思っていたら、私の目の前に『Only Origin Oblivion』の文字とゲームのイラストが表示される。右下には値段も書いてあった。

 このゲーム機自体、今ではバイトの身の私でも買える値段だけど、一昔前なんてそこそこいい中古車が買えるぐらいのものだったのを考えると、時代って怖いなぁと思った。

 課金は銀行から引き落としとか色々出来るみたいだったけれど、これ以外遊ぶ気は無かったので専用のカードをゲーム機を買った時に付けてもらっている。そこに書かれた金額分、このショップやゲーム内で課金出来る仕組みだ。


 ゲームをダウンロードし、店員さんに会釈してショップを出ると再びメニュー画面を開いてダウンロード欄を開く。


「『Only Origin Oblivion』、うん、これでスタートっと」


 イラストにタッチすると『スタートをします、よろしいですか?』の文字があったので迷いなくスタートを押した。


 こうして私は初めてのVRMMORPGの世界へと降り立つのだった。





 意識が一瞬途絶え、再び目を覚ますと可愛い女の子が居た。


『初めまして、ぼーけんしゃさん。ここではキャラ設定を行います』


 どうやらこの子が案内人のようだ。さっきの真っ白な空間と違ってこの部屋は全体的に水色で、真ん中におっきいクリスタルが浮かんでいる。


 先程のメニューみたいにスクリーンが目の前に表示される。すると色々な設定がズラリと出現する。その中で気になるものから入力を始めた。



『キャラの容姿を設定してください』



 どうやら現実の自分とは違った外観が作れるようだ。だか一華曰く、あんまり元の自分とかけ離れさせ過ぎると却って感覚がおかしくなるらしい。最初のデフォルト状態はプレイヤー自身の元の身体そのままになっているらしいので、特に問題無いならそのままでいいらしい。だから私は特に弄らず次に行く。



『名前を設定してください』



 名前は何か言ってた気がするけど、何だったかな? とりあえずユイでいいかな。



『装備を選んでください』


 画面には《剣》や《弓》、《杖》など様々な装備が表示されている。しかしそれらを眺める内に一華に念押しして言われていた事を思い出す。

 例えば《剣》を例に挙げると、装備するのに【STR】の値が必要になったり、また《杖》だと【INT】に振らなければ魔法が使えないなど。それぞれの武器に対応したステータスで無ければ思う様に効果が発揮されないどころか装備すら出来ない事もあるという。他にも永遠と喋る一華に「じゃあ何が一番いいの?」と聞けば、「何になりたいかによるね!」と返されてしまう。当然ゲームに詳しく無い私が分かるはずも無いのでオススメを聞くと、最初に貰える装備は《素手》がいいそうだ。これを選ぶとお金を少しだけ多い状態で始められる。武器は耐久値がある為、何度も買い替えるか修理しなくてはならないらしく、初期装備もすぐ壊れてしまうようだ。だからここで無理に選ばず、後で町の鍛冶屋で買うのが賢いやり方という事だ。

 なので私は迷わず《素手》を選択した。


 そして最後にサーバー選択画面が表示される。サーバーは三つ有り、レッド、イエロー、ブルーと分かれている。


「えっと、確かレッドサーバーだったよね?」と若干迷いながらも赤い文字のサーバーをタッチする。


『ありがとーぼーけんしゃさん。じゃあ今から最初の町に飛ばすからまた少し眠っててね』


 可愛い女の子がそう言うと、私の身体は浮き上がりクリスタルに吸い込まれる。その瞬間強烈な睡魔に似たものに襲われ、次に目が覚めた時には、まるで廃村のような町に座りこんでいたのだった。

2017/12/04

サーバーに関する内容で加筆修正を行いました。

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