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とりあえず殴ればいいと言われたので  作者: 杜邪悠久
第一章 初心者
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とりあえず自分一人で

 私はあの後三日間、モンスターと格闘する日々を続けた。メモを見れば攻略方法が明確に書いてあったけど、なるべく最初だけは何も見ずに戦った。


 最初は【湖都:アクゼリシア】でハウンドを倒した後、チュチュンって名前のモンスターと対峙した。見た目的につつく攻撃かなとか思っていたら、まさかの空中からの高速落下蹴りで面を食らった。鳥だよね、あれ。

 ハウンドとは違って蹴った後に少し隙が出来るので何とか倒す事は出来た。あれが【アクティブモンスター】だったら、多分避けられないなと直感で思った。


 他には敵はいないみたいだったけれど、よくメモを読んだら午後6-7時の間だけ出現する、『ナイトメアハウンド』とかいうレアモンスターも居るみたい。ただレベルが凄い高いみたいで断念した。

 その日はハウンドとたまに現れるチュチュンを倒して回った。



 二日目もエースは居ない。というか【イベント戦】までは修行するぜ、って事らしい。レベル上げ切ってもまだスキル集めとは……。


 昨日は何かスキルか称号が出るまでやるぞ、と意気込んでいたお陰か、私はいくつものスキルと称号を入手していた。


 ユイ Lv.9

【HP 150/30(+120)】

【MP 50/30(+20)】

【STR/36】

【INT/1(5)】

【VIT/1(5)】

【AGI/1(5)】

【DEX/1(5)】

【LUC/1(5)】


 称号:【スライムイレイザー】【ハウンドイレイザー】

 スキル:

 《アクティブ》

【ダブルアタック】【トリプルアタック】【ダッシュ】【ハイジャンプ】【パワーコネクト】【ダッシュインパクト】

 《パッシブ》

極稀な奇跡(クリティカ・ラッキー)】【呼吸法Ⅰ】【気配感知Ⅰ】


 武器

 右腕 【素手】

 左腕 【素手】


 防具

 頭 【シンプルな髪留め】

 体 【シンプルなシャツ】

 足 【シンプルなスカート】

 靴 【シンプルな靴】

 装飾品 【無し】

 装飾品 【無し】



 途中、チュチュンとハウンドを同時に相手してしまった時、何故かチュチュンがハウンドを倒した事があった。驚きはしたが冷静に倒すと【二鳥を追う者は一鳥をも得ず】という【パッシブスキル】を入手した。


【二鳥を追う者は一鳥をも得ず】

 チュチュンの気持ちになってハウンドに追い掛けられる。


 最初よく分からなくて放置していたんだけど、草原を歩くとこれが何か理解出来た。どうやらハウンドが【アクティブモンスター】に変わるスキルのようで、結果草原中のハウンドに追い掛けられる経験をした。その事を学校で一華に話したら爆笑された。


「あったあった、そんなスキル。プッ、ククク」


 一華曰く壁役には最適だけど、他の役割じゃあ使わんのよと言われ、ログインした時に経験値に変えた。


 そして新たに手に入れたスキルと称号の効果はこんな感じ。


【ハウンドイレイザー】

 ハウンドだけを狂気的に狩り続けた者に与えられる称号。ハウンド系のモンスターに対してダメージ+20%


【ダッシュインパクト】

 スキル【ダッシュ】を持った状態でモンスターを一定数倒す事で取得出来る。移動中の自身に触れる者にダメージを与える。


【気配感知Ⅰ】

 敵の気配が分かる。



 称号はスライムの時と同じ。途中で【ハウンドキラー】を取った時にこれもなのかと狩り続けた結果である。

 スキルは二つで一つは【ダッシュ】を多様してたら何か取れてたもの。普通のと違って使った後に再使用時間……えーと、【リキャストタイム】ってものがあって、連続では使えない。私もメモを見て知った知識なのでよく理解してないけど。

 この【ダッシュインパクト】は普通の移動能力に加えて、【ダッシュ】中のプレイヤーに当たるとダメージが入るというものだ。連続出来ないのは残念だけど、沢山のハウンドに追い掛け回された時には凄く重宝した。もうあんな目には会いたくない。

 そして【気配感知Ⅰ】。これはチュチュンと戦っていた時、ハウンドの視線を何度か感じた。すると何故か取得した、私にもよく分からないスキル。一応消費MPも無かったので放置していたけど、これは意外と便利なスキルだ。後ろに何かが居ると感覚で分かるようになる。ただ、モンスターかプレイヤーかは分からないんだけどね。


 今回はちゃんと【SP】は取ってある。前みたいに【STR】に全て振ってしまわないように、エースの意見をちゃんと聞こうと。なのでステータスの変化は無い。


 それと町の散策で【始まりの町:ルクセンダーラ】に戻ってマップも解放させた。意外だったのがボロボロの民家とかにも入らないとマップが出なかった点である。不法侵入で訴えられないよね?


 そうして三日目は【始まりの町:ルクセンダーラ】で森のチュチュンを狩っていた。遮蔽物が多いだけであんなに倒しにくいなんて……。変なところでゲームなのに、無駄なところでリアルっていうのが微妙にムカつく。最終的に枝を折る事が出来るのに気付き、相手の位置が視認出来るスペースを作る工夫を覚えた。試行錯誤して倒す感じ、嫌いじゃないなぁ。


「ハッ。違う違う。私は別に付き合いでやってるだけだし! 別にちょっと楽しくなってきたなんて思ってないしー!」


 森の中で頭をぶんぶん振り回し、謎のツンデレな独白をする少女。周りのプレイヤーが微妙に避けていたのは言うまでも無い。



 そして──



「やっほー、どったの? 何か今日は朝からテンション低めだけど」


 学校で机につっ伏す私に、一華はジュースを差し出しながら言う。「ありがと」と言って受け取ると顔を横に向け、ストローを刺すとそのままの体勢で飲む。


「行儀悪いですぜ、姉御」

「ほっといてくんな、舎弟」


 あの後、森に来ていたプレイヤーが悲しそうな目で見てきたのを私は忘れない。いや、忘れたい。そんな事情を知ってか知らずか、一華はいつも通りのテンション……いや、それよりも少し高く上機嫌で話し出す。


「いやぁ遂に今日ですなあ」

「何が?」

「何って、勿論【イベント戦】だよ」

「ああ。【EP】が貰えるんだっけ」

「そだよー。フフフ、今回はちょっと欲しいものがあるからね。お姉さんは頑張るのさ」

「そっか、まあ私も雰囲気だけ味わう事にするよ」

「うむうむ、嫁の為ならばオレはドラゴンだって倒してやるぜ」


 一華の言動に「え? 今回の【イベント戦】ってそんなのと戦うの?」と素で驚いたけど、「そんなのと戦うイベントとか、なんて初見殺し!」とよく分からない言葉を返された。それは何なのかと聞こうとした時、タイミング悪くチャイムが鳴る。


「おっと、じゃあ話は帰ってからにしよう。では!」


 そう言って自分の席に戻る一華を見て、今日の【イベント戦】に思いを馳せる唯であった。


ブクマ1000件超ありがとうございます!

これで一応、基礎編は終了になります。まだまだやりたいところではあるのですが。そろそろイベント行きたいなぁと。

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