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ちょっと家出してみようか  作者: 霜雪 雨多
6/17

キラキラ光る

今月3回目の更新だと…(震え声)

もう少し落ち着いたものが書ければいいけど、コメディに走るのが不思議です。

「よし。着いたか」

ローカル線を駆使し、電車を乗り継ぎ数時間。

とある田舎町に到着した。

「ようやく…着いたのね……うっぷ」

野々崎は電車で乗り物酔いしていた。

乗り換えのときも何度かトイレに駆け込んでいた。その間に先に乗ってしまってもよかったが、なんだか知らないうちに追いつかれそうな予感がしたのでやめておいた。

追いつかれた後がなんだか怖いからね。


「乗り物に弱いなら酔い止め準備しておけよ」

「…ヒロインがこんな痴態を晒すなど、あってはならないこと。さあ、葉波くん、行きましょうっぷ」

「もっかいトイレ行ってこい!」

野々崎は重い足取りで歩いていった。と、思ったらまた戻ってきた。

「トイレ…どこ…」

「その方向であってる。突き当たりを右」

もしかすると結構ギリギリで案内板が目に入っていないのだろうか。

歩いていく様子は足腰の弱った老人のようであった。

あっ、…いやそんなはずはない。一瞬キラキラが見えた気がしたが、きっと気のせいだ。絶対気のせいだ。うん。

ついでにいうとヒロイン要素ないから。


「ごめん、待った?」

野々崎が戻ってきた。まだ顔が青いが少しはマシになったようだ。

「そんなに待ってないけど、こういうシチュエーションで使うセリフではないな」

「で、どこに行くかは決まった?」

もちろん。

「というか市役所に決まってるだろ」

あれば交番でもいいけど。

「え、なんで?」

「そりゃあ顔出しに行くためだけど。あと軍資金も調達しないとな」


家出中は最低1日1度はなんらかの公共機関で生存確認をしなければならない。

生存確認というと大げさだが、家出制度が制定された直後、家出中の子が誘拐事件に巻き込まれたことがあったそうだ。

幸いにもその子は無事助け出された。しかしその反省として公共機関に顔を出すことが義務付けられたのだ。

そして野宿は禁止されていて、公共機関か国の公認施設での宿泊が義務付けられている。

ちなみに、これらを怠ると自動的に捜索願が提出された扱いになるらしく、警察が捜索を行うこととなる。

実際に行方不明としてテレビのニュースで放映されていたこともあったので、事を起こしたくないのならこのルールをきちんと守るべきだろう。


また、市役所に行くと、それと同時に電子マネーが、一定額ICカードに振り込まれる。これは国の公認店舗、及び施設でのみ使用できるそうだ。財布の軽い僕には嬉しい制度である。


「へえ、知らなかったわ」

「学校で説明あっただろ…」

がっくりと肩を落とす。

「まあいいや。市役所どう行けばいいか調べてくれるかないか」

「自分で調べればいいじゃない」

「いや、親からの電話がすごいかかってきてね。着信拒否したら、他の番号からかけてきて…最終的にはたぶん公衆電話から。もう面倒くさいから電源切った」

このご時世に公衆電話探すの大変だろうな。


こうして僕は早々に、文明の利器、スマートフォンの使用不能に陥ったのである。

おいそこ、哀れみの目を向けるんじゃない。

「あなたも苦労してるのね。そういうことなら私が探しましょう。えっと、ここから約1時間半だって」

スマホを何やら操作して野々崎はそう言った。

「そんなに遠いのか…」

多少げんなりして、野々崎についていく。

「おい、バス停はこっちだぞ」

僕は普通に歩いていこうとする野々崎を呼び止めた。

野々崎がピタッと止まった。

「ここのバスは本数が少ないの。待っているよりも歩いて行った方が結果的に早いわ」

「あと10分ぐらいで来るみたいなんだが」

野々崎の顔が固まった。

バス停にはよくある時刻表が貼り付けてありそこで確認することができた。もちろん、『市役所前』にも停車するようだ。

「もしかしてさ、お前、乗り物を使うのが嫌なんじゃないか? 1時間半ってのはたぶん歩きでの時間だろ」

「そうともいえないこともないわね」

「バス使ったら何分かかる?」

「約40分」

僕は意地でも野々崎をバス停に引っ張っていくことに決めた。

酔い止め、どこかで調達しないとな。


さあ、ロックンロールの始まりだ。


ヒロインってなんなのでしょうね。

作者は車酔いはしますが、げっぷが出ると回復します。

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