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ちょっと家出してみようか  作者: 霜雪 雨多
2/17

気ままに旅する

「なるほど、家出支援制度だね。それでは学生証を出してくれるかな? 学生証読み込んで登録しているから、この申請書の太枠のところを記入しておいてくれ」


家出支援制度。およそ5年前に施行された制度だ。小中高生の少年少女が対象で、その名の通り、国が家出を援助してくれる。学校でのいじめや、家庭での虐待などから逃げるための対策が目的だ。申請すれば自分と相手の間に国が入り問題解決を図ってくれる。

年齢や素行、家出の理由等によって家出の範囲、期間は個人差があるが、そう大した問題ではあるまい。

この制度が施行された当初の利用者はごく僅かだったが、各学校での案内やメディアに取り上げられ、昨年の利用者数の統計では約1万人ほどになっていたはずだ。


記入の終わった申請書を警官に手渡す。

「葉波 翔君だね。高校1年生か… 素行も特に問題ないし家出範囲は自由でいいだろう…んん?」

警官の目がある一点で止まった。

「この理由だとちょっと許可は出せないなあ」

それは家出希望理由の欄だった。


『衝動的になんとなく』


「ダメですか?」

「これではいどうぞって言うほど世間は甘くない。どうしても家出したいのならもう少し真面目と書いてくれ」

真面目にかいてるんだけれども… ならこれでどうだ。


『月が綺麗だったから』


「却下」

厳しい。

「まあ俺も若い頃に通ってきた道だから、そういうセンチメンタルなのも分からなくはないがね。家出っていえば昔は友達の家に転がり込んだりしたもんだ。今では国が支援してくれるんだからすごい時代になったものだ…」

許可を出す気がないわけではなさそうだ。要は言い方の問題なのだろう。

うーん…と頭を捻らせて思いついた。


『自分探し』


警官はニヤリと笑って言った

「そうそう。俺も若い頃、そう言って自転車で日本を回ったりしたんだよ。色々な景色を見たり出会いがあってあのときはよかった」

警官は懐かしそうに過去へ想いを馳せている。

「よし。いいだろう。だが制度上、この場合期間は2週間になる。その間に自分を見つけろよ」

「ありがとうございます」


イコールで自分探しというわけではないのだけど…

ともかく夜が明けたら、孤独な一人旅の始まりである。

ちなみに、交番で仮眠していていいらしい。警官が始発に間に合うように起こしてくれるとのことだ。

僕は期待に胸を膨らませながら睡魔に身を委ねた。


家出支援制度、あったらいいかもしれませんね。家出支援制度については進むごとに設定の開示や追加していきます〜

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