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ちょっと家出してみようか  作者: 霜雪 雨多
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月が綺麗だったから

初投稿です。折角「小説家になろう」に登録したのでとりあえず書いてみました。投稿がんばります。

僕はふと、真夜中に目を覚ました。

部屋の窓からは月明かりが差し込み、僕を薄く照らしている。

外には誰の気配もない。闇が周囲を支配している中で、ポツポツと街灯が頼りなさげに光っていた。

「…」

目を覚ましてから1時間ぐらい外を見ていたような気がする。枕元の時計を確認すると、実際には5分も経っていなかった。いてもたってもいられなくなり、布団から体を起こした。夜が僕を誘っている。


パジャマのままのわけにもいかないので、着慣れた普段着に着替える。

リュックサックに物を詰めていく。着替えは…2日分もあればいいだろうか。財布にスマホ、忘れちゃいけないモバイルバッテリーに大豆。。それに学生証。

とりあえずこのぐらいだ。

あと暇つぶし用に数冊の文庫本を入れた。


準備は完了。一応書き置きでも残しておこうか。

自分の机の上に書き置きを残し忘れ物がないか確かめる。


よし。それでは行こうか。

音を立てないよう忍び足で自室を出る。壁を1枚隔てた向こうには親や兄弟が寝ている。

家族を万が一にも起こさないよう細心の注意を払いつつ、玄関を開けて外へ繰り出した。


すでに目的地は決まっている。

僕は夜の街を颯爽と進んでいく。こうも人がいないと、世界に僕だけしか残っていないのでは…というような錯覚を受ける。ふと顔を見上げればそこには魔女がほうきに乗って飛んでいるかもしれない。何気なく後ろを振り向けば得体のしれない者と目が合ってしまうかもしれない。現実に起こるわけがないのはもちろんわかっている。

しかし今宵は満月。月夜にはそんな想像力を掻き立てるだけの魅力があった。


家を出てから十数分でだれに呼び止められるでもなく目的地に辿り着いた。幸い、交番には明かりが灯っている。

意を決して入ると眠そうにあくびをしている警官が1人いるだけだった。彼はこちらに気づいたようで

「あれ、こんな夜遅くになんの用?」

と、不思議そうに聞いてくる。

その質問への返事は、自分の想像していたよりするりと出てきた。

「家出しにきました」

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