20.レジャー施設オープン!
前話の【⒚飛空艇完成】の後半部分を大幅に書き直しました。
15日の19時前に前話を読まれた方はぜひ一度読み直しをお願い致します。
次の日から雪菜は精力的に魔道具を作り始めた。
魔道具ギルドへは飛空艇関係で呼び出される以外足を向けることはなくなった。
ひたすら部屋に籠り魔道具作成を続ける雪菜、試作品が出来ると厨房へ向かい料理人達の意見を貰いに行く。
優奈は雪菜に頼まれたら魔法陣を作っては雪菜に手渡していた。
魔法陣作成が加わりさらに忙しくなった優奈だが、とても楽しそうだった。
そんな忙しい日々を迎えていたある日、ついにレジャー施設のオープン日を迎えた。
各国との折り合いがあるためいまだ飛空艇は運用されていないが、
先に街の住民や冒険者それに神界の住民に向けてオープンすることになったのだ。
広場には沢山の人が集まっている、人々の熱気で広場はむわんとしている。
誰もが期待と興奮で顔が輝いている。住人とは離れた所に女神達も並んでいるため、ちらちらとそちらを見る男性も多い。
そしてオープン時間になった。
「これから順に入場して頂きます!
待ってる間必ずお渡ししたパンフレットに目を通してくださいねー!」
マイクを握った女性が入場案内をアナウンスする。
初日ではあるが挨拶とか好きじゃない優奈は、挨拶なし!と決めつけてさっさと逃げ出してしまった。
ちなみにほとんどの人が水着を持っていないのだが、和人が出した日本の水着を何点か裁縫ギルドへ渡し作成販売してもらっている。
海の家でも売っているので、忘れてしまった人は中で購入も可能だ。
数時間後管理センター内で、各施設のチェックをしている優奈の姿があった。
初日という事もあり、管理センター内は多数の係員が待機している。
「何かトラブルはあった?」
「今の所順調です! それにしてもこのモニターという魔道具はすごいですね!」
係員が座っている椅子の前には各施設が映し出されたモニターが何個も並んでいる。
このモニターはレイファールに頼み作って貰った物だ。
「神界の特別製なのよ」
笑ってそう答えると一つのモニターに注目する。
そこでは和人、雪菜、奏の三人がデモンストレーションを兼ねてスキーをしていた。
鮮やかに山頂から滑り降りてくる三人に周りから歓声があがる。
デモンストレーションが終わると、インストラクターがスキーの指導を行う手はずになっている。
このデモンストレーションは時間を置いて何回も行っている。
海の方を見ると、ウォータースライダーに長蛇の列が出来ていた。
何故かスリルバージョンの方が人気らしい。
「あら、ウォータースライダー二基じゃ足りないかしらね」
「あれは楽しいですからね! もっと増やしてもいいくらいです」
その言葉に頷くと、センター中央の椅子で椅子をぐるぐる回して遊んでいるミイナを抱き上げ、
さらにセンター内で暇をしていた係員を六名程見繕って海へ向かった。
海へ到着すると、係員を海辺で待機させ優奈は海の上を歩いてウォータースライダーが設置されている反対側へ向かって行った。
突然現れた優奈に何事かと遊んでいた人々が手を止めて優奈の一挙手一投足を見つめる。
「ミイナここにウォータースライダーと同じのを作れる?」
「コピーするだけだから簡単に作れるの!」
そう言うが早いかあっという間にウォータースライダーを二基作り出す。
それを見た人々から大歓声が沸き起こった、ウォータースライダーがあまりにも混んでるのでかなりの人が諦めていたようだ。
確認の為上まで登るときちんと湧き水の水晶も設置されていた。
「大丈夫そうね、ミイナありがとう」
髪の毛を撫でてあげながらねぎらってあげると、ミイナはえへへと嬉しそうに笑っていた。
連れてきた六人にあとを任せ管理センターに戻ると、先程作ったウォータースライダーにもかなり列が出来ていた。
「凄いわね、もし何か気づいたことがあったら遠慮くなく言ってね」
「「「了解しました!」」」
キャンプ場のモニターを見ると、沢山の家族がバーベキューで楽しんでいた。
キャンプ場内でも食べ物を売っているが、商店街に協力してもらいバーべーキューセットを開発販売してもらっている。
「キャンプ場の方は問題なさそうかしらね」
「私達がしっかり見張っておりますので大丈夫でっす!」
声の方を向くと羽を生やした女性がぷかぷかと浮かんでいた。
サイズは人形程度でその言葉遣いからは想像もできないほどその瞳には叡智に満ちた光を宿している。
フェアリードラゴンのあいちゃんの呼びかけに応えて集まったのは、
住処の湖が穢れ困っていた精霊達だ。
湖自体は優奈が浄化したためすでに住める状態なのだが、
優奈が作った施設の内の湖が気に入ったらしくそこを住処として提供する代わりに施設内の監視をお願いしている。
その後キャンプ場の湖は精霊に会える場として人気を博すことになる。
「面倒なことをお願いしてごめんなさいね」
「守護者様にこんな刺激的なことを任されるとか光栄の極みでっすよ!」
基本精霊は稀に人をからかったりする程度で暇なんだとか、
長い生を生きる精霊もまた娯楽に飢えていたので、こんな楽しそうなこと他の精霊に譲れないとばかりに喜々として監視業務を行っている。
そして夜になりレジャー施設オープンは大成功の内に幕を閉じた。
冒険者を通じて各国にレジャー施設の噂が広がり、タチバナの街に溢れんばかりの人が押し寄せるのはまだ先の話になる。
これにて第二章ミイナのダンジョン編は終了になります。
今までプロットを作らず大まかな話だけ考え作っていたので、
この機会にプロットを作りしっかりとした話を作りたいと思います。
そのためしばらく投稿をお休みさせて頂きます。
もしかしたら途中外伝的な物を投稿するかもしれません。




