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38.プロミエの大迷宮クリア?

メリークリスマス!

 二日後100階層への階段に優奈達の姿があった。

 ここのボスを倒せば晴れてクリアとなる、和人とブルベルは初のダンジョンクリアに少し落ち着かないようだ。

 

 「そんなに緊張しなくていいわよ、さっきも言ったけどボスが吐いてきた糸を凍らせてくれるだけでいいから」

 「ボスが変更されていたら、その都度指示をするから落ち着いて行動してくれ」

 

 100階層のボスはレッドキャタピラーで燃え盛る糸を吐いてくる。

 粘着が強いため糸に絡めとられると逃げられず体を焼かれてしまう。

 なのでレッドキャタピラーが吐いてきた糸は迅速に凍らせないといけないのだ。

 

 100階層に降り立ちボス部屋の扉を押し開ける優奈。

 ぎぃぃという音をたてながら鋼色の両扉が開いていく。

 扉が開くと剣に手をかけすぐに部屋に飛び込む、しかし広い部屋にレッドキャタピラーはおらず奥の方に人型が見えた。

 

 「100階層も変更されてるの? 人型だけどあれは何かしら」

 

 目を凝らし人型を凝視するとあることに気が付いた。

 その人型は後ろを向いているのだが、美しい乳白色の髪をしているのだ。

 とてもとても嫌な予感がした……。

 そしてその人型がゆっくり振り返る。

 その顔を見た瞬間思わず優奈が叫んだ。

 

 「だから! なんでここにいるんですかレイ様!!」

 「魔王と和人さんに用があったのですよ、人界に降りるなら人目のないダンジョンにしてほしいとアイリスとノルンに頼まれたのです」

 「ここのボスはどうされたんですか」

 「ボスなら倒しましたよ」

 

 その言葉に一同驚くが、きっと一瞬で消してしまったのだろうと思い特に詳しくは聞かなかった。

 レイファールが優奈達に近づいてくる、そして和人とライルの前にくると立ち止まりじっと二人を見つめた。

 

 「魔王ライル、そして和人さん。健やかなる時も、病める時も、慈しみ、世界が滅ぶその時まで愛を持って生涯ユウナを支えることを誓えますか」

 

 以前二人に問いかけた言葉を再び投げかける。

 

 「誓う、この命にかえても優奈を守って見せる」

 「誓います、優奈さんの笑顔を守り支えます」

 

 二人の返事に満足そうに頷くレイファール、そして今度は優奈に向き合い同じ言葉を投げかける。

 

 「女神ユウナ。健やかなる時も、病める時も、慈しみ、世界が滅ぶその時まで愛を持って生涯二人を支えることを誓えますか」

 

 その言葉に優奈は即答できなかった、確かに二人は好きだがそこまで愛しているのかと言われると自信がなかった。

 二人への想いがきちんと形になってから数日しかたっていない、それに二人はいずれ優奈を置いて先に逝ってしまうのだ。

 二人が居なくなっても生涯風化させずに想い続けられる自信がない。

 唇を噛みしめ思い悩む優奈にレイファールが言葉をかける。

 

 「優奈、以前私は二人に約束をしたのです。優奈に選ばれたら寿命をなくしてあげましょうと」

 「なぜ・・・」

 

 驚き疑問の声を漏らす優奈の手を取り和人が語りかける。

 

 「優奈さん、私が望んだんです。永遠の時を生きる優奈さんの側にずっといたいと、優奈さん笑顔を守りたいと。

 一人で永遠の時を生きるのはきっと辛いと思うんです、でも私とライルさんがいれば辛い思いはさせません」

 「なんで……、まだ会って数か月しかたってないんですよ! なんでそこまで言えるんですか……」

 

 目に涙を浮かべ和人を問い詰める、永遠の時を生きるその覚悟を持ってまで自分を想ってくれているとは思わなかったのだ。

 

 「たった数か月? いいえ数か月もです、その数か月ずっと優奈さんと暮らしていたんですよ。

 異世界で奮闘する優奈さんをずっと見てました、街の人を喜ばそうと不本意なコンテストも全力で挑む優奈さん。

 冒険者を死なさないための努力を続ける優奈さん。

 神界の人々を退屈から解き放とうと安全に遊びに来れるように街を作りなおそうとしている優奈さん。

 そのすべてが人の為、そんな優奈さんをここ数か月見てきたんですよ。

 誰にも渡したくない、ずっとその隣にいたい、生涯をかけて愛し守り抜きたいその思うのは当然です。

 だから永遠の命を望んだんです。

 最初はライルさんにも渡したくなかった、でもライルさんも優奈さんを想う気持ちが私と同じだった。

 だからライルさんなら許します、一緒に優奈さんの隣に立つことを」

 

 熱い熱い和人の想い、涙がぼろぼろとこぼれ落ちる。

 こんなにも自分を見てくれる人がいた、守ってくれようとしてくれる人がいた。

 嬉しすぎて言葉がでない、喋ろうとすると嗚咽がもれてしまいそうだった。なので何も言わず和人の胸に飛び込んだ。

 そんな優奈の頭をライルが撫でる。

 

 「ユウナ、和人に全部言われてしまったが俺もずっとユウナを見ていたんだぞ?」

 

 ライルの言葉に顔をあげる優奈、涙にぬれたその顔はとても幸せそうだった。

 

 「あー、まったくそんな顔をされるとさらって閉じ込めてしまいたくなるだろう……」

 「二、三日でよければ閉じ込めるのを手伝いますが、閉じ込めますか?」

 

 さらっととんでもないことを言うレイファールに和人とライルが固まる。

 幸せ過ぎて思考が停止しかけている優奈だけは理解してなかったが……。

 

 「ちょっとした空間を用意しますので、そこで二、三日暮らせますよ。

 草原と小川と家も用意しましょう、これはどちらか一人だと思っていたのにまさか二人とも選ばせるという予想外の結果に対する褒美です」

 

 そして全力で和人とライルが頷いた。

 パチンとレイファールが指を鳴らすと、優奈達三人は草原の広がる丘の上に転移していたその背後にはこじんまりとした家が建っている。

 そして空中にレイファールの声が響く。

 

 「すでに和人さんと魔王の寿命はありません、あと三日後に先程の場所に転移しますのでそれまで頑張って下さいね。

 あとそこは完全な異空間でだれも来れません、私も覗いたりしませんのでご自由にどうぞ」

 

 レイファールの言葉が聞こえなくなると、和人は優奈をお姫様抱っこしライルと共に家の中へ消えて行った……。

 

 

 

 

 「さぁ、ブルベル三日後に迎えに来てあげましょう」

 「畏まりました」

 

 苦笑しながら了解するブルベル、少し優奈達が羨ましかった。

 これまで仕事一筋だったが、私も恋人を見つけようかしら?と頭の片隅で考えていた。

 

 

 

 

やっとクリア?です。

そろそろ別の街へ行きたいですねー。

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