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36.ダンジョンデート ライル編

 次の日95階層に優奈とライルの姿があった、昨日は早めに夕飯を済まし早々と休んだ。

 朝早くから優奈とデートするために!

 

 さくさくとトレントを倒していく優奈、相手は木なので剣は使わない。

 魔法主体で戦っていく、そしてドロップアイテムをライルが拾っていく。

 小一時間ほども戦うと95階層半分くらいのトレントを殲滅出来た、川を挟んだ反対側は休憩のあとに狩ることになった。

 

 滝が流れる川の側に隣り合って座り休憩をする二人、

 ライルはアイテムボックスからティーポットとカップを取り出すと紅茶を入れユウナにカップを手渡した。

 

 「あらありがとう」

 

 貰った紅茶を一口飲んで驚く優奈。

 

 「あ、これってライルが作った紅茶よね。茶葉を貰って帰ろうと思ってたのにあの時の騒動ですっかり忘れていたのよね」

 「ユウナの為ならいつでも淹れるから言ってくれ」

 

 その言葉ににっこりと微笑みお礼を言う優奈。

 

 「この紅茶なら毎日でも飲みたいわね」

 「飲みたいなら毎日淹れてやるさ、ただしユウナにしか飲まさないけどな」

 「あらこんなに美味しいのだから他の人にも振る舞ってあげればいいのに」

 「これはユウナのためだけに作った、ユウナのお茶だからな」

 

 それを聞き、ふんわりと嬉しそうに微笑む優奈。

 ライルは初めて見た優奈の笑顔に思わず手にしていたカップを落としそうになる。

 そして無意識にカップを地面に置き、優奈を抱き寄せ口づける。

 

 優奈の手からカップがこぼれ落ちる、紅茶をまき散らしながら地面に落ちるカップ。

 優奈の腰に手を回し少しずつ深くキスをかわしていく。

 そして知らずのうちの優奈の目が閉じられライルに身を任せていた。

 

 「ぁ……、んん……」

 

 長い長いキスに優奈から声が零れる。

 お互いの舌が優しく絡み合う。

 永遠にも思えるほどの長い時間甘く熱い口づけをかわす。

 そして満足したのかようやくライルが口を離した。

 とたん顔を真っ赤にさせる優奈、あまりの恥ずかしさにライルの胸に顔を埋める。

 

 「突然なにするのよぉ……、ばかぁ……。初めてだったのに……」

 

 弱弱しく抗議する優奈を優しく抱きしめると、耳元で囁く。

 

 「あんな笑顔を見せられて我慢できるはずがないだろう?」

 

 無言でライルのコートをぎゅぅと掴む優奈。

 

 「ユウナ愛してる」

 「前にも言ったけど和人さんが……」

 「和人とも話し合ったんだけどな、相手が和人なら恋人が二人でも構わない」

 

 その言葉に顔をあげる優奈。

 

 「どういうこと……?」

 「ユウナに恋人が二人いても構わないってことだ、その相手がカズトならって条件付きだが」

 「え……、一夫一婦よね? 相手が二人いたら浮気よ?」

 「それはユウナの世界の話だろ、こちらの世界は特に制限はないぞ」

 

 それを聞き、そういえばと思う優奈。

 この世界の人々は全員寿命が長い、そのせいで出生率があまり高くないのだ。

 そのせいなのか何人もの男性と結婚している人や、何人もの女性と結婚してる人が多い。

 離婚も結構頻繁に行っている、もちろん一人の人を愛し生涯添い遂げる人のが多いのだが。

 

 「二人を好きでもいいの……?」

 「相手がカズトなら構わない、他の男性に浮気は許さないぞ」

 

 その言葉に逡巡する優奈。

 愛するのは一人の男性だけ、その他は浮気。

 そういう価値観で育ってきたのだ、すぐに決断するのは難しかった。

 

 「ユウナは俺が嫌いか?」

 「嫌いじゃないわ、好きよ……」

 

 ライルに聞こえるかどうかの小さな声で答える優奈。

 

 「じゃぁ何を思い悩む必要がある、カズトならいいと言っている。それともカズト以外の気になる男性がいるのか?」

 「いないわ!」

 

 思わず即答する優奈。

 優奈の頭を撫でながらもう一度耳元でライルが囁く。

 

 「愛してるユウナ、俺の恋人になってくれるか」

 「本当にいいの……?」

 

 返事の代わりにもう一度優奈に口づけるライル。

 今度は短く唇が触れ合う程度のものだ。

 そして優奈も返事の代わりにライルに抱き着いた。

 

 200年越しのライルの初恋が実った瞬間であった。

 

 

 そのまま軽く昼食を取り反対側のトレントも殲滅していく。

 最初に倒したトレントがすでに沸いていたが、残り半分を倒したところで殲滅をやめ残りの時間川辺を散策することにした。

 手を繋ぎ散策をする二人、天井にある水晶が光を放ち水がキラキラと輝いていた。

 

 「不思議な気分ね、200年に前にはライルを憎んでいたのに。

 まぁ、冒険者ギルドの体制作りや街を作っていくうちに忙しさに紛れそんな気持ちは薄れていってしまったけど。

 それでも壁はあったものね、和人さんが来てからかしら自分が変わっていったの」

 

 ライルは足を止め優奈を抱き寄せる、そして左手で優奈の顔にそっと触れる。

 

 「カズトが来てから、優奈はよく笑う様になった。

 この世界に残ることになってからあまり笑わなくなったが、今は昔みたいによく笑い表情もころころ変わる。

 全部カズトのおかげだな」

 

 自分の顔を触り不思議そうにする優奈。

 

 「そんなに私笑ってなかったかしら」

 「そうだな、いつもキリッとしてて頼れる女性って感じだったな。

 笑った優奈は可愛いからな、あまり男性に笑顔を振りまくなよ」

 「そんなことしないわよ」

 

 笑いながら否定する優奈。

 そしてその日夕暮れの時間まで二人でデートを楽しんだ。

 

 

 

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