34.聖剣
すみません、また少し投稿が遅れてしまいました。
優奈が竜王のコートを分解してから二日後、一行は90階にまで達していた。
コートの代わりに仕方なく鎧を装備した優奈が、早く鎧を脱ぎたいがために一人でほぼすべての敵を薙ぎ払い進撃してしまったのだ。
「早くクリアして鎧を脱ぐんだからね!!」
和人とブルベルに経験を積ませるという当初の目的はすでに置き去りにされている。
「和人とブルベルに経験詰ませるんじゃなかったのか」
ついっと顔を横に向けて聞かなかった振りをする優奈をみて、「貸し一つよ」とちゃっかり貸しを作ってるブルベルがいた。
90階層のボス部屋に着くと簡単にブルベルに説明をし扉を開ける。
すでに和人とライルのレベルでは相手にならないくらい敵が強くなってしまっているので、優奈がターゲットを取りブルベルが魔法で撃破していくスタイルだ。
優奈がかなり手傷を負わせてから魔法を撃つだけなので、経験の少ないブルベルでもかなり簡単にあてられる。
「あれ? ここはジャイアントオークが3匹のはずだったと思うのだけど、何もいないわね」
扉を開けたら待ち構えているはずのボスがいなかった、しかもなぜか部屋の真ん中に大き目の湖があった。
「湖? がありますね」
「あまり覚えてないんだが、湖はなかったと思うぞ」
部屋に入り周りを見渡すがどこにもボスはいなかった。
仕方なく湖に近づくとなぜか湖の側に切り株に突き刺さった斧が置いてあった。
「ねぇ、和人さん湖と斧ってなんか嫌な予感がするのだけど。この斧を湖に投げ入れろとかじゃないわよね」
「たぶん斧を投げ入れると女神様が出てくるんですね」
女神はここに二人もいるんだけどなと思いつつ、優奈は仕方なく斧に近づき切り株から抜き取る。
「なんかすぐ壊れそうな斧ね」
「それは戦闘用の斧じゃないだろ」
優奈はなぜかアイテムボックスから自前の斧を取り出す、以前ダンジョンで手に入れた物だが斧は使わないので入れっぱなしだったのだ。
「もしかしてその斧を投げる気ですか、もったいないような」
「別に使わないからいいわよ」
そういうと大きく振りかぶって湖の中心に向かってすごい勢いで投擲する。
ドッゴーン!!
ものすごい水柱が立ち全員びしょ濡れになってしまった。
「ちょっとユウナ何してるのよ、濡れちゃったじゃないの」
ブルベルが抗議するがなぜか優奈は湖の中心を睨みつけるかのように見つめている。
しばらくすると水も落ち着き水面がなだらかになっていく。
なぜか湖の中心がどんどん赤く染まっていき、中心から水竜の首が浮かんできた。
そしてガコンと音がして91階層への扉が開いた。
「あ、やっぱり湖の中にボスがいたのね」
「お、おう。結局斧はなんだったんだ」
「たぶんなんだけど、斧を湖に投げ入れると人に化けた水竜が出てきてあなたが落したのは~って聞いてくるのよ。
そして落したものを受け取ろうとしたら襲われるんだと思うわよ?」
「普通斧投げ入れるか?」
「ライル知らないの? 斧を投げ入れると金と銀の斧をくれる伝説の湖があるのよ」
優奈の説明に首を傾げるライル、知らないのも無理はない。
昔優奈が作った子供向けの絵本に書いてあるのだ。
結構人気で各国で売ってたりする。
「そういえばここの宝箱はどこなんですかね」
和人がきょろきょろと部屋を見渡すと、91階層への扉の前にちょうど宝箱が出現した所だった。
ライルが慎重に宝箱を開けると、そこには細工の美しい剣が一振り入っていた。
聖剣 タチバナ (レプリカ)
腕力+500
敏捷+100
鑑定結果に噴き出す優奈とライル。
「なんで私の名前がついてるのよ!」
「レプリカなのになんだこの秘宝級の剣は!」
そこに申し訳なさそうな声でブルベルが割り込む。
「ちょっとダンジョン担当の女神に聞いてみたのだけど、面白そうだからって理由で作ったらしいわよ。
その聖剣タチバナ……」
「はぁ、レプリカってことは100階の報酬が本物の聖剣よね。
さっさとクリアして回収しましょう。あとせめて名前を変更するようにその女神に言ってちょうだい……」
優奈はまたレイファールの悪ふざけかと思ったが、女神の仕業なら100階の聖剣はそんなに変なものではないだろうと一人胸をなでおろしていた。




