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21.優奈照れる

すみません今日もちょっぴり短めです。



 「ねぇ聞いて! 私結婚式をしようと思うの!」

 

 次の日のお昼、全員が料理長の美味しい昼食に舌鼓を打ってる最中に突然優奈が爆弾を投下した。

 一気に静まる食堂、給仕をしているメイド達はライルと和人を一瞥した後目で会話をしはじめる。

 『ねぇどっちだと思う?』『やっぱりライル様かな?』『大穴でブルベル様かも!』そんな会話が聞こえてきそうだ。

 沈黙を破ったのは和人とライルの二人だった。

 二人同時にガタッ!と音をさせて椅子から立ち上がり、優奈の両脇へ回り込む。

 そして片膝を付き二人同時に優奈にプロポーズを始めた。

 

 「ユウナやっと俺の気持ちを受け入れてくれたんだな、結婚式はどこでやる? やはりこの街がいいか? 俺は優奈が決めた場所ならどこでもいいぞ」

 

 そして16本の真っ赤な薔薇の花束を取り出し真剣な顔で優奈に差し出すライル。

 なぜ薔薇の花束を持っているのか謎である……。

 

 

 「優奈さん愛しています、結婚して頂けませんか。今はまだシンプルな指輪しか用意できませんがいつかきっと優奈さんに似合う指輪を創ってみせます。

 好きなブランドがあったら言ってくださいね」

 

 指輪を取り出しケースをパカっと開ける和人、乙女の憧れ指輪パカである。

 和人の言った通りシルバーの飾り気のないシンプルな指輪が赤い指輪ケースに収まっている。

 この街では優奈が昔に喋ったことが原因で指輪を贈りプロポーズするのが主流になっている。

 それまでは花束を贈るのがせいぜいだった。

 

 和人の指輪パカにメイド達から黄色い声があがる。

 

 「キャー! ユウナ様羨ましい、これが本家のプロポーズなんですね。片膝ついて指輪パカとか広めないと!!」

 

 もう大興奮である。

 後日この話が街中に広まり、薔薇の花束を持って片膝を付き指輪のケースをパカっと開けてプロポーズするのが流行るのだがそれはまた別の話である。

 

 優奈は思わず和人の指輪を見つめてしまう。

 そして指輪と和人を交互に見ると顔を真っ赤にさせてしまった。

 まさか王道なプロポーズをされると思わなかったのだ、やはり優奈も女性なのでこういうプロポーズには憧れがあった。

 それを見たライルが慌てる慌てる「指輪、指輪がいいのか!」と言い指輪を取りに慌てて魔界に帰ろうとする。

 その言葉を聞いた優奈が慌ててライルを止める。

 

 「違う違うの! ユーフェミアとリオンの結婚式をしたいのよぉぉぉぉ!!」

 「そんなことだろうと思ったわ」

 

 冷静に一人食事を続けるブルベル、ちらっと和人とライルを見る。

 その瞳は『馬鹿なの?』と言外に語っていた。

 早とちりに気付いた和人とライルは顔を真っ赤にして席に戻り、何事もなかったかのように会話を続けた。

 

 「えっと確か世界樹の化身とその守り人でしたっけ?」

 「そうよ、婚約者って聞いたからまだ結婚してないだろうしって思って。

 それなのになんで私が結婚することになるのよ、相手も決めてないのにするわけないでしょ。

 結婚式するのを決めてから相手を決めるとかおかしいって思いなさいよ!」

 「へぇ~、相手がいないではなくて相手を決めてないか……、ユウナその相手は?」

 

 にやにやしながら優奈を問い詰めるライル。

 それを聞いて和人も顔を輝かせて優奈を見つめ始めた。

 

 「知らないわよ!」

 

 顔を真っ赤にしてついっと横を向く優奈。

 顔を真っ赤にして拗ねる珍しい姿を見せる優奈を和人がこっそり手にしたデジカメで撮影を始める。

 あまりにも静かなので不思議に思った優奈が顔を元に戻すと、撮影をしている和人の姿が……。

 

 「和人さん何してるの! ちょ、それ貸しなさい!!」

 「嫌です! 私の宝物にするんです」

 

 デジカメを取り上げようとする優奈を躱し、アイテムボックスにデジカメをしまいこむ和人。

 大騒ぎになってしまい、結局結婚式について何も決まらなかった。

 全部決まったのは夜も遅くなってからだったとか……。

 

 

 

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