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19.生命の木

章わけをしてみました。


 優奈とブルベルが神域に戻ってくると、アイリスが駆け寄ってきた。

 

 「ユウナちゃんお帰り~! ちゃんと世界樹は癒しておいたわよ。

 2.3日もすればまた実を付けるから和人くんもちゃんと助かるからね」

 

 口調は軽いが慈愛に満ちた瞳で伝えてくるアイリス、世界樹も浄化されおり枯れていた場所も今は瑞々しい葉に覆われている。

 

 「ありがとうございます、アイリス様」

 

 優奈はアイリスに頭を下げお礼を伝える、あとは実がなるのを待つばかりだ。

 

 「そういえば世界樹の彼氏くんはどうなったの?」

 「ああそれなら、ユウナの眷属にして世界樹の守り人をさせることになったわ」

 「彼氏くん王族って聞いたけどよく許して貰えたわね」

 「なんか王はあっさり認めてたけど、母親の方はどうかな」

 

 ブルベルとアイリスが話し込み始めたので、優奈は門番に質問を始めた。

 

 「ねぇ、ここって家とかないけど門番はどこで寝てるの?あと食べ物は?」

 「家は特にありません、寝るときは世界樹の葉のベッドで寝てます。

 食事に関してはしておりません、私は特に食事を必要としませんので」

 

 それを聞いて悩み始める優奈、リオンは元エルフなのだ。

 家はあった方が良いだろうし食事に関してもしたほうがいいのでは?と思ったのだ。

 

 「ベル! リオンって食事しなくても大丈夫なの?」

 「食事? しなくても大丈夫なはずだけど、エルフだった時の記憶に体がひきずられるからお腹空くかもしれないわね」

 「もしかして神族って食事しないの?」

 「正確には『食べ物からエネルギーを摂取する必要がない』かしら。

 食べなくてもいいのだけど、そういえば神族の皆は結構食べてるわね」

 「食べるのは楽しいもの! 味も楽しめるしね」

 

 それを聞いた優奈はあることを考え付きアイリスに願い出た。

 

 「アイリス様お願いがあるのですけど」

 「あらなあに? ユウナちゃんのお願いなら出来るだけ訊いてあげるわよ」

 「リオンの事なのですが、やっぱりお腹が空くのは可哀想なので1個食べたら1日は空腹を感じない木の実とかないですか?

 ここで料理をするわけにはいかないと思うので、そこらへんが妥当かなと思うのですが」

 「うーん、ないけど創ってあげるわ。どんなのがいいのかな」

 「そうですね、1日1回実がなって取りやすいように背はそんなに高くない方がいいです。

 出来れば栄養もあるといいですね、もしここに人が来ることがあったらそれを食べられるように」

 

 優奈の要望を聞き、望み通りの木の苗を創っていくアイリス。

 出来上がった苗を地面を植えると、すくすくと育っていき優奈と同じくらいの高さの木が出来上がる。

 その木には美味しそうな黄金色の果実がいくつも実っていた。

 

 「みてみて! 味も保証つきよ、一つ一つ味が違うのよ! えっと、お肉の味とあっさりとしたお魚の味とケーキ味もあるわよ。

 とにかく色々な味があるの!」

 

 とにかくすごい!と力説するアイリスに優奈が笑ってお礼を言ってる傍らでライルがこっそり実をもいで食べていた。

 

 「うお、まじでショートケーキの味がする……、しかも腹一杯になったし」

 「ちょっと何食べてるのよ、私も食べたい!」

 

 私も私もとブルベルや門番までまじり試食会が開催される。

 

 「初めて食事しましたが、食事ってこんなにも美味しいものなのですね……!」

 

 初めて口にした食物に門番が感動に打ち震える。

 

 「今日から毎日食事出来るわよ、アイリス様にお礼を言ってね」

 「ありがとうございます、豊穣の女神様。とても感動しました!」

 「私はユウナの希望を叶えただけよ」

 

 そう言いながらも照れるアイリス。

 優奈の思い付きを形にしただけとはいえ、感動しましたとまで言われ嬉しかったようだ。

 

 「あー、出来れば主食とデザートは別の色にした方がよくないか。」

 「じゃぁデザート味は金色、それ以外は赤色とかどう?」

 「それならよさそうですね、それでお願いします」

 

 ライルの提案を実現するために木に力を放つアイリス、果実の色が変化していき金と赤に彩られた木が完成した。

 

 「よし、これを『生命の木』と名付けます」

 

 優奈の声が高らかに神域に響いた。

 

 

 

 

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