18.リオンの決断
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「さて、世界樹の化身はエルフの王宮にいるのかしら」
「連れて行ったのはエルフの王族リオン・アルディアエルです。
ですので、王宮にいる可能性が高いと思います」
「先程の感じだと世界樹の化身もそう持たないと思うので、神力全開で玉座に移動したほうがいいかしら」
「そうね、女神の威光を使って有無を言わせず連れてきた方がいいわね」
優奈とブルベルの二人が女神モードでエルフの王に突撃、そのまま世界樹の化身の場所を聞き出しここに連れて帰る。
なんとも強引だが、時間がないのでこれが最善だろうという結論になった。
いちいち王に謁見の申し込みなどしてる暇はないのだ。
「すると俺はここで留守番だな」
「そうね、ライルはここで留守番をお願い」
「ユウナ様世界樹の化身はリオンによって、ユーフェミアと言う名前を与えられています。
そしてリオンはユーフェミアが世界樹の化身だと知らないはずです。
私は伝えておりませんし、たぶん彼女も伝えないと思います」
優奈は門番の言葉に頷くとブルベルにどうやって世界樹を癒せばいいのか問う。
「アイリスに任せましょう、豊穣の女神であるアイリスなら世界樹も癒せるわ。
ただ癒したあとすぐに実が出来るかは……」
「それは今考えても仕方ないわ、とりあえず世界樹を癒すのが先よ」
優奈はブルベルの手を取り神力を解放していく、
1級神として身体能力は素晴らしいが神力についてはまだまだの優奈の為にブルベルが手を貸し優奈の神々しさをマシマシにしていく。
見ただけで誰もが膝を付き頭を垂れる、見た目だけはまさしく女神な優奈の出来上がりである。
玉座に王がいるのを確認するとエルフの王宮へ転移する優奈とブルベル。
突然現れた女神二人にエルフの王そして重鎮達が驚き、そして膝をついて行く。
圧倒され誰も声が出せない中、エルフの王が優奈達に質問を投げかける。
「これは我が王宮に何の御用かな女神ユウナよ、最高神様もご一緒とは……」
「お久しぶりねアグラエル。突然の来訪ごめんなさい、リオン・アルディアエルは貴方のご子息かしら?」
「ああ、2番目の息子だが。リオンが何かしたかね」
優奈とエルフの王アグラエル・アルディアエルは仲がいい。
優奈は召喚されたあと魔法を学ぶために一時期エルフの王宮にいたことがあるのだ。
「ユーフェミアという女性に心当たりは?」
「リオンの婚約者だが」
アグラエルは眉をしかめ考える、息子のリオンと婚約者が女神の怒りに触れるようなことをしただろうかと。
ここ1年リオンは大人しく王宮にいるし、婚約者のユーフェミアは病を患わったとかで寝付いていたはず。
理由が思い浮かばず頭を悩ませる、優奈はアグラエルの友人とも言える。例え女神なっても用があれば勇者として国に訪れるはずだ。
それが女神としてさらに最高神まで一緒のためリオンが何をしたのか分からず内心焦り始めていた。
「そのユーフェミアですが、彼女は世界樹の化身です」
優奈の言葉にアグラエルもそして周りの重鎮たちも息を呑む。
そしてアグラエルがその言葉で気づいた、世界樹の化身であるユーフェミアが病に倒れているという事実に。
「もしかして、世界樹が枯れかけているのか!!」
「その通りよ、世界樹にとって自身がいる神域の外は毒にしかならないの。
今すぐに神域に連れ帰りたいのよ、案内して貰えるかしら」
重鎮達がざわざわと騒ぎ始める、世界樹が枯れればエルフの国の空気は一変する。
森に魔物が生まれ、そしていつしかダンジョンも出来上がるのだ。
周りに魔物がいないため、エルフの国は防衛に重きを置いていない世界樹が枯れれば国のありようも変えなければいけないのだ。
「案内しようこちらだ」
アグラエルが立ち上がり玉座の間を出て移動していく。
早歩きで廊下を移動していく一行に、すれ違ったメイドが驚き道を譲っていく。
そして一つの扉の前に着くとアグラエルはノックもせずに扉を開ける。
「リオンいるか!」
「ち、父上! どうされたのですか……」
王族にあるまじき暴挙にリオンが目を丸くする。
そしてそのリオンの側にはベッドに横たわるユーフェミアの姿があった。
「間違いないわ世界樹よ、ベル彼女をお願い。私は彼に説明を」
「わかったわ任せて頂戴、すでにアイリスは神域にいるはずよ」
ブルベルはユーフェミアを抱えすぐに神域に転移する、ユーフェミアの状態は思ったより悪くさすがのブルベルにも焦りが生まれる。
「ユーフェ! ユーフェ!」
ブルベルに掴みかかろうとするリオンの肩を優奈は掴み、そのまま腕を振り勢いよくリオンを座らせる。
叩き付けられるように椅子に座らされ、リオンは背中をしたたかに打ち付ける。
「おいユウナそれは乱暴すぎないか」
アグラエルの抗議を聞き流し、リオンに説明を始める優奈。
「少しは落ち着いたかしら、リオン・アディアエル」
「貴女は勇者……、ユーフェをどこにやったんですか」
「よく聞きなさい、貴方の愛するユーフェミアは世界樹の化身なのよ。
そして世界樹には神域の外の物は毒になるわ、それで病んでしまったの」
「ユーフェが世界樹の化身……」
呆然と呟くリオン、普通の人は少し違うと思っていたがまさか世界樹の化身だとは思わなかったのだ。
「ユーフェミアは神域に連れ帰りました、現在愛と豊穣の女神アイリス様が治療して下さってるわ」
「ユーフェは助かるんですね……」
滂沱の涙を流しリオンはユーフェミアが助かることに喜んだ。
しかし続けて掛けれた言葉にリオンは青ざめる。
「このままユーフェミアは神域に留め置きます、二度と外の世界へ行くことは許されません」
「もうユーフェには会えないのですか」
「会うことは叶いません」
愛する彼女に二度と会うことは許されない、それを聞いたリオンは椅子から立ち上がり優奈に懇願する。
たった一年だが、リオンとユーフェミアは離れがたいほどに絆を深めていた。
お互いを知れば知る程に深くなる愛情、二人は運命の相手そう言っても過言ではないほど愛し合っていた。
「ユウナ様お願いです! 彼女のユーフェミアの側に居させてください、王子という地位も何もかもいりません。すべてを捨てても構いません!」
リオンの悲痛な声が部屋に響く、愛するユーフェミアに会えなくなるリオンにとってそれは何よりも恐ろしいものなのだ。
リオンのその言葉にアグラエルは王としてではなく、父として問いかける。
「リオン、それは家族も捨てるということだ。わかっているのか」
「父上……、わかっています。家族を私を育んでくれたエルフという国を捨ててでも、ユーフェミアの側に居たいのです。
彼女を愛しているのです!」
「それ程までに彼女を愛しているのだな……」
アグラエルは息子がそれ程までにユーフェミアを愛していることに驚き、そして親の手を離れてしまったことを寂しくも感じた。
「その言葉に嘘偽りはありませんか?」
突然ブルベルの言葉が部屋に響く、遅れてブルベルが部屋に姿を現した。
「ありません! 彼女のためならすべてを捨てられます」
「ではユウナの眷属となり世界が滅びるその日まで世界樹と共にいれますか?
神域から出ることも、家族にも友にも二度と会えません。それでも世界樹の側にいると誓えますか?」
「誓います、ユーフェミアがいれば他に何もいりません」
ブルベルは頷くとリオンに近づきその額に右手の人差し指をあてる。
そしてリオンの体がふっと軽くなる、すべてのしがらみから解放されたようなそんな感覚がリオンを襲う。
「今貴方を神族の末席に加えました、ユウナ彼を眷属へ加えなさい」
優奈はリオンを跪かせると頭に手を置き言葉を紡ぐ。
「女神ユウナの名において命ずる、我が眷属となり世界樹を守る守り人となれ」
「謹んでお受けいたします」
リオンが答えると優奈と二人光りに包まれ、優奈からリオンに力が流れていく。
光が消えると姿形は変わらないが、柔らかな物腰が消え芯が強く自信に満ち溢れているリオンの姿があった。
「これは私からのプレゼントです」
ブルベルはそう言うとリオンの額をちょっと突く。
「それは水面に好きな場所を映し出すことが出来ます、結界に守られている場所は無理ですけどね。
それがあれば少しは退屈しないで済むでしょう」
「ありがとうございます!」
ブルベルの意図に気付き心から感謝するリオン、これがあれば王宮は無理だがいつでもエルフの国を故郷を見ることが出来る。
「世界樹も今は眠りについています、これで永遠の別れとなりますのでご家族と別れを済ませてから神域へいらっしゃい」
「ご配慮ありがとうございます」
ブルベルが優奈に近づきそっと耳打ちをする。
優奈は頷くとリオンに一言伝えた。
「リオンアイテムバックを一つだけ持っていくことを許可するわ」
そしてリオンにウィンクをすると優奈はブルベルと共に神域へと戻って行った。




