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14.和人さんピンチ


 あのあとライルがレイファールに文句を言ったり、優奈の笑いが止まらなくなったりしたせいで結構時間をロスしてしまった一行。

 20階層の転移陣をチェックすると遅れを取り戻すために、優奈が無双し40階層までノンストップで移動。

 41階層から和人ライルブルベルの3人も混ざりレベル上げしつつ階層を進んでいった。

 順調にレベルが上がっていき、和人とブルベルも戦闘に段々慣れてきたようだ。

 

 「よし、今日は45階層の転移陣をチェックしたらセーフティルームで野営をしましょうか」

 「そうだな、お腹も空いたしな」

 「和人さんとベルもそれでいい?」

 「探索経験はないので二人にお任せします」

 「私も二人に任せるわ」

 

 45階層への階段を降りながら今日の予定を話し合う一行、階段を降りきると樹木の生い茂る森林エリアが広がっていた。

 ここの主な敵はレッドスパイダーで六つの赤い目を持った直径1mくらいの大蜘蛛だ。

 唾液に毒を持っており噛まれた場合すぐに毒消しを使わないと危険である。

 警戒しつつ森林を歩いていると、木の上からレッドスパイダーが優奈に向かって飛びかかってきた。

 それを盾で受け止める優奈、攻撃を止められたレッドスパイダーはすぐさまお尻を持ち上げ糸をシャワーのように吹きかけ後衛を狙ってくる。

 優奈はすぐに右に飛んで糸を回避する、優奈が回避した瞬間後ろから和人とブルベルがファイアーボールを放つ。

 飛んできた糸を燃やしながらレッドスパイダーに炸裂する魔法。

 

 「ギィィィィィ」

 

 レッドスパイダーが叫び声をあげながらのたうちまわる、そこにライルが走ってきてレッドスパイダーを一刀両断した。

 

 「二人ともよくとっさに魔法撃てたわね、今日初めて戦闘したとは思えないわ」

 「まぁ、森林なのでできれば炎系の魔法は避けてもらいたかったが」

 

 ライルはそう言うと魔法で水を出し、消火活動を始める。

 下草が燃え、側の木からぷすぷすと白い煙が出ている。

 

 「すみません! こういう場所だと何系統の魔法がいいですか」

 「そうだな、真空の刃や氷の槍や矢を飛ばすのもいいと思うぞ」

 「両方ともまだ使えないですね……」

 「私はうーん」

 

 こうかしら? と言い魔力を練り上げるブルベル、そして人間の腕の太さ位ある氷の槍が出来上がった。

 ドスッ! という音を立てて地面に突き刺さる氷の槍。

 

 「こわっ、槍はそんなに太くないわよ……」

 「あらでも、これなら一撃で倒せそうじゃない?」

 「魔力をそんなに使わないならそれでもいいけど、燃費が悪いならやめた方がいいわよ」

 「大丈夫、あまり使ってないわ。100本くらい作っても枯渇したりしないわね」

 「なら、和人さんはこの階は見学して貰ってベルにその槍で倒してもらおうかな」

 「任せなさい!」

 

 その後喜々として氷の槍を放つブルベル、役に立てるのが嬉しいようだ。

 特に問題なくセーフティルームにたどり着いた一行は夕飯の準備を始めた。

 暖かいスープとハンバーガーで手軽に夕飯を済ませた後、ライルが野営の準備をしようと立ち上がったところで和人がまったく食事に手を付けていないのに気が付いた。

 

 「カズトどうした? ダンジョンでは食べられるときに食べないと体が持たないぞ」

 「すみません、ちょっと体が怠くて……」

 

 体の不調を訴える和人、様子を確認しようと優奈が立ち上がったその時和人の体が崩れ落ちた。

 間一髪で頭が地面にぶつかる前に優奈が抱き留めた。

 抱き留めた身体が熱い、ぐったりとしてハァハァと辛そうに呼吸をしている。

 

 

 「まずいわね、疲労ならいいけど何かの病気だったらまずいわ。すぐに地上に戻りましょう」

 「わかったわ、片付けは任せて」

 「ちょうど転移陣のある階層でよかったな……」

 

 ブルベルに片づけを任せ、優奈はライルの背中に和人を乗せる。

 そのまま部屋の隅にある転移陣で一気に地上へ戻った。

 転移陣を出ると月が大分高く、夜もだいぶ遅い時間のようだ。

 

 「冒険者ギルドなら24時間必ず医者がいるわ。急いでギルドへ向かうわよ」

 

 無言で頷くライルとブルベル、通りを駆け抜け冒険者ギルドへ向かう。

 優奈が勢いよくギルドの扉を開けて中へ入り、そのまま医者のいるところへ向かう。

 

 「医者はいる!? ダンジョンで仲間が突然倒れたので見てもらいたのだけど」

 「おや、ユウナ様じゃないですか。倒れた方をそちらのベッドへ寝かせて貰えますか」

 

 優奈はライルから和人を受け取りベッドへ寝かせる。

 医者は和人の様子を確認すると優奈達へ声をかける。

 

 「だいぶ熱が高いですね、このまま治療開始しますのでユウナ様達は朝また来てもらえますか」

 「わかったわ、彼は異世界人なのでそこも考慮して見てもらえると助かるわ」

 「ふむ、異世界人ですか。わかりました資料もあたってみましょう」

 

 ギルドの外へ出ると先程は急いでいた為気づかなかったが、少し肌寒かった。

 3人はとぼとぼと屋敷への道のりを歩いていく。

 

 「ただの疲労だといいんだけど、今気づいたのだけど和人さんはガイアが召喚したから祝福を受けてないのよね……」

 「あらそうなの? じゃぁ元気になったらユウナが祝福してあげればいいわ。あとで教えてあげる」

 「異世界人にする祝福は違うんだったか?」

 「まったく違う世界に呼び出されるから、病気になりにくくなる為の祝福ね」

 「カズトが呼び出された時はいろいろあったし仕方ないだろう、自分を責めないようにな」

 

 足を止めライルに向き合い、「ありがとう」と小さくこぼす優奈。

 祝福の事を忘れ和人を連れまわしてしまったことに責任を感じていた。

 ライルは優奈の手を取り歩き出す、その後ろから私邪魔かしら?という顔をしながらブルベルがついていった。

 

 

 

 

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