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9. プロミエの大迷宮

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 まだ夜も明けきらないタチバナの街を優奈が歩いている。

 ギルド通りの先にある「プロミエの大迷宮(ダンジョン )」へ向かうためだ。

 冒険者ギルド本部を通り過ぎ、そのまままっすぐに進むと目的地のダンジョン入り口が見えてくる。

 入り口には冒険者ギルドの出張所があり、ダンジョンに入る人をチェックしている。

 入るにはここで冒険者カードを提示しないといけない。

 優奈を見つけたギルド職員が眠そうな顔をして挨拶をする。

 

 「あ、ユウナ様おはようございます。こんな朝早くからどうされたんですか」

 「おはよう、夜勤ご苦労様。 ちょっと中で待ち合わせをしててね、入っていいかしら?」

 「もちろんですよ、念のため冒険者カードいいですか?」

 

 手渡されたカードの名前だけチェックすると、職員は手元の台座にカードをはめ込むと優奈に声をかける。

 

 「はいじゃぁ、台座に手をお願いします」

 

 優奈がカードが置かれた台座に手を置くと、台座が青白く光る。

 この台座は冒険者カードが手を置いた本人の物なのかをチェックするための魔道具だ。

 カードと本人が一致しない場合は赤く光り、手が台座から離れなくなる。そしてその場で御用となる。

 冒険者カードの偽造及び、不正使用は大罪なのだ。

 

 「はい結構です、本人確認が取れましたのでどうぞ~」

 

 職員に礼をいい優奈はダンジョンの中に入って行く。

 しばらく進むとダンジョンを塞ぐ門が見えてくる、この門の側には街の兵士が詰めている。

 兵士にも手をあげ挨拶すると、門に冒険者カードをかざし開門する。

 ちなみに門の中にも兵士がおり、救援を求めてきた冒険者の救助などを行っている。

 兵士から十分離れ人が近くにいないのを確認した優奈はダンジョンの壁に手をあてダンジョンコアを呼び出す。

 

 「聞こえてるかしら、プロミエのダンジョンコア。私は女神ユウナ、この世界の新しい守護者よ。

 あなたの力を借りたいので姿を見せてくれるかしら」

 

 優奈がいい終わると壁の一部が光り、光の中から20代後半の青年が現れた。

 

 「やあ、初めまして守護者殿。この大迷宮初の踏破者がまさか守護者になってるとは驚きだ。

 それで俺の力を借りたいとはどういうことかな」

 「初めましてプロミエのダンジョンコア。守護者権限を使ってこのダンジョンの改変を行いたいわ、

 冒険者の安全の考慮と初心者の訓練。あとはこの大迷宮をクリアできるように冒険者の訓練施設を作りたいわ」

 「ほほう、今までの守護者はダンジョンをコアに任せていたが君はダンジョンに手を加えたいと」

 「ええ、あなたにも悪い話ではないと思うわ。これが上手くいけばこの大迷宮の踏破者がさらに増えるわよ」

 「確かに悪くない話だな、この迷宮は100層まであるせいでほとんどの冒険者が深部までたどり着けない。

 おかげで深部の魔物が増えないように調節するのが大変でね」

 「詳しい話をしたいのだけど、このダンジョンから出れて?」

 「ああ大丈夫だ、このままついていけばいけばいいかね」

 

 優奈は頷くと踵を返しダンジョンから出ていく。

 優奈と一緒に出てきた男性にギルド職員が不思議な顔をしたが特になにも聞かずに通した。

 

 

 

 

 日が昇り街の住民たちが慌ただしく動き出す。

 そんな朝の忙しい時間に優奈達は冒険者ギルドの会議室にいた。

 優奈ミイナ・ライル・ブルベル・和人の4人とプロミエのダンジョンコア、それと冒険者ギルドのギルドマスターとサブギルドマスターだ。

 全員が揃うと優奈が口火を切った。

 

 「朝早くからごめんなさいね、まず説明させてもらうわ。

 私の横に座っているのが魔王ライルその横が時の女神ブルベルさらに横が異世界からの召喚者和人さん。

 最後はプロミエの大迷宮のダンジョンコアよ」

 「ええっと……、今なにかさらっとすごいこと言われた気がするんですが……」

 

 壮年の男性が困ったような顔をしている、この男性が冒険者ギルドのギルドマスターであるリエンだ。

 金ランクまで上り詰めた元冒険者で優奈が全幅の信頼をおいている。

 

 「まぁ待ちなさいリエン、まず説明するから。

 私の前に座っているのが、この冒険者ギルドのマスターであるリエン。その隣がサブギルドマスターのルーシェよ」

 

 そして説明を続ける優奈、自分とライルのレベルが1に戻ってしまったこと。

 女神としての指導役に時の女神がついたこと、和人がこの世界に残り冒険者になること。

 この世界のダンジョンにはコアがあり、守護者である優奈ならコアにお願いをしてダンジョンを改変できること。

 

 「レベルを戻すためにダンジョンに潜りたいのだけど、その前にここのダンジョンに手を加えたいの。今考えてるのはこんな所ね」

 

 そう言って紙を広げる優奈、紙には優奈が考えた構想が書いてある。

 

 ・初心者トライアルダンジョン 初心者講習後に挑戦する クリアーで生活魔法詰め合わせプレゼント

 ・中級者用トライアルダンジョン 多種多様な魔物が襲ってくるフィールド、魔物ハウスあり クリアーで女神の加護(小)

 ※攻撃防御が少しUP

 ・上級者用トライアルダンジョン プロミエの大迷宮のボス10連戦 1つクリアごとにアイテムボックス10プレゼント

 ※条件:中級クリア済み

 

 上記トライアルダンジョンでは死んでも入口で生き返れる。

 上記トライアルダンジョンの入り口は冒険者ギルドに設置する。

 

 ・ダンジョン5層毎に帰還用転移陣を設置

 ・帰還用転移陣に一度でも入れば、その階層にダンジョン入り口から転移可能

 ・ダンジョンの魔物を倒したあと、魔石とランダムで魔物の部位をドロップ

 ※解体作業をなくすことにより、探索時間の短縮と解体中に襲われる危険を減らすため。

 

 ・水中専用トライアルダンジョン 最初の部屋で水中戦を学び次の部屋で水棲大型魔物との戦闘 クリアーで水中呼吸・水中戦闘のスキルプレゼント

 

 

 「こんな物なんだけどどうかしら? コアには一部を除いて可能だと回答を貰っているわ」

 「これがもし実装されたらより安全にダンジョンを攻略できるようになりますな」

 「ユウナ様水中トライアルはなぜあるのでしょうか」

 「現状水中の魔物に関してはスキル持ちがほとんどいないせいで手を出せないのが現状だわ、魔道具も高いしね。

 でもここで戦い方を学びスキルを手に入れれば、手が出せなかった水中の魔物が倒せるようになる。

 そうすれば漁師がもっと安全に漁が出来るようになるわ、それが狙いね」

 「確かにそうですね、さすがユウナ様です!」

 

 ルーシェが優奈様素敵って顔をしている、冒険者ギルドにいる優奈様をお姉様と呼び隊の隊長なのだ……。

 ちなみに優奈の激しい抵抗によりお姉さまと呼ぶことは出来ない、優奈に向かってお姉さまと言うと教育的指導が飛ぶためだ。

 

 「ちなみに出来ないのは、プレゼント系だな。俺は魔法とかそういうのは持ってないし、持っていたら一応可能だ。

 あとこれだけのことをするならマスターが欲しい、マスターがいないせいで使えない機能がある」

 「マスターはダンジョンにいないとダメなのかしら?」

 「いやいなくても大丈夫だ」

 「なら、リエンあなたマスターにならない? リエンなら安心できるわ」

 「私ですか? ダンジョンコア君は私でもいいのかね」

 「うん、君の実力は知ってるから。君ならマスターとして文句はないね」

 「ならよろしく頼む」

 「こちらこそよろしくな、マスター!」

 

 がっちりと握手を交わす二人、コアに乞われてリエンはさっそくコアに「プロミエ」と名前を付けた。

 

 「うーん、生き返りとアイテムボックスねぇ。ノルンと私が協力すれば両方ともコアに機能追加することは可能だけどレイファール様の許可がおりるかどうか」

 (構いません、ユウナの好きにやらせてあげてください)

 「レイ様!?」

 「レイファール様!」

 (今までユウナのようなことをしようとした女神はいませんでした、それによってこの世界がどう変わるのか私は楽しみなのです。

 それにすでに全コアにユウナの希望するプレゼント系機能を実装しました、ユウナ頑張って下さい)

 「はいレイ様!ありがとうございます」

 「いいのかなぁ……」

 

 頭を抱えるブルベル、ライルを除く人々は突然聞こえてきた創造神の声に唖然とするばかりだ。

 その後詳しい話を詰めたユウナは、ブルベルと和人の冒険者カードを発行してもらい冒険者初心者講習に放りこんだ。

 初心者講習終了後に、プロミエに作って貰った初心者用トライアルをクリアしたら一人前の冒険者と認められる。

 うきうきと初心者講習に臨んだ二人は、講習終了後別人のような顔つきになっていたという……。

 

 「何も教えずに講習に放り込むとは、ユウナ鬼だな……」

 「ふふふ、現実という物を教えてあげないとね」

 


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