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6.3分クッキング


 「和人さんちょっと相談があるんですけどいいですか?」

 

 天気のいいある日、庭でスキル上げをしていた和人にミイナを抱いた優奈が声をかけてきた。

 和人の周りにはスキルあげについでにぜひ作って欲しいと優奈に頼まれた漫画が積みあがっている。

 この庭は地面に柔らかい芝生が生えており、中央には噴水もあるのでとても気持ちいい空間となっている。

 和人はこの庭でよくスキルあげしつつ、魔力が切れたらこの世界の本読み勉強をしている。

 

 「あ、優奈さん丁度よかった。頼まれてた漫画全巻揃いましたよ」

 「本当ですか! うわぁ~この漫画凄い読み直したかったんですよね。ありがとうございます!」

 

 そういうと漫画を胸に抱えその場でくるくる回り始める優奈。

 ミイナが優奈の真似をしてくるくる回り始める、親の真似をする子供のようでとても愛らしい。。

 優奈が抱えている本は「ハンターの父親を探し出す旅をしてる男の子」の漫画だ。

 ちなみにまだ完結はしていない……。

 その他にも「鎧の弟と旅する少年」の漫画や、「古代オリエントに生贄として召喚された少女」の漫画なども頼んでいる。

 

 「それにしても和人さんのスキルは本当に不思議ですよね、詳細をしらないのにこうしてちゃんと本が出来るんですから」

 「実はですね、こういう物が欲しいって思うと目の前に該当品のリストがでるんです。

 横に必要スキルレベルと消費魔力が表示されます」

 「何そのスキル欲しい!」

 「あはは、私が代わりに優奈さんが欲しいものを作りますから」

 「あ、そうだ欲しいものと言えば相談に来たんですよ」

 

 ひとしきり回って満足したのか、ミイナを膝に乗せ和人の横に座り優奈は相談を始めた。

 どうやら祭りでだす食べ物の相談をしたいらしい。

 この街の住人はお祭り好きなので女神転生の儀式が終わったら必ず祭りが始まる。

 というか住民の勝手にやらせると大変なことになるので、なので早めに祭りの下準備をしているらしい。

 

 「祭りで日本の食べ物を提供ですか」

 「和人さんが良ければなんですけど、街の人に日本の味を知ってもらいたいなと」

 

 顎に手をやり和人は考え始めた。

 スキルレベルは少し上がっているが、総魔力が少ないので大量に創造することが出来ないからだ。

 

 「総魔力が少ないので大量に作れませんが、それでよければお手伝いさせてください」

 「マジックポーションや総魔力が増える秘宝(アーティファクト )もありますので、がんがん使って下さい!」

 「それでどんな料理を作る予定ですか?」

 「考えたのですが、やっぱり無難なのはカレーかな?と」

 

 そう言って優奈は首を傾げる。

 こちらの世界でカレーのような料理は見たことないし、

 意外と皆スパイシーな料理は好きなので受け入れて貰えるかなと思ったのだ。

 

 「カレーだとご飯の用意が大変じゃないですか?」

 「そこはアイテムボックスのスキル持ちに協力してもらって、大量に炊いたご飯をしまってもらおうかなと。

 アイテムボックス内は時が止まるので腐ったりもしませんし」

 「アイテムボックスって皆が持ってるものじゃないんですか」

 「アイテムボックスはレアスキルなんです、しかも人によって容量が違います。

 ちなみに私と和人さんのアイテムボックスは容量無限大ですよ。これは召喚者特典らしいです」

 

 へぇ~と言いつつ和人はアイテムを出し入れする、容量無限大と聞いて興味が沸いたようだ。

 

 「あ、すみません。それでカレーですよね、カレールーだと結構なメーカーがありますけどどれにします?」

 

 目の前に浮かび上がるリストを眺めながら和人は質問する。

 

 「今リストを見てるんですよね? そのリストって可視化できないですか」

 「可視化ですか、うーん。あ、こうかな?」

 

 二人の目の前に可視化された、大量のカレールーリストが表示される。

 優奈は目を凝らし、むぅ~と唸りながらリストを見つめている。

 

 「甘口は必要だと思うんですよね、子供用だとカレーの王○様とか定番ですけど。

 大人も食べるでしょうしバー○ントカレーのがいいですかね」

 「バー○ントは食べたことないんですよね……」

 「うーん、何個か作って貰って試しに食べてもらった方がいいかな?」

 「そうですね、じゃぁ定番のカレールーを何個か作ってみますね」

 

 和人がカレールーを作ってる間、飽きたのか芝生の上をコロコロと転がって遊んでいるミイナの姿があった。

 

 

 

 

 「「優奈と和人の3分クッキング!」」

 「ここに調理長が下ごしらえをしてくれた鍋があります!」

 「中身は優奈さんが昔仕留めたモーモーさんと!」

 「和人さんが収穫したイーモです!」

 「「鍋の中にカレールーを入れてゆっくりかき混ぜながら10分温めれば出来上がり!」」

 

 どや顔でカレールーを入れていく優奈。

 厨房の入り口では料理人達が「どこが3分?」「10分温めるとか言っちゃってる」「結局作ったの料理長だよな」とか言ってる声が聞こえるが二人とも華麗にスルーしている。

 ご飯にカレーをよそい料理人とメイド達が待っている食堂に運んでいく二人。

 ちなみに入れたカレールーはとりあえず大人用ってことで、ゴール○ンカレーである。

 食堂にカレーのいい匂いが立ち込めると、あちこちから「いい匂い」「食欲をそそる匂いですね」と好意的な声が聞こえてくる。

 そして全員にカレーが配り終わると皆一斉に食べ始めた。

 

 「「「「「「「美味しい!!」」」」」」」

 

 男性陣はガツガツと食べ始め、中にはお代わりまでしてる者もいる。

 どうやらカレーは異世界人にも認められる美味しさのようだ。

 

 「さすが料理長ですね、この肉の炒め具合最高です!」

 「このイーモもいい感じにほくほくしてて美味しいです」

 

 皆口々に感想を言っていく。

 

 「ちょっと! 褒めるのはそこじゃないでしょ!」

 

 優奈が文句を言うと。

 

 「いやぁユウナ様何もしてないよな?」

 「このカレールーだっけ? これを作ったのもカズト様だって聞いたし」

 「料理したのも料理長ですしね」

 

 それを聞いた優奈は涙目になって「モーモーさん倒したのは私だもん……」と呟いていた。

 

 「大丈夫です優奈さん、優奈さんがちゃんとかき混ぜてたのをしってますから!」

 

 和人に止めを刺され、足から崩れ落ち両手をついて落ち込む優奈の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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