エピローグ
これが、本当の最終話です
その後、ヤドが言っていた通り、デュアンが私の元を訪れ、私に入り込んでいた聖杯へ続く扉の鍵――――――――リヴリッグの意思を取り除いた。何か痛みを覚えたりするかと思ったが、本当の一瞬でその作業は終わってしまう。そして、「あと数時間後にはもう、“俺達”を視認する事はできなくなる」と告げ、私の元より去った。
彼らとの関わりが終わりを告げる事で、自然と“彼ら”を良く知る澪とも次第に会わなくなってしまう。「ソルナ達に会えなくなっても、友達だよ」と彼女は言ってくれたが、彼女と私の仕事の時間帯が異なる事から、余計に会わなくなってしまうのであった。
ある日、いつものように私鉄を降りた私は、新宿駅の地下通路を通り抜けて地下鉄へと乗り換えの為に足を進める。そして、私の視界には、必ずといってよいほど、彼を初めて目にした場所が入ってくるのだ。
…いっそ、鍵だけでなく、“彼ら”との記憶も回収してくれればよかったのに…
そう思うと、朝っぱらから憂鬱になってしまう。
その場で立ち止まっている私の周囲では、四方八方より多くの人が往来を繰り返していた。
「でも、凹んでいても仕方ない…よね。……ヤド……」
私は、ポツリとその場で呟く。
「痛っ…!!」
そして、歩き出そうとした矢先に、反対側から歩いてきていたサラリーマンに肩をぶつけられる。
これは、人の行き来が激しいこの新宿駅では、よくある光景だ。しかし、それがかえって「立ち止まっていられない」と喝を入れてもらったようで、我に返る自分がいた。
そうだよ。もし、また何かちょっとしたきっかけで、ヤド達と関われる可能性だって、ゼロではないだろうし…!
自分を奮い立たせた私は、そのまま地下鉄駅へと足を踏み出していく。
“彼ら”――――――――人間には“アングラハイフ”と呼ばれる彼らは、視えないだけで、すぐ近くにいる。そして、何がきっかけで“彼ら”と関わりを持つことになるのかは、誰にもわからない。
私は、これから迎える自分の人生において、また再び“彼ら”と巡り合える事を祈りながら、日々を精一杯に生きていくのであった。
<完>
いかがでしたか。
ヤドと奏。相思相愛なのは良かったですが、それ以上発展しない関係というのも哀しいですよね。
この後、奏がどういう人生を歩んでいくまでは考えていないですが、「もしかしたらまた、ヤド達に巡り合う機会があるのではないか?」と続きを思わせるような形で終わらさせて戴きました。
実際は続編等は考えていないですが、「何がきっかけで物事が動き出すかわからない」という今作品のテーマに沿ったような形で幕引きとさせて戴きます。
途中で1年以上放置してしまう期間がありましたが、ここまでご一読いただきありがとうございました。
新作については、構想は少しあるのですが、プライベートで少し大事な時期に突入する予定もあるので、しばらく新作が書けるかは今の所はお約束できない状況です。
ただ、今後も過去作品の修正は可能な限り行う予定なので、今後とも皆麻兎の作品を宜しくお願い致します。
ご意見・ご感想があれば、宜しくお願い致します。




