第6話:うちのサンタが取り出しすぎる!
《 前回のあらすじ 》
ルドルフがすげえ体当たりをして、辺りが吹っ飛んだ
ズルリ……ズルリ……
影の中から、ノエルがクランプスを抱えたまま現れた。
二人とも煤と血にまみれ、息が荒い。
衝撃波から緊急避難していたのだ。
ルドルフが、角を震わせながら舌を出して喘ぐ。
「普通の生き物なら即死だろうけど……
そう簡単にはいかないよね……」
その言葉を合図にしたように、
ドゴオオオオオッ!!!
瓦礫の山が内側から爆発。
中心から、邪夢がゆっくりと這い出てきた。
視界はまだ真っ白。
だが、網膜が異様な速度で修復されていく。
「……見える……見えるぞ……」
最初に捉えたのは、ノエルの姿だった。
邪夢が右腕を振り上げると、虹色の炎が逆噴射する。
それは瞬時に凝縮され、巨大な炎の剣へと姿を変えた。
「──貴様からだ!!」
邪夢が大きくジャンプ!
巨大な刃が、空間を焼き切りながらノエルに振り下ろされる!
その瞬間──
ジャララララララッ!!
背後から黒い閃光が走った。
十本の鎖が蛇のように空を裂き、先端についた赤黒い鉤爪が邪夢の四肢と胴を貫く!
邪夢の巨体が止まった。
「──ッ!?」
振り返ると、そこに立っていたのは、クランプスだった。
銀髪は乱れ、右腕は力なく垂れている。
それでも、ルビーのような瞳は鋭く光る。
「……サンタを傷つけるなんて、許しませんわ」
掠れた声で、でもはっきりと。
「悪い子は……地獄に落ちなさい!!」
ガキィィィン!!
鎖が一斉に締め上げられ、肉が軋む!
「グアアアアアアアッ!!」
邪夢が炎の剣を振り回す。
あっという間に、触れた鎖が蒸発し、鉤爪が火花を散らして弾け飛ぶ。
だが、その数秒が命を分けた。
ノエルは全力で距離を取る。
邪夢の瞳が怒りに満ちている。
「……ブラックサンタ……また貴様かァッ!!」
殺意がクランプスだけに集中する。
邪夢の強烈な蹴りがクランプスの腹に深くめり込んだ。
「がっ……!」
クランプスは衝撃で大きく吹き飛び、口元を押さえてうずくまる。
銀髪が乱れ、肩で荒い息をつきながら、唇から一筋の血が伝った。
それでもルビーの瞳は、ノエルだけをしっかりと見据えていた。
クランプスは、ほとんど動けない。
指一本、震えるだけで精一杯。
でも、瞳だけは、ノエルが血相をかえてプレゼント袋を開ける様子を必死に追いかける。
血の泡が唇を伝い、
掠れた、掠れきった声が漏れた。
「………貴女は……
いつも……私を……イライラさせて……」
息が途切れる。
もう言葉を紡ぐ力すら残っていない。
「……でも……
……貴女は……
悪魔の私を……友達みたいに……」
涙が頬を伝った。
「……だから……嫌いじゃない……」
虹色の火球が、彼女だけを狙って次々に生成される。
「ゆっくり焦がしてやる!」
その瞬間。
ダダダダダダダダダダ!!
横から凄まじい弾幕が襲いかかった。
ノエルがM249を肩に担ぎ、フルオートでぶちまける!
「俺の親友に手ぇ出すなッ!!」
続けて三発の大型音響爆弾をぶち込む!
バアアン!! バアアン!! バアアン!!
衝撃波で邪夢がよろめいた隙に、
ノエルはクランプスの体を優しく、でも力強く抱き上げた。
「ようクランプス。調子どうよ?」
「……最悪ですわよ……貴女のせいで……」
血まみれの口元が、わずかに笑う。
「……でも、親友だから……仕方ありませんわね」
ノエルの目が一瞬揺れる。
「……違ぇよバカ。親友じゃなくて、相棒だ」
それは初めて言った、ノエルの本心だった。
「ルドルフ、邪夢が回復しないうちに、この灼熱地獄から逃げるぞ!」
「キミと意見が合うのは珍しいねノエル!」
ノエルはクランプスを抱えたまま跳び乗り、
「こいつは絶対に死なせねえ!
おらルドルフ、死んでも走れ!」
「死んだら走れないけどね、ッと!!」
シャンシャン!!
赤い長靴が金色に輝き、超音速ブーストが炸裂!
崩壊する地下ドームを一瞬で突き抜け、工場本館へと飛び出すノエルたち。
半ば崩壊した本館は、混乱の渦に飲み込まれていた。
──ここまで読んでくれた良い子たちへ。
お疲れ様だったな。
だが、まだ帰るなよ?
・次のエピソードは12月18日、20時に投稿予定だとよ。
クランプス、死ぬんじゃねえ!
・ブックマークしてない奴、手あげろ。
ホールドアップしろとは言ってねえ。
・活動報告も要チェックだ。
小話をアップしていくよう、作者を脅しといた。
本編が待てない良い子は、そっちも読め。
──ノエルより。




