第4話:うちのサンタが追いすぎる!
《 前回のあらすじ 》
ロボットが暴れ回るんで、笛を3回吹いて
クランプスをむりやり呼び出したぜ!
クランプス、通称ブラックサンタ。
サンタクロースの従者であり、悪い子にお仕置きするのが仕事の悪魔だ。
先代までのクランプスはヤギの頭をかぶり、血の滴るカギ爪。悪い子は袋に詰めて地獄へ連れていくというガチ仕様だったが、100年ほど前に娘が引き継いでからは見た目がソフトになり、必要な時にサンタが笛で呼ぶ、というシステムになった。
1回吹けばいいのに、ノエルはいつも3回吹いて、クランプスをイライラさせるのである。
「で、ご用件は?」
「もう用はねえよ」
ルドルフが慌てて補足。
「巨大ロボットに襲われて大ピンチ! きみに助けを求めたんだ。でもさすが、登場と同時に倒しちゃうなんて」
クランプスは壊れたロボットを一瞥し、不思議そうに首をかしげた。
「あれに苦戦? ノエルがですか?」
「うるせーな、武器の持ち込みが出来なかったんだよ。が、事情は変わったぜ。あそこにいるジジイが、クリスマスを会員制にするとかバカな計画を…あれ?」
気がつくと、ベイクの姿は忽然と消え去っていた。
ノエルの鋭い視線が、部屋の奥、半壊した壁の向こうに開いた隠し扉を発見する。
「逃げやがったな……あのジジイ!」
ノエルは舌打ちすると、クランプスの目の前で、笛をわざと3回吹いてみせた。
「用件できたぜ? やったなクランプス」
「本当イラつきますわね…こんど3回吹いたら、地獄送りにしますわよ?」
「OK。じゃあ次からは6回吹くようにするぜ」
通路は急な下り坂で、壁は厚い鉛と魔力遮断材に覆われている。
天井の赤い警報ランプが点滅し、けたたましいサイレンが鳴り響いていた。
5分ほど進むと、巨大な地下ドームに辿り着く。
直径五十メートル、高さ三十メートルの円形空間。
中央に、虹色に脈打つ巨大な円筒形タンクがそびえ立っていた。
「こいつは…魔力の貯蔵庫か?」
タンクの表面には無数の管が這い、妖精から搾り取った魔力が液体のように流れ込んでいる。
ベイクは、タンクの操作パネルの前に立ち、震える手でキーを叩いていた。
「とりあえず納品だ……早く……早くしないと!」
背後からノエルたちの足音がドカドカと近づいてきて、ギョッとして振り返る。
「ひいっ! 来るな! これ以上近づいたら……!」
「近づいたら、どういたしますの?もう逃げ場はありませんよ」
クランプスが、カギ爪をカチカチと鳴らして威嚇。
ベイクの額に汗がびっしょり。
「クリスマスを独占する野望も、ここまでか」
瞳が血走り、唇が震え、そして、狂ったような笑いが漏れ始めた。
「ふ……ふはは……ははは!!
まだだ! 諦めたらそこで野望終了だ!
私が何年もかけて貯め上げた、創造の魔力の全て、ここで使ってやるッ!!」
ベイクが、タンクの根元に埋め込まれた、
真紅に光る巨大なボタンを、両手で叩きつけると……ゴウゥゥゥゥン!
タンク全体が激しく震え、虹色の液体が逆流。
無数の管が破裂し、魔力の奔流がベイクの体に直接流れ込んでいく!
「ぐああああああ!!」
ベイクの体が浮き上がり、全身の皮膚が焼けるように赤く発光。
血管が浮き上がり、骨がバキバキと音を立てて変形し、筋肉が肥大化していく。
頭部が膨張し、口が裂け、牙が伸び、瞳が真紅の輝きを放ち始めた。
虹色の液体が全て吸収され、タンクが空になった後、残ったのは、一匹の怪物。
身長四・五メートル。
溶けた銅と鉄が混じったような、灼熱の筋肉。
全身から虹色の炎が噴き出す、異形の存在。
「ふぅ……ふぅ……どうだ、この溢れる魔力!
私はもうベイクではない……
私は、全てを焼き尽くす破壊の権化……
邪夢!!」
──ここまで読んでくれた良い子たちへ。
お疲れ様だったな。
だが、まだ帰るなよ?
・次のエピソードは12月14日、20時に投稿予定だとよ。
プレゼント袋を使う時がやってくるぜ!
・ブックマークしてない奴、手あげろ。
ホールドアップしろとは言ってねえ。
・活動報告も要チェックだ。
小話をアップしていくよう、作者を脅しといた。
本編が待てない良い子は、そっちも読め。
──ノエルより。




