第3話:うちのサンタが合理的すぎる!
《 前回のあらすじ 》
プレゼント奪取に行った工場が、
ヤバいくらいブラック企業だったぜ。
妖精たちから聞き出した、ベイクの私室の前。
普通の人間には聞こえない、かすかな声が扉の向こうから漏れている。
でも、サンタクロースの耳は、良い子たちの願いを聞き分ける特別な耳なのだ。
部屋の奥から、ベイクの声。電話をしているようだ。
「……お預かりしている虹色の宝石で、妖精たちから魔力は順調に搾取できています。かなりの量を納品できるかと。見返りにクリスマスをサブスク制にして、世界中の親に契約を結ばせるというお約束をお忘れなく……」
バキィッ!!
重厚な木製の扉が、派手に吹き飛んだ。
煙の中から現れたのは、グッタリしたルドルフと、その後ろ足を掴んで振り上げたノエルの勇姿。
トナカイをハンマー代わりにして扉を破壊。
最高に合理的だ。
「しっかり聞いたぜベイクッ!」
「ニコラウスの娘……! なぜここへ?
しかし、聞かれたのであれば仕方ありません!」
ベイクが胸ポケットから、小さな虹色の宝石を取り出し、頭上へと掲げる。
部屋の空気が一瞬で変わり、次の刹那、轟音と共に巨大な影が実体化した。
出現したのは、高さ5メートルを超えるロボット。
全体が古い玩具のような艶消しの銀色。
赤い単眼が光り、右腕はドリルアーム、左腕は四連装のガトリング砲になっている。
「グオオオオオッ!!」
ロボットが雄叫びを上げた瞬間、床全体が振動し、天井の蛍光灯が一斉に爆発!
赤い単眼がレーザーポインターのようにノエルの胸を照らし、ロックオン完了を示す電子音が鳴り響く!
ビービービー……ピーッ!
ロボットが右腕ドリルを爆速回転させ、灼熱のパンチを叩き込む!
ノエルは、とっさにルドルフの首を掴み、横に大きく跳んで回避。
だが着地地点を狙って、ガトリングが轟音と共に回転開始!
「ちっ、動きを先読みしてきやがる!」
次の瞬間、火薬の匂いが爆発し、徹甲弾が鉄の雨となって降り注ぐ!
ダダダダダダダダダダッ!!
壁をぶち抜き、鉄骨を薙ぎ倒し、跳弾が火花を撒き散らして部屋中を乱舞する。
ノエルはルドルフの大きな角を盾に、弾幕の隙間を疾走。
跳弾がルドルフの尻を焦がし、毛が焼ける臭いが立ち込める。
「熱い熱い熱い! ノエル、私を盾にするのやめて!!」
「うるせー! サンタを守るのもトナカイの役目だ!」
「素晴らしいでしょう? 妖精たちの魔力の源、キラメキパウダーの力は! 丸腰のあなた達に、勝ち目はない!」
「確かにそうだぜ…丸腰なら、な!」
ノエルは銃弾の雨をくぐりながら、胸元から銀色の笛を取り出した。
「ふはは、何ですかその笛は? 巨大ロボットを前にして、マグマ大使でも呼ぶつもりですか?」
ノエルは深く息を吸うと、笛を3回、思いっきり吹く!
次の瞬間──
ドガアアアアンッ!!
天井が吹き飛び、隕石でも直撃したような衝撃が空間を揺らす。
瓦礫と雪が降り注ぐ中、一つの黒い影が舞い降りた。
ロボットが即座に反応。
ドリルパンチが唸りを上げて突き出される!
が、
黒い影は空中で軽やかに身体を捻り、まるで舞うように回避。
右手に握られた銀色の四連カギ爪が、ギラリと輝いた。
「──邪魔ですわよっ!」
可憐で、しかし絶対的な声。
瞬間、四筋の銀閃が
ザシュッ!
ロボットが、まるで豆腐のように簡単に、4つに切断された。
次の瞬間、
ボカアアアアアン!!
大爆発をおこす。
破片が火花を散らしながら、部屋中に飛び散った。
煙が晴れると、そこに立っていたのは、
黒いモコモコのロングコートを纏った、銀髪の少女。
ルビーのような瞳、真珠のような肌。
頭には可愛らしいヤギのぬいぐるみキャップ。
腰まで伸びた銀髪が、雪のようにさらりと揺れている。
彼女は大きな袋を背負い直し、ノエルの前まで走り寄ると、ビシッと中指を立てた。
「ノエル、なんで貴女はいつも、嫌がらせのように呼び出すんですの!?」
「面白いからに決まってんだろ、クランプス」
ノエルは、息をきらしながら笑みを浮かべる。
──ここまで読んでくれた良い子たちへ。
お疲れ様だったな。
だが、まだ帰るなよ?
・次のエピソードは12月12日、20時に投稿予定だとよ。
ベイクの野郎を追い詰めるぜ!
・ブックマークしてない奴、手あげろ。
ホールドアップしろとは言ってねえ。
・活動報告も要チェックだ。
小話をアップしていくよう、作者を脅しといた。
本編が待てない良い子は、そっちも読め。
──ノエルより。




