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第29話:うちのサンタがくっつきすぎる!

《 前回のあらすじ 》

餅が怪獣になりやがった

ビーチはもう餅の海だった。

純白のモチラが50メートル級の巨体をゆったりと振り、砂浜をぺたぺたと踏みしめるたびに、柔らかい餅の破片が四方に飛び散る。

飛び散った餅はべちゃべちゃと張り付き、ヤシの木を白くコーティングし、プールをあんみつみたいに変える。

波打ち際まで餅が流れ込み、海が少し甘い匂いで満たされ、遠くのサンゴ礁までべっとりくっついている。

妖精たちは「わー!!」「可愛いー!!」と逃げ回りながらも、飛び散った欠片をキャッチして食べている。

「この部分きなこ味ー!」「あっちはあんこー!」「うわ、ここ納豆味ー!やばすぎ!!」と大騒ぎ。

ノエルはコルト・ガバメントを両手で構えて、砂浜に足を踏みしめ、引き金を絞る。

バンバンバン!

弾丸がモチラの体に飛んでいくが、柔らかい餅の表面に当たった瞬間、ぷちゅっと埋もれた。

モチラが歩くたびに飛び散る餅の破片が銃口にべったり張り付き、内部を詰まらせる。

銃を振って払おうとするが、詰まった餅がぬるぬる滑って指に絡みつき、銃全体が白くコーティングされていく!

「ちっ、銃が効かねえ…!

餅が飛び散るせいで、銃口が詰まる!」

クランプスが四連のカギ爪を閃かせて、舞うように飛びかかった。

爪がモチラの足元に斬りかかるが、柔らかい餅に突き刺さった瞬間、爪の先が餅に吸い付かれて重くなる。

まるで鉄球がついたみたいに爪がずっしり沈み、クランプスの動きが止まった。

「こ、これは……爪が重くなりすぎですわ……餅の吸い付きが強すぎて……」

振り回そうとするが、爪が餅の重さで地面に引きずられ、銀髪が砂に触れて甘い匂いが染みつく。

「うえ…髪が砂だらけですわ…最悪」

ルドルフが赤鼻を光らせ、トナカイブーストで突進!

金色の光が爆ぜ、超音速でモチラの体にぶつかる。

ドゴン!

角が餅にめり込み、ルドルフの半身が柔らかい体に埋没した。

埋まった部分の餅が体にくっつき、ルドルフの毛並みを白く染めていく。

「うわっ! 熱い! ノエル、助けてー!」

もがけばもがくほど、餅が体にくっついて増え、ルドルフの体が雪だるまのようになっていく。

激辛ハバネロ味の部分に当たったらしく、赤鼻がさらに赤くなって煙をあげた。

「辛っ!! 鼻から火が出るー!!」

モチラがゆったり首を振って、

「モチィィ……」

口から高温ぜんざいビームをゆるーく放射!

ビームは直線じゃなく、ぐにゃぐにゃ曲がりながら、ゆっくり飛んでくる。

ノエルが跳んで回避するが、裾がジュッと焦げ、甘い匂いが立ち上る。

「熱っ! 甘い匂いが鼻について集中できねえ!! しかもこのビーム、狙いがふにゃふにゃすぎて避けにくい!」


ゼクスが、ホテルのロビーで寛ぐ弁才天に話しかける。

「弁才天様、僕が行かなくても大丈夫ですか? あちら、結構ピンチみたいですけど」

弁才天がスマホ片手にニコニコしながら

「もし本当にピンチになったら、七福神全員で助けに入るわよ。

でもね、心配ご無用。

ノエルちゃんたち、過去に2回も私たちを助けてくれたんだよ?

動くお餅くらい余裕でしょ。

もっと派手に盛り上がってくれた方が、パーティーみたいで楽しいじゃない♡」

ゼクスが苦笑いしながら肩をすくめる。

「はは……ノエルさんたちの実績、すごいんですね。わかりました」


ミニ均衡神は、モチラの足元で飛び散った餅の破片を拾っては、口に入れている。

「きなこ味の部分じゃのう……うまい!」

満足げに頷き、激辛ハバネロ味の欠片を食べて、

「ふむ……辛いが、均衡が取れておる」

ノエルが舌打ち。

「ミニ神、お前も戦えよ! 食うばっかじゃねえか!」

ミニ均衡神が破片を頬張りながら、

「七福神がバカンス中には戦わぬのと同じよ。余は餅を食べる為に出てきたんじゃ。

人と同じ尺度で見られては困るぞ?」

「てめぇらの尺度がそもそも分からねえよ!」

そのとき、ノエルがテントの隅に転がっていた弁才天ブランドのハンマーを見つける。

金ピカのハンマーで、リボンが巻かれ、柄に「Benzaiten★Brand 鏡開き専用♡」と刻まれている。

ノエルがハンマーを拾い上げて、怪訝な顔で呟く。

「なんでこんな派手なハンマー置いてあんだ? 餅を叩いても、べちゃっと広がるだけだろ……」

ミニ均衡神が欠片を食いながら、ぽつりと呟く。

「鏡開きは、硬くなった餅を割る行事じゃぞ……」

ノエルがハッとする。

「……そうか! この柔らかい餅を……硬くして割るんだ!!」

ノエルがクランプスに叫ぶ。

「クランプス! プレゼント袋を武器庫に繋げろ!!」

クランプスが、プレゼント袋をガバッと開く。

影の触手が袋を包み込み、内部を切り替える。

「了解ですわ……ノエル、お使いなさいませ!」

袋の口からドサッと落ちてきたのは、極冷液体窒素スプレーの大型缶と、大型の水鉄砲を合体させたような巨大な改造武器。

缶のタンク部分に水鉄砲のトリガー&ノズルがガッチリ溶接され、銃身には金文字で刻印されている。

『Hasta la vista, baby(地獄で会おうぜガキンチョ)!!』

ノエルがそれを肩に担ぎ、ニヤリと笑う。

ノエルがそれを構えてニヤリ。

「俺の好きな映画に、液体窒素で敵を凍らせてから銃でぶち抜くシーンがあってよ。

あれ見て『かっけえ!! 凍った敵がバキバキ割れる音、最高じゃねえか!』っていつも思うんだよ。

いつかド派手に使ってやりてえと思ってストックしてたんだが……今日がその日だ!!」

ルドルフが餅まみれでぼやく。

「また映画の真似か…」

クランプスが、苦笑いしながら

「本当に…でも、合理的な戦法ですわ」

と呟いた。

(次章へ続く! 冷凍作戦でモチラをぶち抜く!?)

──ここまで読んでくれた良い子たちへ。


お疲れ様だったな。

だが、まだ帰るなよ?


・次のエピソードは1月16日、20時に投稿予定だとよ。

・ブックマークしてない奴、手あげろ。

 ホールドアップしろとは言ってねえ。


・活動報告も要チェックだ。

 小話をアップしていくよう、作者を脅しといた。

 本編が待てない良い子は、そっちも読め。


──ノエルより。


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