第20話:うちのサンタが甘すぎる!
《 前回のあらすじ 》
賽銭箱を爆破したら、ヤバいの出てきた
次の瞬間、零神が巨大な口をガバァァァ!!と開く。
ズオオオオオオオ!!!!
黒い吸引の渦が境内全体を覆い尽くした。
まるでブラックホールが降ってきたみたいに、
すべてが吸い込まれていく。
七福神の力も、参拝客が落とした小さな幸せも、雪の結晶すらも、ゴボゴボゴボッと音を立てて零神の口に消えていく。
恵比寿が鯛を握りしめたまま膝をつく。
「福が……全部……」
大黒天が米俵をポトンと落とす。
「米が……ただの石ころみたいだ……」
毘沙門天が槍を地面に突き刺して耐えるが、
「……力が……抜ける……!」
ついに膝をつき、七福神全員が地面にへたり込む。
目は虚ろ、表情が消え、まるで死体のようだ。
ルドルフも渦に巻き込まれ、
「燃え尽きたよ……真っ白に……」
と倒れ込んだ。
零神の巨体が地を震わせ、金と灰の禍々しい光が渦を巻く。
その存在だけで空気がねじ曲がり、
世界が「ゼロ」へと引きずり込まれていく。
ノエルはコルト・ガバメントを両手で構え、引き金を絞りきった。
バンバンバンバンバン!!
銃口から吐き出される弾丸が火花を散らし、零神の胸を貫くはずだった。
だが、金灰の光に触れた瞬間、弾丸はプシュッ……と音もなく蒸発した。
「くそっ! 効かねえ!」
クランプスが黒コートを翻し、四連カギ爪を閃かせて飛び込む。
「ノエル、お下がりになって!」
ズバァァァン!! 爪が零神の腕を薙いだ。
次の瞬間、サビサビサビッ!!と急速に腐食し、粉々に崩れ落ちる。
「地獄で鍛えたカギ爪が……!?」
零神は微動だにしない。
ただゆっくりと手を振り上げる。
それだけで絶望が確定した。
ノエルとクランプスは、静かに視線を合わせた、
外見も性格も正反対の二人だが、
背中を預けられる信頼は揺るぎなかった。
ノエルが銃を差し出す。
「完璧に仕上げてくれるよな? 相棒」
クランプスが優しく目を細める。
「当ててくださいませよ? ノエル」
影の触手が爆発的に伸び、ノエルの銃を完全にコーティング。
銃身が黒く膨張し、禍々しいまでに巨大化し、銃口が闇を孕んだ獣の咆哮を待つかのように蠢めく。
「──『ヘルズ・ガバメント』!!」
ドドドドドドドドド!!!!
黒い弾丸が嵐となって零神の全身を襲う。
影の力が込められた弾丸は空気を引き裂き、黒い軌跡を残して突き進んだ。
だが。
金と灰の光が一瞬だけ強く閃き、
黒い弾丸すべてがプシュプシュプシュ……と蒸発。
まるで最初から存在しなかったかのように、無に還元された。
ノエルとクランプスの顔が青ざめる。
地面がさらに震え、渦が二人に迫る。
絶望の重圧がのしかかり、息すら詰まる。
そのときだった。
クランプスが震える手でクッキー袋を握りしめ、泣きそうな顔で一枚取り出して口に放り込む。
ポリ……ポリ……
「……んっ……美味しい……」
ノエルが横目で二度見。
「おい、今クッキー食う場面かよ!?」
クランプス、涙目で。
「だって……これが最後の食事になるかもしれませんもの……」
ノエルがため息をついて手を差し出す。
「……俺にもよこせ」
クランプスが一枚渡す。
ノエルがガリッと齧る。
次の瞬間。
「うげえええ!!!!
甘すぎて死ぬ!! 脳がビリビリする!!
なんだこの常識はずれな甘さ!!!」
ノエルが思わずクッキーを吐き出した。
欠片が雪の上にポロポロ落ちる。
その瞬間。
零神の動きが一瞬、止まった。
巨体がガクン!と前のめりになり、金と灰の光がチカチカと乱れる。
ノエルの目が、キラリと光った。
「クランプス、今すぐプレゼント袋開けろ」
「武器庫に繋げますの?」
「ちげえよ! プレゼント保管庫に繋げ!!」
クランプスが、ハッとした表情。
プレゼント袋をガバッと開ける。
中から、クリスマスに世界を絶望させた、ヤバさ極めた凶悪ジンジャークッキーがゴロゴロゴロ!!と大量に噴き出した。
「ダメでもともと! 試してみようぜ!!」
二人が同時に叫ぶ。
「「食らえええええええ!!!」」
ジンジャークッキーを、弾幕のように発射!
零神に、ドカドカドカ!!と直撃する。
体が、ガチッ!と硬直した。
「処……理……不……能……」
零神の巨体がビクビクビクッ!!と痙攣し始めたかと思うと、
「ゲホゲホゲホッ!!」と、吸い取っていた福を大量に吐き出した。
雪の上に倒れていた七福神に、見る間に生気が戻っていく。
ノエルは、マフィアのような笑みを浮かべた。
「お前ら見たか?
こいつ、極端すぎる幸福も不幸も、食らうと一時的にダウンするぜ!」
均衡神が、目をキラキラさせて飛び跳ねる。
「そうか…情報過多!
奴は、余の力が暴走した存在。
常識を超えた『異常』が起きると、パニック状態になるのは、余と同じかっ!」
──ここまで読んでくれた良い子たちへ。
お疲れ様だったな。
だが、まだ帰るなよ?
・次のエピソードは1月7日、20時に投稿予定だとよ。
いっちょド派手にぶちかますぜ!
・ブックマークしてない奴、手あげろ。
ホールドアップしろとは言ってねえ。
・活動報告も要チェックだ。
小話をアップしていくよう、作者を脅しといた。
本編が待てない良い子は、そっちも読め。
──ノエルより。




