第2話:うちのサンタが直球すぎる!
《 前回のあらすじ 》
サンタ初のホームレス爆誕?
シャレにならねえ。
プレゼント用意しなきゃな!
──ニコラウスの家から100キロ北。
北極の果てにそびえる工場は、ロシアのワシリイ大聖堂を思わせる、カラフルなタマネギドームが乗った夢のような建物。
壁は赤・緑・白のキャンディストライプ。
チョコレート型の巨大な扉の前で、ノエルが乱暴なノックをする。
ゴンゴンゴン。
扉がゆっくり開き、白い髭を生やした年老いたエルフが現れた。
「ノエル様とルドルフ様ですね? 私、当工場の運営をしておりますベイクと申します。30年前にサンタ代行を引退してから、こちらに赴任させて頂いております」
「ノエルだ。さっそくプレゼント作りの現場へ案内した後に、とっとと消えろ」
「あはは……えーと、お忙しい中でお時間をとらせるのも悪いというノエルの心配りですので、殺害予告とかには取らないでくださいね」
ルドルフがフォローという名の油を、火に注ぐ。
ベイクは丁寧に工場を案内してくれた。
リボンかけの部屋では、エルフたちが鈴の音を響かせながら、器用にリボンを結ぶ。
梱包所では、プレゼントがベルトコンベアで流れるたび、キラキラした紙で包まれていく。
そして、一番奥の、七色の光で照らされた巨大な部屋へ。
「ここがプレゼント生産ライン。妖精たちが魔力で、おもちゃを生み出す場所です」
小さな妖精たちが、パタパタと羽をはためかせながら、部屋中央の巨大な虹色の宝石に触れている。
触れるたび、羽がキラキラと輝き、疲れきった顔でまた作業に戻っていく。
「当工場では10年前から虹の宝石を導入しています。
妖精のみんな、キラキラしてますかー?」
ベイクが声援を送ると、妖精たちは力なく笑顔を向け、
「笑う門にはハッピーカムカム!」と返事。
でも、その目はどこか虚ろだった。
実演が始まった。
妖精たちが羽を大きく広げると、光が集まり、ポン、ポン、と軽快な音がして、飛行機や積み木、お人形が実体化する。
作り終えると羽は輝きを失い、妖精たちはふらふらと宝石まで戻っていく。
まるで電池切れのように。
「これで主要な施設はご案内しました。勉強になりましたか?」
ベイクがにこやかに微笑む。
ノエルは、くすりと笑って、
「ありがとよ。ちなみに、死に方の好みはあるか?」
ルドルフが慌ててフォロー。
「つまり、ノエルは……か、過労死を心配しているんです! 命があるうちに、どうぞ自室でご休憩を!」
「そうですか? まあ、ニコラウス様の娘様なら、工場でいたずらをされる心配もありませんし。あとはどうぞごゆっくり」
ベイクは丁寧におじぎして去っていった。
「……さぁて、邪魔者は消えたぜ。
準備はいいか? ルドルフ」
「山賊のような目つきはやめて……って、あれ?」
ルドルフが指さす先。
妖精が、ふらふらと歩き、突然倒れる。
「ぎゃあ! ねえノエル、殺したら大問題になるって、私言ったよね!?」
「何でも俺のせいにするなよ被害妄想トナカイ!
……おい、チビ。生きてるか?」
ノエルが駆け寄ると、妖精は弱々しく目を開け、
「うう……力が出ないよ。魔力が足りない……」
「腹減ってるのか? あいにく今はトナカイの肉くらいしか……」
「私は食用じゃないからね!? 怖いからそういうの本当にやめて!」
他の妖精たちも心配そうに集まってきた。
よく見れば、みんな顔色が悪く、目は落ちくぼんでいる。
一人の妖精が、力なく呟く。
「私たち、魔力の粉、キラメキパウダーを栄養にしてるんだ。
昔はプレゼント作ると頭上からキラキラ降ってきたのに、虹色の宝石が来てからは全然……。
契約で縛られてるから逃げられないし……」
ノエルは、ぷうっと頬を膨らませた。
「話が長すぎてあくびが出るぜ。15文字以内で要件まとめろ」
妖精は涙目で、
「ブラック企業のせいで死にかけ」
ノエルの目が、キラリと光った。
「よっしゃ!
正義の名のもとにベイクを始末し、作られたプレゼントを奪……もとい、チビどもを解放するぜ!」
──ここまで読んでくれた良い子たちへ。
お疲れ様だったな。
だが、まだ帰るなよ?
・次のエピソードは12月10日、20時に投稿予定だとよ。
クランプスの笛、いよいよ使うぜ!
・ブックマークしてない奴、手あげろ。
ホールドアップしろとは言ってねえ。
・活動報告も要チェックだ。
小話をアップしていくよう、作者を脅しといた。
本編が待てない良い子は、そっちも読め。
──ノエルより。




