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三人桜  作者: 薙月 桜華
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第二話  昼休みのこれから

   第二話  昼休みのこれから

    


 入学式が終われば次は始業式。今度は既に学校にいる先輩方と一緒に校長先生がたの話を聴くわけだ。その後は対面式。対面式と言うのは新入生と在校生のご挨拶と言ったところである。

 式と呼ばれる行事をこなしてやっと授業が開始される。授業といっても最初は中学の授業を少し高度にしたようなものだ。新しい点といえば書道が授業にある点。書道なんて冬休みか夏休みの宿題ぐらいしか書いたことが無い。

 授業ばかりの日々の中で楽しみを見つけるのは容易ではない。

「飛鳥。購買行こうよ。」

 紗綾の声で飛鳥と遥が向かうのは昼限定の購買。彼女たちの高校には常時開いている購買なんていうものは存在しない。なので、毎日近くの業者が売りに来るのだ。中身は良くあるパン類、ペットボトルの飲み物やデザート類。デザート類に関しては近くの男子校には無いようだ。男子にスイーツは想像も難しい。おっさん高校生がデザート片手に至福の時。そんな想像をすれば背中に悪寒を感じてしまう。いや、それもありかもしれない。

「おばさん。これとこれ頂戴。」

 紗綾がパンの山から二つ選んで買っている。遥も買っているようだ。飛鳥自身はお弁当があるのでデザートだけにする。

 デザートはカップ入ったケーキから和菓子まである。しかも種類が色々あってどれも食べてみたくなる。甘い匂いが漂ってきそうだ。喉から手が出るのなら出してみたい。

「私もデザート。糖分は大切だよね。」

 一足先に昼食のパンを買い終えた紗綾は飛鳥の隣に来てデザートを見ている。片手には先程買ったパン類。多めなので今日はパンだけで済ますようだ。

「何がいいかな。」

 飛鳥と紗綾がデザートの前で悩んでいると。

「これください。」

 遥が先にデザートを買ってしまった。遥は飲み物とデザートを買ったようだ。飛鳥は遥が昼食をパンで済ますのは想像したくないと思った。

「デザートに悩んでも仕方がないですよ。食べたことが無いか美味しかったものを選ぶしかないです。」

 遥の言葉で二人はそれぞれやっと選び終えてデザートを買う。

 飛鳥、紗綾と遥は他人の机を寄せて三人で昼食を食べ始める。

「ねぇ、飛鳥と遥は部活動は何かやるの。私は陸上部入ろうと思うんだ。中学からやってるから。」

 紗綾はパン類を平らげデザートへ手を伸ばしながら言う。飛鳥は紗綾の自己紹介を思い出す。そういえば走っていることが好きらしい。そうか、運動部なのか。そこで、遥が口を開いた。

「そうですね。ただ何もせずに帰るのも面白みが無いですし……。」

 遥は何か考えているようでしばしの沈黙。

「私は茶道部とか入ってみようかなって思います。」

 飛鳥は茶道部でお茶をたてている遥を想像し、その違和感の無さに感嘆する。なんて様になっているんだろう。

「飛鳥も何かやらないの。」

 ここまでくると飛鳥だけが部活動に入らないことになる。部活動をするか帰宅部として勉強と遊びの中に三年を過ごすか。飛鳥にとっては重要な問題だ。

 飛鳥はお弁当の蓋を閉じてデザートの蓋を開けた。プリンの上にホイップが載ったタイプのデザート。一緒にもらったスプーンをプリンに突き刺す。

「私は入ってみたいけど。どんな部活動があるか知らないから決められないよ。」

 飛鳥はプリンを一口ほおばると紗綾と遥を見た。

「どんな部活動があるの。」

 飛鳥の発言に二人とも驚きと呆れの混じった表情で彼女を見る。入学式から今現在も各部の勧誘が行われている。勧誘は主に昇降口。気が付かないはずが無い。

「あんたの頭。無関心なことは見事に素通りするのね。」

 飛鳥は関心が無かったんだから仕方がないと反論する。その二人の間に分けいるように遥が入ってきた。

「はい、これが舞女の部活動一覧です。興味のある部ってありますか。」

 遥が渡した紙には手書きで部活動の名前が書いてあった。飛鳥が一覧を見ようとしたとき、紗綾が一覧表を取り上げる。

「遥すごいじゃん。一覧にしてみると意外と数あるんだね。」

 飛鳥は無言で一覧表を取り返し、片っ端から名前を確認していった。運動部の中でふと見覚えのある名前を見つけた。弓道部だ。彼女は中学生の頃は弓道をやっていた。再び高校でも弓道をやってみようと思ったがやっぱりやめた。三年間もやったのだから別の事がしたい。再び一覧を見ていく。運動部の欄を終えて文化部の欄に入る。ふと、彼女はある名前に視線が釘付けになる。

「文芸部……。」

 飛鳥は思う。文芸というと彼女は小説を思う。彼女は中学の時に少し物語を書いていた。すぐに止めてしまったけど、自分で物語を作る面白さを知っている。それがここでまた出来るかもしれない。

「文芸部がなんか良さそう。放課後ちょっと見てみる。」

 そこで紗綾が部活動一覧表を飛鳥から取り上げて目を通す。

「文芸部ねえ。二人とも文化部で私だけ運動部なのね。まあ、それ以上に気になる部があるんだけど。」

 紗綾は一覧表を飛鳥と遥に見せた。

「アニメ部って何するんだろうね。二人とも知ってる。」

 紗綾の問に飛鳥も遥も答えられなかった。実際のところアニメ部って何をするんだろうか。

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