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7-12

 それからなんやかんやあって僕達は恩賞をもらえることになった。回想。



 ▫



「お主おずわるど・えばんずの娘じゃろう」


「!はい!」


「よく似ておる」


 この城の主は殿様と言うらしい。僕達は事情聴取を受けていたのだが、殿様の母親らしき女性がアンジーの話を聞いたらしく、ここまで見に来てそう言ったのだった。


 ……なるほど?リアンの父親と知り合いなのか。


「それで僕達の処遇は……」


「お咎目なしじゃな。あるふれっどについては殿が心酔しておっただけでワシも疑っていたからのう」


「ははあ」


 詳しく聞くと、殿様が重役に置いたものの、アルフレッドの近くでは不審死が多く、この件が無くともそのうち調査されるところだったらしい。


「むしろ恩賞を与えねばな」


「1つ聞きたいことがあるのですが、いいですか?」


「なんじゃ?」


「見たところ貴女は人間では無いようですが」


 獣の耳が頭から生えている。おそらく狐だが、狐の獣人というわけではなさそうだ。ふふふ。妖狐というやつだな?この国に来る前に予習で色々見てきたのだ。


 と、いうことはつまりこの妖狐を母親に持つあの殿様はハーフ妖狐……。


「なにか勘違いしているようじゃが、ワシは殿の高祖母じゃ。ワシの血が入って以来、一族から鬼は出ておらなんだぞ」


 そう、目の前の妖狐は呆れた顔で言った。ハーフじゃないと釘を刺されてしまったな。どうやら僕のことをよく分かっているらしい。



 ▫



 回想終わり。


「恩賞……好きに選んで良いって言われたけどどうしましょうかねぇ」


 すっかり警戒を解いたアンジーがそう言った。アンジーの父親はこの国にも来たことがあるとは。


「そうだ、レイ。体調はどう?大丈夫?虚飾の魔王に乗っ取られたりしていない?」


 解析で見るが今の所大丈夫そうだ。

 おそらくだが、祝福は虚飾の魔王が自身を復活させるために撒いた代償だ。本当の自分に戻してやるから身体を寄越せというまるで釣り合っていない呪いだが……魔王レベルなら押し通せるのかもしれない。


 今回は復活の依代にアルが使われたらしい。……僕はアルが異次元から来た人間の魂と混ざり合っていることをなんとなく知っていた。僕は混ざり物には一家言ある。

 異次元からの魂はこの世の理にあらず、だから予言を妨害することもできたんだろうし、悪魔との契約が実行されることもない。だからこそ復活する身体にアルを選ばないと、思っていたんだけどな。おかげで契約不履行でバグって主導権奪われてるし。


 一応解析でレイを見るが虚飾の魔王の痕跡は見えない。祝福もない。

 もしかしてこのためにアルは自身の身体で虚飾の魔王を復活させた?いやそんなまさか。


「もちろん大丈夫です。何もありません。そのためにアルフレッドさんを殺さなかったんでしょう?」


「そうだね」


 そりゃあそうだ。

 アルフレッドの身柄をこちらで確保できないのは気にかかるが、郷に従い考えないこととする。


「……予言ってなんですか」


「ん?ああ」


 そういえばアルが言及していたのを聞いていたな。気になるのも当然だ。


「レイが東の……つまりこの辺りかな?で、世界に混乱を巻き起こす災厄を倒すっていう予言だね」


「なんで教えてくれなかったんですか?」


「深い意味は無いよ。予言はどうせ変えられないからいつ言ってもいっしょかなと思って」


 結果的にアルによって予言は変えられていたみたいだけどね。アルも虚飾の魔王に1時なっていたわけだが、世界の災厄というほどではなかった気がする。どういう経緯になったらレイが魔王を倒すことになるのだろうか。とりあえず僕達は失敗するのだろうな。


「なるほど。じゃあしょうがないですね。……とでも言うと思いましたか?大事なことは!早く教えてください!」


「う、ごめん」


「いいですよ。……はい!これで終わりです」


 レイが手を叩いて晴れやかな顔をした。どうやら許してくれたらしい。良かった。


「恩賞の内容でも考えましょう」


「そうだねぇ。当然お金は貰うとして……観光でもお願いしてみる?」


「いいですね」



 ▫



 僕達はお金を無事受け取り、観光するにあたっての案内人もつけてくれることになった。


「私は前お話した通り馬を」


 アンジーが言う。新しい馬が欲しいということだった。僕達が観光する際に乗せてくれるらしい。


「もちろん用意しておる」


 殿様はいない。療養中らしい。信じていた人間に裏切られ、洗脳までされていたのだからさもありなん。


 ……たかし!?

 連れてこられた馬を見て、あまりにもたかしに似ていたので思わず声をあげかける。


「良き馬じゃろう?お主の父に渡した馬の甥じゃ」


 そして僕達はたかしの甥のひろしに馬車を引いてもらい、日の本を観光したのだった。

 もちろん鬼の解剖はして、それで当初の予定通りに貢献もできたのだった。

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