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4-2

「なるほどなるほど」


 マモンの映像が映る。

 体をよこせと要求しているようだ。僕に体なんてないから無駄な話だね。向こうも僕の体はお断りらしい。理由は分からないが。


「あれ?じゃあ君いらない子?」


 鳥籠の中の目玉が静止した。


「しかし何故僕のところに来たのかは謎のままだね」


「トリ様。さっき映っていたエリザベートさんの頭上にも目ん玉が浮いていましたよ。他の枢機卿?の方たちにはありませんでした」


「ほう。僕とリズの共通点。やはり魔王討伐かな」


 とすると、他の魔王討伐パーティの面々にもくっついていそうだ。

 連絡を取りたいところだが、生憎どこにいるかすら分からない者もいる。

 僕が分かるのは今映ったリズ、アメリカにしばらく残るらしいマイク、フランクにいるゼン、ベルギーで牢屋にいるジーン、あと獣王国で女王をやっているティフくらいか。


 ティフは遠征にもよく行っているようだから今は別の場所にいる可能性が高い。


 アビィとアルに関しては生きているのかすら分からない。


 ギルドからの依頼を無視している以上リズのところには行きにくい。マイクもアメリカ旅行中だからすぐには会えないだろうし、ジーンは会うための手続きが結構面倒だ。

 とりあえずゼンに会いにいくか。


「レイ待っててね。すぐ帰って来るから」



 ▫



 鳥籠を持ちながら僕はゼンのいる王城に移動した。

 僕の家の中では分かりにくいが今はどうやら夜だったらしい。人気が少ない。


 とするとゼンがいるのは寝室だろうか。どこにあるのだろう。

 僕はリズじゃないから専門外のことなんて分からないぞ。


 散策していく。思ったより体力を消耗している。途中で力尽きるかもしれない。


「君、仲間がどこにいるとか分からないのかい」


 鳥籠に話しかける。

 目をそらされた。僕が何をしようとしているのか気づかれたのかもしれない。


「仕方ないな……“鏡”」


 すやすやと眠っているゼンを見つけた。ここにむかえばいいわけだ。歩いていく。



 ▫



「……え、なん……セディス……どうしてここにいるんだ?というか右手から血が出てないか?」


「ああ、起こしてしまったかな?」


 ゼンの上を漂っていた目玉を右手で握り潰したのだった。僕の目で見たところそれも“マモンの目”だった。ゼンにも着いていたとなると仮定は正しかったということである。


「おいセディス、窓から何かが来るぞ」


「へ」


 ものすごい速さで飛んで来た何かによって僕の体は真っ二つになった。


「あー」


 完全に油断していた。斥候の名折れである。


「な……」


「大丈夫大丈夫。これくらいじゃなんともないよ」


 昔とは違い、あからさまにうろたえるゼンを小声でなだめ、すっかり元に戻った胴を見ながら立ち上がる。


「君は……バンパイアかな」


 それも真祖。真祖?どこかで見覚えがある気がする。

 僕を倒せていないと気づいていないのかゼンの方に向いた。隙だらけだ。


「まあいいか」


 僕の宝物庫……でもないところからなんの変哲もない木の杭を取り出す。


 助走をつけて僕が立ち上がったとまだ知らず、背中を向けているバンパイアに向かって勢いよく杭を叩きつける。

 上手いこと心臓と床に刺さって縫い止めることができた。


「あとはよろしく……」


 さすがにもう眠い。



 ▫



「トリ様」


 目を開けると、目の覚めるような美少年がいた。……片目が機械だ。レイか。……ん?


「あれ、なんでここにいるの?」


「俺が呼んだんだ」


「一応2年前に連絡先を交換していまして……」


「さすがレイ。しかしどうやってここまで来たんだい?」


 僕はどのくらい寝ていたのだろうか。


「徒歩で来ました!」


「……は?」


 ここ2年ですっかり人間らしく……悪魔らしく?なったらしいゼンがなんの冗談だとでも言いたそうな顔をした。


「僕は何日寝ていたんだい?レイなら5日もあれば来れると思うよ」


「徒歩で?」


「徒歩で」


「お前の息子はいったいどうなってるんだ……」


「息子じゃないよ!?」


 僕が抗議するように声をあげるとゼンはニンマリと口角を上げた。どうやらからかわれたらしい。


「俺は3日でここまで来ましたよ!2年前くらいなら5日かかっていたかもしれませんが。連絡が来たのが遅くなければトリ様が寝ていたのは3日です」


「そういうことだ。お前が寝ていたのは3日間で、お前が杭でつなぎとめたそれも床に放置されたままだ、ほら」


 見ると確かにそのままだ。バンパイアは一応気を失ったままなのか動く様子はない。


「ということはここはゼンの寝室かな?客室とか……ないの?」


「あるが」


「あるんだ……」


「お前はデカいから運ぶのが大変なんだ。だから俺が客室で泊まった」


「いや君バリバリ戦闘員じゃないか。大きくて長い槍をあんなにぶん回していたよね?僕くらい運べたんじゃないかなぁ?」


「まあ……うん。ちょっと高級な客室を使いたくなかったと言えば嘘になるかもな……」


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