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2-13

「マイク」


 が地下牢にいた。

 マイクはガタイがいいので、すごく狭そうに見える。


「俺が言ったことだが本当にいるとはな……」


「はあ、で捕まってる可哀想で不憫なオレになんの用……ってリーザとセディス!?」


「無様ね……」


「やあ、久しぶりだね」


 驚くマイクに対し、リズは僕と同じことでも思ったのか、憐れむように言う。

 僕は久々の元仲間との再会ということで、億劫ながらも片手をあげてにこやかに挨拶をした。


「ゼンはまあ1回見てるからいいとして、セディスは車椅子だしリーザも股になんか入れt」


「コイツを今から処刑しなさい」


 リーザは魔法による拘束具でマイクの顔を塞ごうとした。

 マイクはそれを避け、さすがに慌てた素振りをする。


「ま、待て待て。オレにもかかってんだよ、呪い?ってやつ。まあオマエらより軽度だけど。場所が遠かったからかもしれねえ」


「は?7つの原罪なら他にかかる人間なんていないはず」


「……『憂鬱』」


 目で確認した。

 憂鬱の祝福、らしい。


「……。憂鬱と虚飾も原罪に入れる場合はあったかもしれないわね」


 面倒くさそうな顔をしながらリズが言う。

 そういうことらしい。予想が外れるなんて誰しもよくあることだ。


「憂鬱という感じには見えないが」


 ゼンがそう言った。

 確かにそうだ。前と変わらず、気さくで明るいマイクのままに見える。


「さあな。オレも憂鬱だって今知った。でも昔とは明らかに違う。オレはオマエらのこと見捨てても何も思わなかったのに。ああ、オレは今すごく人間になった気分だぜ」


「僕とはまるで逆だな。分けてほしいくらいだよ」


 そう言いながら、祝福の法則というものがだいたい分かってきている僕だった。

 祝福とは名の通り、本当に祝福だったらしい。

 僕の加護のようなものか。


 ……僕は、元に戻りたいと強く願っているし、思考なんて本来したくないし、人間に合わせるのだって面倒で仕方がない。

 しかし、僕はそれを60年近く続けてきたのだ。それを否定されたような心持ちがして、少しだけ苛立ちを感じた。


「それでだね、マイク。君は巨人に結構詳しかったように記憶している」


「まあ。オレは北欧から来ていたしな」


「君が巨人を持ち込んだんじゃないか?」


「へ?」


「いや……場所が悪いのか巨人のイデアを反射して大惨事になっているんだ」


「は???」


「待ってセディス。マイクは私じゃないのよ。そもそも理解できていないわ」


 そこでやっとマイクの顔を見る。

 形容しがたい表情をしていた。

 確かにこれは伝わっていなさそうだ。そうか、最近は物分りの良い人としか話していなかったから忘れていたけど、対話は人に合わせることも必要だったな。忘れていたのも怠惰の効果だろうか。


「うーん」


「……いったいなんの話だ?」


 ゼンも神妙な顔で聞いてくる。


「皆移動させていい?」


「意味があるかは知らないけど私が許可しておくわ」



 ▫



「ということで、あれです」


「おおー……ああ?うん?」


「なにか分かったかい?」


「え?……いやあ、どうかな。でもうん、俺にくっついて来たのかもしれんわ。ちょっと交渉してくる」



 ▫



「マイク、アイツ何者なのよ」


「僕の目では巨人族ってことしか分からないなぁ」


 誰かの親族とかそういうこともわかったらいいのだが、そうもいかない。


「巨人?え?」


「それにしては小さいが」


「ははは。それを言ったら僕も本来はもっと大きいんだぞ?いくらでもやりようはあるさ」


 僕はそういう種族だから……ということだが、北欧の巨人は魔法だろうか。詳しくはないけど、ルーン魔術と言ったような。万能な魔法だと、昔聞いたような気がする。


「おーい!オレといっしょなら着いてきてくれるって!」


「おおー!さすがマイク」


「なんか……思ったよりあっさり解決した……?」



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