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「新生委員長のアサヒです、よろしくみんなー」

「よっ、アサヒさんかわいー!」

「合いの手いらないから。それでは今日は迫りくる天高祭のためのホームルーム始めますよー」

あれから数日経ってユウとさゆさんもコミュニティに慣れてきた頃。

来る十一月一日火曜日から始まるこの学校の文化祭、『天高祭』の出し物について話し合うためのLTの時間だった。


「なんと!実はうちらのクラスなんでかよくわかんないけどたまたま今年の三年がどこも舞台使わないとのことで舞台の使用許可とかもらっちゃいました!どう?いっちょみんなで学校中をあっと言わせるような

演劇をやってみない!?」

『おぉおおおおお!』

立ち上がってみんなで腕を掲げる。

ノリがよすぎる皆さんだった。

げんなりとしたユウとさゆさんがジト目をクラスメイトに向けていたが。


「若干二名乗り気じゃないみたいだけど他のみんなはやる気満々みたいだから決定ねー」

「少数派の意見はそうやって押しつぶされていく・・・・・・」

さゆさんがため息混じりにこぼした。

ユウは肩をすくめて苦笑い。

最近ではというかさゆさんと仲良くなってからのユウはあまり目立ちたがらないようになっていたためこういうのもあまり嬉しくはないようだ。


「演目についてなんだけど意見がある人はいる?」

そうみんなに聞きつつアサヒは何かを板書している。

何か案でもあるのだろうか。

「意見がないようならわたしとしてはこれをやりたいんだけど」

そしてそこに書かれたものを見てユウとさゆさんは少し息を呑む。


『ナルシスとエコー』


いつかさゆさんが照れ隠しに話していたギリシャ神話の物語。

二人は顔を見合わせてアサヒに目をやった。


「誰か別の意見はある?」

「それどんな話?」

「ギリシャ神話だっけそれ」

クラスメイトから口々の反応。

しかし反論の様子はなく、エコーの悲しい恋の話はみんなに好感を得たようだった。

「じゃあ決定ねー」

そして黒板にきれいな花丸を描くアサヒ。

なんだかすごく楽しそうな笑顔。

そしてそれとは逆に苦々しげなさゆさん。


「いいの?決まっちゃうよ?」

「別の意見なんてないししょうがない。どうせ主役にはならないからいい」

「そっか。さゆさんがそれでいいならいいんだけど」

「ユウはきっとナルシスに選ばれるよ」

「あはは、やっぱそうなるのか」

「エコーが誰になるのか」

「ぼくとしてはナルシスにもエコーにもならないつもりなんだけど」

叶わない恋なんて、そんな辛い終わりで納得したくないし。

それに、さゆさんにあんな顔をさせる物語には乗り気になれない。


「さて、配役だけどあみだくじがいいかなーと思うんだけどどう?」

「異論なーし」

うんうんというみんなのうなずき。

ユウとさゆさんも安心したようにうなずいていた。

それなら二人が選ばれる可能性も低いだろう。


「じゃ、今からくじ作るから待っててー」

しかし前日に選ばれた新生委員長だったがしっかりと取りまとめられているようでアサヒはすごいなぁとユウは感心していた。

自分がなりたいとは思わないけど。


「しかし舞台かぁ。あんまり昇りたくないねぇ」

「何もしゃべらない役がいい」

「さすがにそれはないと思うけど」

「そもそも全員出れるほどキャラクターいない」

「ニンフ増やせばいいんじゃない?」

「あぁ・・・・・・」

出ない役になりたかったのかものすごく落ち込んでいる。

そんなに嫌だったのか、とユウは苦笑い。









そしてクラス全員で選んだあみだくじの結果。









「ナルシス、九音 さゆさ! エコー、筬那 ユウ!」

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