電脳世界に帰り道なんて無いんだよ?
VR……バーチャルリアリティ世界をガチで考察したら、ホラーになった。
電脳世界に意識を飛ばしてダイブする。
そういった作品は数あるし、実現されるのも時間の問題だろう。
だかしかし、実現したらしたで問題しか無いと思われる。
まず、電脳世界に意識を飛ばす。
これ自体はさほど難しく無い。意識とは即ち脳内シナプスの電気信号にすぎない訳だから、電極を指すなりしてモニタリングすれば、記憶、人格、思考パターンなどそっくりそのままデジタル化して、AIのように電脳世界にインストールすることが可能なはずだ。
ただし、十中八九発狂する。
なぜなら、意識だけ電脳世界にいくなら、五感はもとより身体的なフィードバックがOになるわけで、何も見えない、何も聞こえない、何も感じない、動けないどころか身体の感覚が無い。
そんな状態に放り出される訳だから、発狂しないはずがない。
ならば、電脳世界ようの身体のとしてのいわゆるアバターを用意すれば良いと、考えたが……。
不随事後からのリハビリ過程を知ってると、そのアバターとリンクするまでが超大変だろうし、そもそもアバターを用意するだけでは足りず、そのアバターを存在させるフィールドを用意する必要がある。
よくあるアバターのカスタマイズなんてもってのほかだろう。ほんの僅かな違いでさえ違和感となるのだかな、猫耳生やしたり四本腕にしたりしても、まともに対応できるとは思えない。
アバターを用意するならば、本人と全く同じ物を用意するしかないだろうが、脳内だけスキャンするのと、全身をスキャンするのでは難易度が違いすぎるため、現実的じゃなくなる。
これらを解決するには、もう一つの方法をとるしか無い。
それは、電極などで脳内をモニタリングするまでは同じだが、違うのはコピーしないということ。
つまり、AI化するのではなく、あくまでも脳内の信号をスキャンして、同時に五感的なデジタルデータを脳内送り込み、ある種の幻覚を見せると言った手法だが、本人の自認としては電脳世界にダイブしたのと同じになるので、これはこれで有用な方法と思われる。
これならアバターを用意するまでもないし、五感の情報もある程度それらしいデータを作れば、現実同様、脳内で補完されるので、作成難易度も高くはないだろう。もっともクオリア問題があるので、そこをどうクリアするかが難しさそうだが……。
いずれにせよ、生身の身体のからのフィードバックがノイズになるため、それらをシャットダウンする必要があり……生命維持装置との併用が不可欠となるのが悩ましい。
技術が進めば、睡眠中の夢的な感覚でダイブできるようになる可能性もあるので、今のところこれが1番現実的的なVRの実現方法となるだろう。
ただ問題は、いずれの場合にせよ。個人の意識。
つまり記憶や人格、思考パターンなどをすべて『デジタル』化出来てしまうことに問題がある。
デジタルデータである以上、コピーは出来て当たり前なので、同じ人間が無数に存在できるようになってしまうのが、大問題と言えよう。
どこでもドアとか、スワンプマンとか、テセウスの船など、同一性をどこまで許容するか意見が別れるだろう。
最大の問題は、これまでただの思考実験でしかなかったコピー人間の存在が、今まさに現実になろうとしていることだ。
一度技術が確立してしまえば後戻りはできない。
帰り道なんて存在しない。
タイムマシンを使っても、宇宙空間に放り出されるだけなのが現実なんですから……。
VRMMOとか、面白そうなんだけど実現したらヤヴァイよねって話です。