6話 週末に妹たちと合宿①
ゴールデンウィークが終わり、ダルさが残ってる頃
「悪いなみんな。急に呼び出して」
「それはいいけど、どうかしたんですか?」
「合宿をしよう」
「合宿?」
「ああ」
「なんで、合宿?」
「グループなんだから、もっとお互いのことを知っておくべきだと思うんだ」
「とこでやるの?」
「山奥だな」
「えー、虫いるじゃん」
「虫くらい別にいいだろ」
「………」
「とりあえず合宿な」
「野宿では無いよね……?」
「ああ。知り合いの別荘に泊まるぞ。俺だってアイドルやってる女子高生達に山奥で野宿しろなんて、鬼畜なことは言わないさ」
「でも、合宿って何やるの?」
「まだ特に決めてないが、朝から晩まで色々やると言う事だ。合宿をするメリットは練習にしろなんにしろ一日中出来ると言う所なんだ」
「一日中練習とかはしないよね……?」
「わからん」
「えぇ……」
◇
「着いたな」
「おおー!いいね!」
「どうだ?楽しみになってきただろ?」
「うん!」
「そうだ。合宿って事は泊まるんですよね?」
「ああ。そうだな」
「ご飯とか、どうするんですか?」
「みんなで作ればいいだろ?葉月は料理得意だって、大幹から聞いたぞ」
「私が作るんですか?」
「別に俺も手伝うし、華や凛も料理得意らしいから。まあ、分担だな」
「材料とかは?」
「一通り揃ってるらしい」
「へー、凄いね」
「とりあえず、荷物置いて部屋決めするぞ」
「はーい」
「部屋は三部屋ある訳だが、俺は一人で寝るとして、皆どうする?」
「残りが二部屋だから、二人ずつって事だね。どうする?」
「グッパで決める?」
「グッパって何?」
「いっせいにグーかパーを出してペア決めるの」
「それでいいんじゃない?」
「そうだね」
「じゃあ、私と零奈で、葉月と凛ね」
「決まったか?」
「はい」
「じゃあまずは、走るか」
「えー」
「別に走るくらいいいだろ」
「むぅー……」
「ほら、行くぞ。俺も一緒に走ってやるから」
「優さんって、たまに優しいですよね」
「たまにじゃなくて、いつもな」
「ねえ、優くん。これいつまで走るの?」
「なんでだ?」
「疲れた……」
「まだ十分くらいしか走ってないだろ?」
「そうだけど……」
「そう言えば、最近他のメンバーと結構普通に話してるよな」
「そう?」
「ああ。そんな感じするけど」
「じゃあ、気をつけないと」
「別に気にされてないし良いんじゃないか?」
「そうかな?」
「ああ」
「あのー、もう疲れたんですけどー」
「私も」
「しょうがないな。一旦休憩にするか」
「休憩じゃなくて、走りはもういいですよ〜」
「そろそろ、お昼ご飯でも食べましょうよ〜」
「十一時か。じゃあ、そうするか」
◇
「で、何作るんですか?」
「そうだな。何か食べたいのあるか?」
「私は特に何でも」
「私も」
「な、なんかないのか……?」
「五人だから、カレーみたいなのがいいんじゃない?」
「そうだな」
「で、どうする?」
「カレーでいいんじゃないですか?」
「カレーでいいか?」
「はい、いいですよ」
「いいですよ」
「うん」
「じゃあ、カレーにするか」
「材料はあるんですよね?」
「ああ。とは言っても、何の野菜があるかとかは確認してないが」
「ちゃんと、見ておいて下さいよ」
「とりあえず、戻るか」
◇
「さてと。なんの材料があるかな〜?」
「カレールーありましたよ」
「まじか。なんであるんだよ。絶対無いと思ってたわ」
「なんなら、シチューとかハヤシライスのルーもありますよ」
「消費期限とか大丈夫だよな……?」
「ギリギリ大丈夫ですよ」
「ギリギリって、どれくらい?」
「一週間後ですね」
「ほんとに、ギリギリだな。とりあえず作るか」
「はーい」
「じゃあ、適当に役割分担してやっててくれ。俺は、別荘の掃除をしておく。一ヶ月以上誰も来てないらしいから」
「じゃあ、お願いしまーす」
「まずは掃除機を使うか。えーと、掃除機は……あ、あったあった。て、これ、めちゃくちゃ高いやつじゃないか」
使っていいんだよな……?つ、使うぞ……
「おおおお」
吸引音は小さいのに、めちゃくちゃ吸引力強い。凄い!欲しいかも。でも、これいくらするんだ?
ろ、六万……。流石に掃除機に六万も出せる程、金持ちではない。諦めるか。そう言えば、ちゃんと作れてるかな。何となく心配だ。見に行こう。
「どんな調子だ?」
「一通り野菜切り終わったところですね」
「五人分ともなると、時間かかるか」
「これでも、結構テキパキやってる方なんですけどね」
「手伝うか?」
「じゃあ、お願いします」
「何すればいい?」
「疲れたので、ここから全部お願いします」
「えー……全部……?」
「はい。全部」
「仕方ないな……」
「いいんですか?」
「ああ、いいよいいよ。今日中には作るから」
「なんで、今日中なんですか」
「分かったから。出来たら持ってくから、適当にくつろいどけ」
「はーい」
「さて……。野菜は切れてるから、ここからは結構簡単なんだよな。後は野菜を調理してルーを溶かすだけだからな……」
「よし、こんなもんかな……」
「出来たぞー」
「美味しそうですね」
「これでも、家ではよく飯を作ってるから味には自信があるぞ」
「カレールー使ってるんだから、誰が作っても似たような味になるんじゃないですか?」
「隠し味入れてるから、ちょっとは違う味がするかもしれないぞ?」
「隠し味って、何入れたんですか?」
「内緒だ」
「えー」
「ほら、冷めないうちに食べるぞ」
「はーい」
「いただきます」
「うん。我ながら、美味いな」
「自分で言うのどうなの……?」
「でも、玲華よりは上手に作れたと思うぞ?」
「いや、私の方が美味しいでしょ」
「そうか?」
「うん」
「まあ、どっちでもいいよ。ほら、食べるぞ」
「ご馳走様でした」
「お粗末さまでした。片付けも俺がやっておくから」
「いいんですか?」
「ああ。だから、適当に遊んどけ」
「遊ぶって、ゲームとかやってていいんですか?」
「いいぞ。まあ、自由時間みたいなものだと思ってくれ」
さて、片付けるか……
読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
面白かったから、ブックマークや評価をして頂けると嬉しいです。