第5話 妹とライブを観に行く
「玲華って、今日なにか予定あるのか?」
「友達のライブ観に行く」
「へえ、友達のライブか」
「優くんも行く?」
「行けるもんなら行ってみたいが、いいのか?」
「うん。多分大丈夫」
◇
「なあ……」
「ん?」
「ここって、ドームだよな……?」
「そうだね。ドームだね。」
「玲華の友達はここでライブをするのか?」
「そうだけど」
「凄いな……。ちなみにその友達って、どこで知り合ったんだ?」
「学校」
「学校?同じ学校にいるのか?」
「うん。田邊瑞希ちゃんっているでしょ?」
「ああ、いるな。田邊さんってアイドルやってたのか」
「後で会ってみる?」
「忙しいんじゃないのか?」
「知り合いだし、大丈夫だと思うけど」
「玲華は仲良いかもしれんが、俺はまともに喋ったことないぞ」
「大丈夫、大丈夫」
「じゃあ、とりあえず入場するか」
「あ、そっちじゃないよ」
「え?そうなのか?」
「うん。私達関係者席だから」
「ほう。関係者席か」
◇
「凄いな……」
「大きいね」
「こんだけでかいと、どこにいても見にくそうな気がするな」
実際、関係者席からだと、モニターしか見えない。双眼鏡でも使わないと本人は見れないだろうな。
「ここって、五万五千人も入るのか。ソロでこれだけファンがいるって凄いな」
「ね」
「玲華も頑張れよ」
「優くんもね」
「お、始まったな」
◇
「やっぱ、人気あると曲数も多いからライブ時間が長いな」
「そうだね。すごく大変そう」
そんな話をしていると
コンコン
「失礼しまーす」
「あ、田邊さん」
「奈良くんも来てたんだ」
「ああ。玲華に誘われてな」
「そうなんだ。どうだった?」
「すごい良かったと思う。玲華達とは比べ物にならないくらい」
「別に、そんな褒めて貰わなくてもいいんだけど……」
「でも、本当に良かったよ」
「ありがとう、玲華ちゃん」
「そう言えば、奈良くんって玲華ちゃんのグループのマネージャーなんだっけ?」
「ああ、そうなんだ」
「奈良くんも大変だね」
「玲華達に比べたら、そこまでじゃないよ。あと、名前で呼んでくれていいよ。玲華と同じ名字なわけだから紛らわしいだろうし」
「わかった。優くんでいい?」
「ああ」
「じゃあ、私も名前で呼んでいいよ」
「瑞希?瑞希さん?瑞希ちゃん?」
「瑞希でいいよ」
「了解した」
「にしても、こんな有名なアイドルだったなんて知らなかったよ。瑞希って凄いんだな」
「別にそんなことないって。とりあえず、これから、よろしくね」
「ああ。こちらこそよろしく」
「じゃあ、私はこれで」
「ああ、お疲れ」
「お疲れ様、瑞希ちゃん」
「うん。じゃあまた、学校で」
「俺らも帰るか」
「そうだね」
◇
「ゴールデンウィーク終わっちゃったな……」
「ねー。まだゴロゴロしてたーい」
「ゴロゴロはするな。ほら、学校行くぞ」
「はーい」
「お、瑞希じゃないか」
「あ、おはよう優くん、玲華ちゃん」
「おはよう」
「瑞希は、普通に学校通ってるよな」
「うん。ライブとかは土日とかにしか無いから」
「なるほど。こっちは小さい会場でしか出来ないから土日だと、そこそこ人気のあるグループが使っちゃうから、基本平日しか使えないんだよな」
「あー、そうなんだ」
「やっぱ、人気があると何かと良い事あるよな」
「まあでも、大変なこともあるけどね」
「そうなのか?」
「うん。学校はまだいいけど、プライベートで出かける時はマスクしたりメガネかけたり、キャップ被ったりして変装しないといけないし」
「それは面倒臭いな」
「だから、素のままでいられる学校はすごく好き」
「そうか」
「なんか、窮屈そうな人生だな」
「まあね。でもその分、お仕事してる時は楽しいよ」
「大変なんだな」
「でも、優くん達も大変なんでしょ?」
「まあそれなりはな。でも瑞希に比べたら屁でもないよ」
「まあ、お互い頑張ろうね」
「ああ」
キーンコーンカーンコーン
「あ、そろそろ授業始まるな」
「そうだね。じゃあまた後で」
「ああ」
読んで頂きありがとうございますm(_ _)m
面白かったから、ブックマークや評価をして頂けると嬉しいです。