第4話 俺が妹の恋人?
「恋人?どう言うことだ?」
「一日だけ、彼氏みたいに接して欲しいの」
「はあ、彼氏みたいに……」
「うん。ダメ?」
「いや、ダメでは無いけど……」
「じゃあいいのね?」
「いいけど、彼氏みたいにってどうすればいいんだ?」
「デートしよ?」
「デートならこの前、遊園地に行ったじゃないか」
「あれってデートなの?」
「違うのか?」
「二人きりじゃないからデートじゃないでしょ」
「そうなのか?」
「そうなの。だから、デートしてみよ……?」
◇
大型の商業施設にやってきた。
「なあ」
「ん?なに?」
「デートって言うか、普通に家族の買い物じゃないのか?」
「別にいいじゃん」
「………」
「で、どっか行きたい店でもあるのか?」
「お洋服屋さん」
「ほう。洋服屋か」
「買ってくれる?」
「ああ、いいぞ」
「これ可愛くない?」
「まあ、可愛いと思けど」
「けど?」
「玲華には、合わない気がする」
「そうかな?」
「ちょっと、試着してみたらどうだ?」
「わかった」
「ど、どう……?」
「玲華が着ると、何でも似合っちゃうんだな……」
「え?そう?」
「ああ。めっちゃ可愛いぞ」
「恋人って言っても、そこまで褒め散らかさなくても良いんだよ?」
「でも、本当に可愛いぞ」
「あ、ありがと……」
「で、どうするんだ?買うのか?」
「うん。似合ってるなら」
「他はどうする?」
「これもいい?」
「ああ。もちろん」
◇
「次どこ行く?」
「お化粧品見に行ってもいい?」
「ああ」
「化粧品って、メイクはライブの時メイクさんがやってくれるだろ?」
「化粧水切れそうだから、新しいの欲しくて」
「ああ、なるほど」
「良いやつ買ってもいい?」
「良いやつって、高いやつって事か?」
「うん」
「まあ、いいけど」
「じゃあ、これ」
「これ……か!?」
「え?うん。これだけど……」
「た、高すぎないか……?」
「でも、私いつもこれ買ってるよ」
「じゃ、じゃあ、これだな……」
「うん」
マジで高いな。俺が知ってる化粧水って、千円いかないような物なんだが。
「で、次どうする?」
「お昼ご飯食べない?」
「ん?もう十二時半か……。そうだな。なんか食べたいのあるか?」
「カレー以外なら」
「そうだな。俺もカレーは食べたくないな。」
「このパンケーキ屋さん行かない」
「ああ、いいぞ」
「いらっしゃいませ。こちらメニューになります。」
さて、何を食べようかな……?た、高い……。何故こんなに高いんだ。
「なあ、玲華……」
「ん?」
「パンケーキって、こんな高いっけ……?」
「あー、確かにちょっと高いかも」
「だよな……」
「もしかして、高いのダメだった?」
「いや、別にいいけど」
「じゃあ、私これにする」
「いちごか。女子っていちご好きだよな」
「優くんは、どれにするの?」
「俺は普通のやつでいいかな」
「えー、どうせならこっちのブルーベリーのやつにすれば?」
「ブルーベリーって苦手なんだけど……」
「じゃあ、あーんしてあげるから」
「いや、あーんって……」
「別に恋人なんだから、普通でしょ?」
「そ、そうだな……」
「じゃあ、ブルーベリーのパンケーキね」
「は、はい……」
「お待たせいたしました〜」
おお。美味しそうだな。でも、ブルーベリーが多いな。これじゃ、パンケーキの味がしないんじゃないのか?
「美味しそうだね」
「ああ」
それに対していちごの方は、程よい量で生地の味がしっかりしそうだ。
「はい、あーん」
「あ、あーん……」
「美味しい?」
「ああ。美味しいよ」
「じゃあ、私にもあーんして?」
「え、やだ。恥ずかしい」
「私もしたんだから」
「わ、わかったよ……。あ。あーん」
「あーん。うん、美味しい」
「そうか」
「美味しかったな」
「うん。また来たいね」
「そうだな」
「そうだ」
「ん?なに?」
「俺も服を見行きたいんだけど、良いか?」
「うん。良いよ」
◇
「これとかいいな」
「ちょっと派手すぎない?」
「そうか?このくらいの方が舐められないし良いんじゃないか?」
「舐められないって……舐められてるの?」
「いや、そんなことないけど」
「じゃあ、良いじゃん」
「でも、こういうの着てみたかったんだよな」
「そうなの?」
「かっこよくないか?」
「私には、優くんの好みわかんないや」
「そうか」
「玲華は、どういう服が似合うと思うか?」
「うーん。これとかどう?」
「これかあ。玲華はこういう服を俺に着て欲しいのか?」
「うん。似合うと思うよ」
「そうか、じゃあ試着してみるか」
「着させてあげようか?」
「え!?いや、いいって」
「そう?」
「ああ」
「自分で着れるから」
「でも、外で一人で待ってるの寂しいよ……」
「……じゃあ、一緒に試着室入るか?……」
「うん!」
まじかあ………。めちゃくちゃ周りの人達にも見られるし……。
「なあ……」
「ん?」
「やっぱ一人で試着するよ」
「えー、もう入っちゃったんだから、いいよ」
「………」
「ほらほら、着替えて」
「後ろ向いててくれないか?」
「別にいいじゃん」
「恥ずかしいんだけど」
「もう、しょうがないな。ほら、後ろ向いててあげるから」
チラッ
「だから、見てないって」
「いや、なんで振り向いたの分かるんだよ」
「え、か、鏡?」
「はあー。じゃあもう見てていいよ。面倒臭いから」
「やった」
「てか、義兄の着替えみるのが、楽しいのか?」
「うん。楽しいかも」
「おお」
「な、なんだ?」
「意外と腹筋割れてるんだなって」
「ああ、まあな」
「何かスポーツとかやってたっけ?」
「いや、特には。まあ、筋トレならしてるけど」
「それだけ?」
「ああ。それだけ」
「うん。やっぱ似合うじゃん」
「そうか?これ似合ってるのか?」
「女の子が言うんだから、似合ってるよ」
「そっか。じゃあ買ってみるか」
「今度は玲華の試着に同席しようかな……」
「それただの、セクハラだし」
「かも知れんが。やっぱ嫌だよな」
「私は別にいいよ……?」
「え?」
「なーんね。冗談だよ」
「あまり男をからかうなよ。男の心は単純なんだから」
「そうなの?」
「ああ、凄く単純だぞ。女子に話しかけられるだけで好かれてると勘違いしたり、ちょっと目が合っただけで意識されてる?とか思うし」
「そ、そうなんだ……」
「そうそう。俺に関しては、そのことを踏まえた上でも勘違いしてしまう。さっき冗談って言われたが、普通に意識しまくりだぞ」
「そうなの?」
「ああ。めちゃくちゃドキドキしてる。」
「ふーん。」
「なんか、変な義兄で悪いな」
「そうだよ。これでも一応、私アイドルなんだよ?」
「そうだな」
「この後どうする?」
「俺は特に行きたいとこは無いけど」
「私もないから、帰ろっか」
「わかった」
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