第3話 妹の休日の過ごし方
ゴールデンウィークと言うこともあり、暇である。ライブは暫くないので、本当に暇なのだ。俺はメンバーのスケジュールと合同ライブの日程やライブ会場の空いてる日を照らし合わせたりしているが、まあすぐに終わってしまう。その他の時間は、家の掃除とか家事をやっている。玲華はどうしているかと言うと……
「ふんふふんふーん」
歌を歌ったり、ダンスの練習をしている。まあ、アイドルだから当たり前と言えば当たり前なのかも知れないが。とは言っても、勿論一日中やっている訳では無い。他の時間は何をしているのかと言うと、どうやら最近は料理にハマっているらしい。
「ねえ、優くん」
「ん?なんだ?」
「今日のお昼何か食べたいも物ある?」
「そう言えば、最近よく料理してるよな。どうかしたのか?」
「花嫁修業ってやつ?」
「花嫁修業か……。玲華は結婚したいのか?」
「別にそう言う訳じゃないけど、まあ女の子だから料理くらいは出来た方がいいのかなって」
「なるほどな」
「で、何食べたい?」
「うーん。別に何でもいいぞ」
「何でもいいが、一番困るんだけど……」
「でも、本当に何でもいいんだけど」
「じゃあ、カレーライス、肉じゃが、シチュー、チャーハン、麻婆豆腐、オムライスの中から選んで」
「かなりレパートリーが豊富なんだな」
「最近は沢山練習してるからね。で、何がいい?」
「じゃあ、チャーハンを頼む」
「了解。じゃあ早速作ってくるね」
「おう」
なんか、知らぬ間に玲華の方が料理出来るようになってる気がする。兄として負けられないな。
◇
「お待たせー、出来たよー」
「おお、美味そうだな」
「美味しそうじゃなくて、美味しいの」
「食べていいか?」
「うん。どうぞ」
「いただきます」
「召し上がれ」
「うん。美味いな」
「ありがと」
「あっ、そうだ」
「ん?なに?」
「明後日、グループで練習する事になったから」
「あ、うん。分かった」
「なあ、玲華」
「ん?」
「欲しいものとかあるか?」
「欲しいもの?なんで?」
「なんか、プレゼントとかあんまりしたこと無かったから。もうそろそろこどもの日出し」
「うーん。欲しいものかぁ。特にないかな。と言うか私こどもなの?」
「こどもじゃないのか?」
「こどもじゃないよ。大人だよ」
「大人ってことは無いだろ。せめてお姉さんくらいだろ」
「じゃあ、どっちにしろこどもじゃないじゃん」
「確かに……。で、欲しいのないのか?」
「特には」
「別になんでもいいんだぞ?」
「そんな買って貰いたいような物ない」
「そっか。でも、何かしてやりたいんだが」
「そう言われても……」
「何かないか?」
「優くんが、ちゃんとお兄ちゃんしてくれれば嬉しいかな」
「お兄ちゃんって言われてもな……。具体的には何をすればいいんだ?」
「今のままでいいよ」
「そ、そうか」
「うん」
「俺って、お兄ちゃん出来てるか?」
「出来てるよ」
「そうか?」
「うん」
「どんな所が?」
「うーん。面倒見てくれるし、家事もほとんどやってくれるし、頼れる存在である所かな」
「俺って頼れるのか?」
「頼れるよ。すっごい頼れる」
「そんなにか?」
「うん。それにカッコイイ」
「カッコイイ……」
「うん」
「そっか、ありがとう」
「ほら、早くチャーハン食べちゃって」
「あ、ああ」
◇
「で、本当に欲しいもの無いんだな?」
「うん。そんなに買ってあげたいの?」
「なんか、大したことしてあげられてない気がしてな」
「じゃあ、私の恋人になってよ」
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